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オカマバー「アコーリス」へようこそ  作者: 蘭鍾馗


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8/8

8.オカマバー「アコーリス」は今日も通常営業中

「マスター、これ店内に貼っていい?」


 ◇


「大丈夫よ。私からも常連さん達に宣伝しておくから。」

「ありがとねマスター。」


 カイラちゃんは、ついこないだダンタリオンちゃんとこから引っ越して、今はアパート借りて暮らしてる。

 アパートは仕事場も兼ねてるわ。


 何の仕事か知りたい?

 なんと、探偵よ探偵。まあ、要は興信所なんだけどね。殺人事件の推理とかやんないわよ。そういうのは警察の仕事だし、そもそもそんなこと依頼してくる人いないから。推理小説じゃないんだからね。

 でも、ペット探しと浮気調査で、なんとかやっていけそうだって。


 戸籍も無いのにそんなこと出来るのかって?なんかダンタリオンちゃんに憑いてた神様がいろいろ公文書偽造してくれたみたいよ。ほんとすごいわね神様。


 今の戸籍上の名前は「一ノ瀬 海羅」。自分で考えたんだって。いいんじゃないかしら。


 カイラちゃんが転移してきた時に持ってきた水桶の水は、じつは凍らせて今も店の冷蔵庫に保管してある。全部じゃなくて一部だけだけどね。あの子が「900年前のクロアチアに帰りたい」って言ったらなんとかなるようにね。でも、肝心の転移のやり方を教わってないから、今の所は無理だけど。それに村はもうなくなっちゃってるから、帰ってもどうしようもないわよね。彼女も特に帰りたいとは思ってないみたい。


 ◇


 ダンタリオンちゃん?相変わらず真面目に働いてるわよ。給料安いってぼやきながら。


 最近は社会人枠で大学にも通ってる。なんか天文学だか惑星学だか勉強してるんだって。カイラちゃんの事務所も時々手伝ってるみたいね。ペット探しとか得意らしいわ。

 週末に、時々二人で山奥まで行って、飛んでるみたいよ。たまに飛ばないと筋肉が落ちて飛べなくなるんだって。なんだか手乗り文鳥みたい。大変ね。


 ◇


 そして、二人とも月イチか月二くらいで私の店に来て、大酒飲んで帰っていくわ。どうやら有翼人はアルコール強いみたいね。

 で、来るときは背中の開いた服を着て来るの。もちろん店内で羽を伸ばすためよ。店内に入ったら上着を脱いで、背中の開いた服から、青緑の輝きを持つ漆黒の翼を出して、いつもカウンターで二人並んで飲んでるわ。ただ、羽のせいで、二人で4席占拠しちゃうんだけどね。もちろん、チャージは4席分もらうわよ。


 ◇


 でねえ、例のトイレのことなんだけど。


 実は、今でも時々羽の生えた人が出てくるの。

 古めかしい服を着た人が多いから、多分、あの有翼人の村から逃げてきた人が、いまでもぼつぼつと到着してるんじゃないかしら。あの日井戸小屋から転移した人達は、一度にどっとここへ来るんじゃなくて、だいぶ時間がばらけて到着するみたい。それこそ年単位よ。まあ、そうでないと、一度に来られたら大変な騒ぎになるからね。

 有翼人が到着したら、私はダンタリオンちゃんとカイラちゃんに連絡する。そして、この二人が窓口になって、住むところや仕事の面倒を見ているの。もちろん例の神様の協力付きね。それは今でも続いている。


 あ、ダンタリオンちゃんの名前、紹介してなかったわね。彼女も戸籍を取得してるの。


 名前はね、「石橋 理緒子」。


 聞いたことある人、いるかも知れないわね。





(終)


 

 





 

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― 新着の感想 ―
この度は、企画へのご参加ありがとうございました! 把握が遅れてすみません… バーのゆるっとした雰囲気が二丁目わりとあるある感あったり、クロアチア料理が出てきて不思議な生活感あったり、ファンタジーなん…
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