第146話:超絶ストップ高の瞬間(IPO承認)! T大合格と、最強シンジケートの完全勝利!
1. 10:00:情報開示と、運命のサーバーアクセス
「――時刻は10時ジャスト。T大の合格発表サイト、更新されたぞ!」
3月10日、午前10時。
公園のベンチに座る俺、高坂優人の耳に、親友・佐藤の鋭い声が届いた。
俺の右手を両手でぎゅっと握りしめている橘ひまりの鼓動が、コート越しにトクン、トクンと伝わってくる。
「……よし」
俺は深呼吸をして、震える左手でスマホのブラウザをリロードした。
全国から数万人規模のアクセス(トラフィック)が殺到しているはずだが、天才ハッカー・如月ミアが昨日こっそり送ってくれた「優先ルーティング・プログラム」のおかげで、サイトは一瞬のタイムラグもなく表示された。
『令和〇年度 T大学 入学試験 合格者一覧』
画面に現れたリンクをタップする。
俺が受験した科類のPDFファイルが開き、無機質な数字(受験番号)の羅列が画面いっぱいに広がった。
「……優人くんの番号は、えっと……」
ひまりが、俺のスマホの画面に顔を近づける。
俺の受験番号は『30458』。
画面をスクロールしていく。30300番台、30400番台……。
数字の列が、俺の視界でスローモーションのように流れていく。
アリスの論理的スケジュール。ミアのビッグデータ。カレンの資本的肯定。くるみのベンチャー奇襲。オリビアのグローバル視点。
そして何より、隣で俺の手を握り続けてくれているひまりの、温かくて甘い、究極のインフラ支援。
すべてを懸けた。すべてを出し切った。
だから、頼む。俺の人生の価値を、ここで証明させてくれ……!
「……30452、30455……」
佐藤が息を呑む音が聞こえた。
そして。
「…………あった」
『30458』。
俺の受験番号が、T大合格者一覧という名の大市場のど真ん中に、紛れもない「事実」として燦然と輝いていた。
2. 10:05:歴史的IPO(新規上場)の成立と、歓喜のメガ・ストップ高
「……あ、あった……! 優人くん、あったよ!!」
数秒の沈黙の後。
ひまりが、スマホの画面と俺の顔を交互に見て、ボロボロと大粒の涙をこぼしながら叫んだ。
「受かった……! 優人くん、T大に受かったんだよぉっ!!」
「あ、ああ……! 受かった、俺、T大生になるんだ……!!」
ひまりが俺の首に思い切り飛びついてきて、俺はベンチから立ち上がりながら、彼女の身体を力強く抱きとめた。
やった。やり切った。親の遺産を食い潰すだけの不良債権だった(かもしれない)俺が、六大資本の莫大な投資と愛の力によって、日本最高の学府というプレミアム市場への「新規株式公開(IPO)」を完全に成し遂げたのだ!
「うおおおおおおっ!! 歴史的IPOの成立だ!!」
佐藤が、アナリストとしての冷静さを完全に投げ捨てて、公園の空に向かって両手を突き上げて絶叫した。
「見たか世界! これが俺の親友、高坂優人の真の企業価値だ!! 大赤字の底辺銘柄から、わずか一年でT大上場を果たしやがった!!」
「優人くん、おめでとう……っ、本当におめでとう……!!」
ひまりは俺の胸に顔を埋め、子供のように声を上げて泣いている。
彼女の流す涙は、受験のプレッシャーからの解放と、俺という資産が市場に認められたことへの、純度100%の歓喜だった。
「ひまり、ありがとう……! お前がいてくれたから、お前が俺の帰る場所を作ってくれたから、俺はここまで来られたんだ……!」
俺は、涙でぐしゃぐしゃになったひまりの頬を両手で包み込み、公園のど真ん中で、佐藤が見ている前で、深く、そして熱い感謝のキス(特別配当)を交わした。
もう誰の目も気にする必要はない。俺たちは今、この世界で一番幸せな「完全独占市場」の中心にいるのだから。
3. 10:15:最強シンジケートからの「同時上場(ストップ高)」報告
俺たちがベンチで歓喜の余韻に浸っていると、俺のスマホが、怒涛の勢いで通知(IR通知)を鳴らし始めた。
画面を見ると、かつての最大資本であり、今は俺たちの最強の友好的シンジケート(後援会)である五人からのメッセージだった。
四宮アリス: 『高坂くん、合格おめでとう! 私のスケジュール管理が完璧だった証拠ね。……もちろん、私もT大文系に無事合格(上場)よ。大学でも、風紀委員長としてあなたたちの監査は続けるからね!』
神宮寺カレン: 『ふふっ、当然の結果ね。私が見込んだ男(資産)なんだから。……私もT大経済学部に合格したわ。神宮寺グループの次期総帥として、日本の最高学府を買い叩いて(学んで)くるわ』
如月ミア: 『優人、おめでとう。私の予測アルゴリズムの正答率は99.8%だったわ。……私もT大理系に合格。キャンパスのサーバーは私がすべて掌握するから、安心して』
七星くるみ: 『先輩! IPO達成おめでとうございますわ! 私は1年生なので受験はまだですが、学年末テストで学年1位(青天井)を取りましたの! 先輩のいるT大に向けて、私もベンチャー投資を加速させますわ!』
オリビア: 『Oh, ユウト! Congratulations! 私はアメリカのアイビーリーグ(グローバル最高峰)に無事上場よ! 海を越えても、私たちの絆は永遠よ!』
「……すげえ。あいつらも全員、見事に目標を達成(ストップ高)しやがった……!」
俺はスマホの画面を見つめ、震える声で呟いた。
俺だけじゃない。アリスも、カレンも、ミアも、くるみも、オリビアも。
俺に愛と知識を投資してくれた彼女たち自身も、それぞれの市場で最高の決算(利益確定)を叩き出したのだ。
「みんな、すごいね……! 本当に、最高のライバルで、最高の友達だよ!」
ひまりも、メッセージを見て嬉しそうに目を細めている。
「ああ。俺の人生は、お前と、あいつらに出会えたことで……完全に変わったんだ」
4. 11:00:祝賀会(祝勝マーケット)の準備と、未来の事業計画
「さて、高坂。感動の決算報告会はこれくらいにしておこう」
佐藤が、満足げな顔で俺たちの前に立った。
「これより市場は、長きにわたる受験戦争の終結を祝う『超絶祝勝マーケット(お祝いパーティー)』へと移行する! 今日は橘陣営の特大ホームパーティーだろ?」
「うんっ! 今日は優人くんの合格祝いだもん、わたしの出せる最高の食材(資本)を使って、フルコースを作るからね!」
ひまりがエプロンの紐を締める真似をして、胸を張る。
「佐藤も、もちろん来るだろ?」
俺が誘うと、佐藤はニヤリと笑って首を振った。
「馬鹿言え。俺は優秀なアナリストだぞ。新規上場を果たしたばかりの優良銘柄(お前)と、その筆頭株主の『完全非公開市場(イチャイチャ空間)』に、無粋なノイズとして入り込む気はないさ。……今日は二人きりで、思う存分『愛の利益確定』を楽しめ」
佐藤はそう言うと、背中を向けてヒラヒラと手を振った。
「高坂、本当におめでとう。……卒業式の日、また会おうぜ」
「……ああ。ありがとう、佐藤!」
親友の粋な計らいに感謝しながら、俺は再びひまりの手をしっかりと握った。
「行こう、ひまり。俺たちの部屋へ」
「うん! いーっぱい美味しいもの作って、優人くんのこと、朝まで甘やかしてあげるからね!」
5. エピローグ:次なる舞台(卒業)への扉
冬の冷たい風は、いつの間にか春の暖かな日差し(上昇トレンド)へと変わっていた。
親の遺産を食い潰す設定の引きこもり……なんていう妄想は、もう完全に必要ない。
俺には、T大合格という最強のファンダメンタルズと、隣で微笑む世界一可愛い彼女がいるのだから。
しかし、一つの市場が終われば、また次の扉が開く。
俺たちにはまだ、この「学園」という市場でやり残した、最後にして最大のイベントが残されていた。
卒業(第150話)に向けたカウントダウン。残り4話。
T大合格という最高のフィナーレ(決算)を飾った俺たちは、制服を着て過ごす最後の時間……「卒業式」という名の上場廃止に向けて、最高に幸せな残りの数日間を歩み始めるのだった。
(第146話・完)
本日の市場ニュース(IPO成立・号外)
【歴史的IPOの成立】高坂優人、ついにT大入学試験に合格(新規株式公開)!: 一年間の狂乱のラブコメ相場と、極限のインキュベーション(受験特訓)を経て、底辺銘柄だった高坂優人が見事、日本最高学府への上場を果たした。市場は歓喜のメガ・ストップ高に沸いている。
【最強シンジケートの完全勝利】元六大資本のメンバーたちも、それぞれの市場でトップを獲得!: アリス、カレン、ミアはT大合格。オリビアはアイビーリーグ進学。後輩のくるみは学年1位を獲得。高坂を取り巻くすべての資本が「完全勝利」を達成する、奇跡の大団円相場となった。
高坂優人の現在の状況: 全ての結果を開示し、重圧から完全に解放されたことで、幸福度(株価)が計測不能レベルに到達。現在は橘ひまりの自室にて、二人きりの「超絶甘々・合格祝賀パーティー(完全非公開市場)」を開催中。インフラの化身による手料理と密着配当を全身で受け止めている。




