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おい今度の救世の乙女は何だか想定外だな?〜誰に理解されなくてもあたしは信じた道を進むことにした〜  作者: 夜朝
第2章 〜生きてこそ得られる幸せってあるでしょ〜

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第2章 その55

よろしくお願いします。。。

「ダルク、聞こえた?」


「ああ。──仕方ないな、エティ。結界の外へ。わたしの開通を頼む」


「結界の外って!? あんた、かんたんに言ったけど、そんな」


「大丈夫だ、無属性の乙女。きみなら影響を受けまい」


「ちょっとお、何とか言ってよキーペ」


「大丈夫ですエティ様。ワーテル様もフィーレ様も動けないとなると、後はダルク様しかいません。ダルク様の開通をどうかお願いします」


「あー。もう……仕方ない。本当に大丈夫なんでしょうね」


 ぼやきながら炎の壁に──もとい、ダルクのほうへ──向かって突き進んでいくエティ。

 肌が焼かれるような熱気。

 温暖化を通り越して沸騰化していると言われてから二百年が経過している故郷の星でも感じたことがないくらいの熱さを、今、この極寒の星で味わっている。

 大事だ。と、エティはあごから滴り落ちる汗を手の甲で拭った。

 呼吸をしようとするとチリチリと口中が焼けるような気がしてうまくいかない。

 結界から出れば少しはマシなのかと期待して、片足を壁に向けて突き出すが、そこで彼女の動きが止まった。


(今、ただでさえこんな熱いのに、この壁を通り抜ける時、まさか熱くないわけ、なくない?)


 エティは、自分はあの二人に良いように言われて調子に乗っているだけで、実は火傷するのではないかと疑ってしまうのだった。

 だが、もしその予感が的中したら全身に大火傷だ。開通の儀どころではなくなる。

 少なくとも彼らは本当にエティが無事にこの壁を潜り抜けられると信じているのだろう。


 エティが考えている内に、炎の壁が徐々に狭まってきた。それに気付いたのは、一番壁に近いところにいたエティだ。

 切羽詰まって不意に彼女の脳内にひらめいたのは、精霊力のコントロールの訓練をした時の出来事。

 うず高く積み上げられていた雪積場の雪を消滅させた。

 あの時は、周囲の精霊力に働きかけたのだ。癒しを祈って。


「……」


(こんな感じ?)


 エティは両目を伏せて、緩く握った左手を右手で包み込むと、その親指にそっと唇を重ねた。

 祈るのは癒しだ。

 フィーレや、侵害者からの攻撃をいなしながら受け続けてきた守護者や少年神官、それに衛士たち。

 そして何より、意図しない火熱の精霊力に今も焦がされ続けている冬森の大気を、だった。


 どよっ。と、場がざわめいた。


 彼女が伏せていた目を上げて見れば、炎の壁は今は跡形もなく。

 小さな火を連ねた細い紐が地上に落ちていた。


「……倒せた、の?」


「まだだエティ。今のうちに早くこちらへ! 儀式を頼む。祝詞は覚えているな?」


「うっ。改めて言われると自信が……っ! でも大丈夫よダルク。いきましょ!」


 火の紐を飛び越えてダルクの元へ駆け寄るエティ。

 ダルクはそれを抱き止めるようにして両腕を広げ、数歩、歩み寄った。

 それまでダルクの近くにいたキーペは、開いた距離はそのままに、視線を祠からそらさずにじっと待っている。


 エティの身体が一度、ダルクの腕の中に包まれた。


恋愛ものだということをすっぱらかんに忘れていたので

たまにはときめくかーと思ってダルクにエティを抱っこさせてみました。

あれ。あんまりときめきな感じしないな……。


ここまでお付き合いいただきありがとうございます!

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