第2章 その19
よろしくお願いします。。。
『ああ、だから最初は俺なんだ。
火熱は雪に囲まれりゃ弱るからな。
下手に暴走しても抑え込めるってわけ。
水冷の力を操るワーテルもいるしな』
はあぁ。と感嘆の吐息を漏らしたエティだ。
片手のひらで胸元を押さえて安堵の面持ちで笑う。
「色々と気を遣わせてるのね。
ごめんねみんな。でも助かるわ──ありがと」
『良いってことよエティ。
あんたは強すぎるってだけだ。
弱いよりかはよっぽど良いさ』
『そうだぜ』
フィーレに同意する形でエティを擁護する立場を取ったワーテル。
短い言葉でも伝わってくるその心はうれしいエティだった。
それからしばらく走ったところで街道用の雪積場を見つけた一行は、少し遅い昼食を取った。
キーペの予告通り、味は今一つな、かりかりに乾燥した小さなパンと、同じく乾燥しきった干し肉と、温めたミルク。
それだけの食事だった。
もしかしたらミルクでふやかしたら美味しくなるのかもしれない。
次回は試してみよう──そう考えながらエティはコップの片付けを手伝った。
食後の休憩も済んで後は出発するのみとなったところで、エティとフィーレはキーペに呼ばれて雪積場の中央へ集まった。
いよいよ二回目の開通の儀だ。
遅れてワーテルもやってきた。彼は保険だ。
さすがにフィーレは少し緊張しているようで、左手で短い赤毛をかき上げて、ひんぱんに左右へ首を振っている。
「緊張してるわね。あたしもよ。
──よろしく。フィーレ」
「んなこたぁ……ねぇ、とは、言えねぇな。
ああ。緊張してらぁ。
でもあんたには怪我させねぇよ。
安心してな。エティ」
「大丈夫よ。伊達に冒険者ギルドの受付嬢してたわけじゃないわ。
ちょっとやそっとのけがでへこたれたりしないわよ」
エティが誇らしげに胸を張ると、フィーレは渋面になって彼女の左手首を指さした。
「それじゃ困るんだっつの。
あんたな、ぜってえやつらにバングル傷つけさせんなよ?
俺らの生命線だぞ」
「生命線?」
「聞いてねぇのか? バングルに傷がついたら守護者は死に至る」
「──え!?」
エティは驚愕の表情でフィーレを見た後、その視線をぐりっと巡らせてキーぺを見つめた。
キーペは彼女にゆっくりとうなずいてみせる。
エティは驚いた顔のまま赤い石がはまっているバングルを左手首から外し、怖々と目線の高さまで持ち上げた。
その右手は、小刻みに震えている。
彼女は震えながらそのバングルを前方に──フィーレのいるほうへ差し出して、動きを止めた。
まだ、震えている。
自分のものだけでも持て余すのに、七人分の命を預けられたら。
どうしますか?
それはすごく難しいと思うんです。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます!




