第2章 その18
よろしくお願いします。。。
彼女へ答えたのは、後部座席の真ん中に座っていたウードだった。
ひょうひょうとした様子で肩をすくめてから、彼女にウインクを送る。
「エティ。そんな難しいことばかり考えて眉間にシワを刻むものじゃないよ。
ほらごらん。街を出て街道に入った。キレイな雪景色だろ?」
「そんなてきとうにごまかさないで! こっちは真剣なのよ?」
「エティさん……ひとつだけ」
ためらいがちに会話に割り込んできたのはウードの隣に座っているゴルドだ。
背の高いウードの横にいると小柄なゴルドはますます小さく見える。
そんな少年を何だか守ってやらなければいけないように思えてくるエティだった。
彼女は続きの言葉を彼に促す。
「ボクら守護者は、とある『弱点』を突かれない限り、致命傷を負っても必ず復活できるんです。
だから、ボクらへの心配は要らないんですよ?」
「弱点? それって」
「すみません、お二人とも」
更に問い詰めようとしたエティに割り込んだのはキーぺだ。
彼はエティの隣に座っていながら、難しそうな顔をしてずっと前を向いており、彼女に話しかけることでようやくその表情を和らげた。
キーペのペンダントが淡く明滅している。
「三号車から着信がありました。お話は通話の後でお願いします」
着信は三台目のソリに乗り込んだフィーレからのものだった。
皆が口を閉じて通話音に耳を傾ける。
『なんか流れっつーか勢いで出発しちまったけどよ、ほんとは俺の精霊力開通の儀、出発前に試すことになってただろ? いつやんだ?』
「あ」
(『あ』って言ったわ)
(『あ』って言いましたね今)
(どうやら忘れてましたねキーペ様)
それまで緊張の面持ちでしゃちほこ張っていた少年衛士も、エティとゴルドがひそかにキーペをつっこんでいると肩の力を抜いて話に混ざってきた。
(みんなそんなにひそひそしなくても、どうせ聞こえてるさキーペには)
最後に三人のひそひそ声を追求してきたのは、そう言う自分も声を潜めているウードだ。
ひそひそする彼らに対してめずらしく冷えた声を発するキーペ。
「聞こえてますよ皆様」
「ひゃ」とか「わぁ」とか、皆が思い思いの反応を返すなか、ペンダントから聞こえてきた怪訝そうな声に応えてキーペが前を向いた。
『キーペ?』
「あ、いえ。何でもありませんフィーレ様。
開通の儀に関しては申し訳ないです。ぼくのミスです。
どこかの雪積場で食事にしますから、ついでにそこで儀式を行いましょう。
エティ様も良いですか?」
「あたしは構わないけど……フィーレは良いの?
言ってもあたしまだコントロールは自信ないわよ」
ちょっとぎこちなかったエティとキーペ。
元通りになったかな? と安堵してます。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます!




