第1章 その14
よろしくお願いします。。。
「すごいわね……あたしが帰る時にもサンプルを持って帰りたいくらい。それはだめ?」
「残念ですが。持ち帰りできるのは真守護者だけでございます」
「かーでぃがん?」
「ガーディアンですっ。……やがてエティ様も選ばれるでしょう。守護者様方の中から」
その時、エティには、ほんの少しだけ。
ささやかながら、キーペの目元に寂しさが浮かんだのが見えた。
と、思ったのだ。
それを拭い去りたかったのかもしれない。
そのために選んだ話題が上手かったか下手だったかは分からないけれども。
彼女は両手を腰の後ろに組んで、上半身を屈めながら、にかっ。と笑った。
「なぁに。さては『救世の儀式を行った褒美として』とか言う気ね?
あたしには、で・き・ま・せ・ん・よ?」
昨日は泣かせてしまったが。
今日のキーペは違った。
彼は彼女と同じように、にかっ。と笑い返して、細い人差し指で彼女の鼻先をつついた。
「往生際が悪いですねエティ様っ。
今日、神殿に行けば貴女が救世の乙女であるということははっきりするんですからね?
お覚悟ください」
エティは面食らって真ん丸く見開いた眼をぱちぱちと数度、瞬かせた。
何となく形勢逆転の気配を感じて、話題を変えることにする。
「えっ……と。これからすぐに神殿に行くの?」
「はい。食休みはソリの中でお願いします。
早いところ守護者の皆様を『初めの眠り』から覚醒させましょう」
「初めの眠り……棺の中から助けるの。どうやって」
「『眼醒めの薬酒』を使っていただきます。
強い気つけの酒だとでもお考えください。
それを眠っておられる守護者様の口に含ませれば目を覚まされるはずです」
「だって守護者の中には子どももいたじゃない?
平気なの?」
よくある質問だったらしく、キーペはすぐに笑ってうなずいた。
「大丈夫ですよ。一応、飲酒の解禁年齢は十五歳と定められてはおりますが、皆様それよりも前に、たしなんでいらっしゃいます。
それに守護者様は十五歳以上でないとなれませんからね。
法律の上でも生理学的にも問題ございません」
ふぅん。とソリに乗り込みながら同席するキーペに尋ねるエティ。
知らない土地の知らない風習。
眼前の少年。
興味は尽きない。
「キーペは何歳? もう飲めるの?」
「飲めますけどね。ええと──そう。十三歳になります」
「はは。飲んじゃだめでしょ」
「体が温まるんですよ、飲むと」
「ちょっとー。強いお酒飲んでるんじゃないでしょうね。
ホントにだめよ?
あんたまだ全然、身体が出来上がってないじゃない」
「……はい。大丈夫ですよ。
軽いものだけにしておきますから」
エティにたしなめられたキーペは、少しの間、彼女の顔をじっと見つめた。
それからふわりと笑ってうなずいて、彼女に従う意を示した。
子どもの時に体を温めるために飲んでいたお酒と言えばカ◯ピスワインですね。
赤◯ポートワインをホットカ◯ピスで割るんですが、子ども心にすごく美味しかったのを覚えています。
最近あのワインを見かけないので飲んでませんが。




