42.もっともな意見?
カーズは両親に話したことをそのまま弟たちに話した。そして、弟たちの反応はカーズが嫌でも予想した通りだった。
「はぁ~……兄貴よ、それもう終わってんじゃん」
「本当だね。血を分けた兄弟として恥ずかしいよ」
「…………(やっぱり呆れられるのか)」
弟たちは露骨に呆れた態度を見せた。両親のことで流石のカーズも、こういう反応になるだろうとは思っていた。あの明るいレフトンすら笑顔を崩しているのだ。それだけカーズに対する失望は大きいのだろう。
「聞かせてもらったけどさ、兄貴がサエナリア嬢を蔑ろにしてマリナ嬢とだけ仲良くしてきたせいじゃねえか。マリナ嬢と仲良くするなとは言わねえけどよ。それでサエナリア嬢を見なくなるっての酷い話だぜ」
「そうだね。カーズ兄さん『個人』を見てくれたマリナ様を気に入る気持ちは分からなくもないけど、もう少しサエナリア様のことをカーズ兄さんの方から見るべきだったんじゃないかな。カーズ兄さんこそサエナリア様の『個人』を見るべきだったんだよ」
「う……(もっともな意見だ、反論できない)」
弟たちの意見を聞いてカーズは心にグサッと刺された錯覚を感じる。もっと早く女性関係について相談すればよかったかもしれないと後悔する。だが、弟たちのきつい意見は続く。
「見ないと言えばマリナ嬢のことはどうなんだ?」
「何?」
レフトンはマリナのことを口に出した。このタイミングで何故、とカーズは思うがここでもきつい意見が始まる。
「サエナリア嬢とマリナ嬢が友人になったって言うけどよ、それに兄貴が気づいたのは泣かした後だってのも酷いだろ。懇意にしてたのに友人関係を把握していないなんてよ」
「っ! それは、」
「確かにひどいね。カーズ兄さんの話だとマリナ様とは信頼関係ができてたって言うけど、それってカーズ兄さんの一方的な思いこみでしかないんじゃないかな?」
「な、一方的!?」
「マリナ嬢の友人の顔と名前、多分だけど兄貴は知らないだろ、違うか?」
「…………っ!」
カーズは今になって気付いた。好意を抱くようになったはずのマリナの交友関係などを一切知らなかったことを。更に弟たちの心を抉るような言葉は続く。
「もしかしたら、マリナ嬢だって最初のうちはサエナリア嬢の気持ちを考えて、いい思いをしなかったんじゃねえか? 兄貴に気に入られることでサエナリア嬢に対する罪悪感に押しつぶされそうでよお」
「そうだね。婚約者がいる身分の格上の相手に付きまとってこられるなんて、どう対処すればいいか分からなかったんじゃないかな。男爵令嬢だしね。しかも相手が王家の者ならなおさらだね」
「そんな!」
弟達の言葉を聞いて、カーズの頭に大きな衝撃が起こった。二人が言いたいのは、カーズがマリナに迷惑をかけただけかもしれないというのだ。




