31(8裏側).忠誠心?
◇(数時間前)
ソノーザ家当主ベーリュは次女のワカナに非情になった。
「……おい、誰かこの娘を自室に閉じ込めろ。うるさくて仕方がない。少し手荒でもいいぞ」
「え?」
「あ、あなた、何を言って……」
「「「(遂にこの時が来たか……)」」」
ネフーミは驚いて抗議するがベーリュに冷たい目で睨まれてひるんでしまう。当然だと思っている使用人たちにも、背中に緊張が走る。
「お前はもう黙ってろ、この役立たずが。これから娘たちの教育は私が行う。お前はもう口出ししなくていい。大変な失敗をしたのだからな」
「そ、それは……」
「「「(だよな~……)」」」
大変な失敗。母親のネフーミはおろか、この場にいる使用人にすら分かる。彼らはワカナの我儘っぷりを目で見ただけでなく身に受けてきたのだから。
「はあ!? 何言ってんのよお父様! 何で私が閉じ込められなくちゃいけないの! お菓子は、綺麗なドレスはあるの!?」
「黙れ! 見てくれは言いだけの我儘娘が! おい、さっさと連れていけ!」
「「「はっ!(めんどくさいけどな)」」」
使用人たちはベーリュに命じられてワカナを連れて行った。連れていかれるワカナは喚き散らして抵抗する。
「何するのよ、放しなさいよ!」
「お静かに!(自業自得だろ)」
「私を誰だと思ってるの! 美しいソノーザ公爵令嬢よ! 令嬢らしく扱いなさいよ!」
「なら令嬢らしくしてください!(我儘なガキじゃねーか!)」
使用人たちは内心で愚痴りながら、ワカナを自室まで連れて行った。
◇
「どうしてこんなことすんのよ! 私に対する忠誠心はどこ行ったの!?」
「大人しくしてくださいよ!(うるせえからな)」
「旦那様のご命令ですからね!(令嬢が父親に抵抗すんなよな!)」
「……(何が忠誠だ、ふざけんな!)」
ワカナは使用人の手によって、手荒に自室に閉じ込められた。おまけに外から鍵まで掛けられる。
「もう何なのよ! どうして私がこんな目にいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」
ワカナは思いっきり叫んだが誰もが無視した。聞いている誰もが同じことを思っているのだ。
「「「「「(自業自得だ」」」」」)
屋敷の使用人の全員がワカナの性格の悪さを理解しているし、彼女に対する嫌悪感は強い。結局、彼らはワカナが選んだとしても金で雇われた者たちに過ぎないのだ。忠誠心などあるはずがない。
姉のサエナリアと一人の侍女のような関係はあり得ないのだ。




