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32.パーティー 5

 32


 ハルナとディーケイが席に座ると、給仕達が食事と飲み物を席に配っていく。

 ハルナは飲み物を一気に飲み欲し、プハーと息を吐き出し、おっさんのような仕草。

 ケヴィンは苦笑いしながら「おっさんかよ!」と隣で突っ込みを入れていた。

 

「いやいや、二人の演劇。面白かったぞ!」

「本当ですか!ありがとうございます!」

「ま、でもエレインには後で叱られると思うけどな!」

「うっ?!やっぱりですか。でもあれは予定になかったんです。台本もなかったから、全部アドリブでやってたので、修正が効かなくなっちゃって」

「まぁ、ハルナとディーケイはここ最近、毎日のようにエレインに叱られてるから、もう慣れたもんだろ?」

「エヘヘ、そんなに褒めても何も出ませんよ?ケヴィンさん」

「――褒めてねーよ!」


 ハルナとケヴィンが話をしていると、周りにいた招待客達がハルナとディーケイに話をしたいらしく熱い視線を送っていた。

 それを感じ取ったケヴィンは記者会見方式で、挙手制で質問を受け付けていく。

 二人が冗談を交えながら招待客達の質問に答えていくと、笑いの絶えない雰囲気へと変わっていった。


 そんなことをしていると、話題はケヴィンが王城で騎士団長、宮廷筆頭魔法士、国王をボコボコにした時の話へと移っていく。

 嫌な予感がしたケヴィンはスッと席を立とうとする――が、いつのまにか両脇に立つマティスとエレインに肩を抑えられ、身動きが取れない状態になってしまう。


 そして案の定というべきかケヴィンの嫌な予感は的中し、暴走スイッチが入っていたハルナは招待客達を前にして「では実演してみましょう!」などと言い出す始末。

 招待客達の期待の眼差し。

 鳴り止まない拍手。

 何故か始まる「魔王様」コール。

 こうなってしまってはケヴィンの逃げ場などない。

 そもそも暴走したハルナを止める術をケヴィンは未だに持ち合わせてないのだから。

 

 ケヴィンはハルナに言われるがまま、演劇へ参加することとなった。

 彼の心情は光の無い死んだ様な瞳、そして能面のような顔つきが物語っている。




 ――そして幕が上がる。

 配役はハルナがケヴィン役、そして当の本人であるケヴィンが何故か騎士団長役、ディーケイがエレイン役だ。


 難点を挙げるのであれば登場人物、全員悪役なんじゃないのか?と思うほど、黒い笑顔が満載の演劇。

 ハルナの演技にも力が入った。

 そして最初の山場である騎士団長を倒した後、ハルナは決めポーズをとり厨二病満載の台詞を言いながら熱演。

 そこへケヴィンがすかさず止めに入った。


「こら、ハルナ!俺、そんな事言ってないだろ?それに何だよそのポーズ!」

「もぉ〜!ケヴィンさん、劇の途中ですよ?

 私の中ではこのポーズで今の台詞を言っているんです!ね、同士?」

「ハイ、我がマスターのカッコいいところを皆さまに見てもらう為に、台本ではそうなっております!」

「えっ?!台本あんの?」

「勿論ございます。我がマスターのことを世界中の皆さま知ってもらう為に、小説版と舞台版の台本を用意しております!」

「はぁぁぁ。お前ら、またかよ!」

「お褒め頂き光栄です!」

「――褒めてねーよ!」

「ほらほらケヴィンさん、劇に戻りましょう。ケヴィンさんはちゃんと死んでてください!」

「――こらこら、人聞きの悪いこと言うな!俺、あいつらのこと殺してないだろ」


 ケヴィンが劇を一旦止めたことで、劇はいい箸休めとなりちょっとした笑いが起きていた。


 そして劇はまだまだ続いていく。

 ディーケイがナレーションを兼務し、話を進めていき、次は宮廷筆頭魔法士が相手だ。

 その宮廷筆頭魔法士役をディーケイが務める。

 ハルナはディーケイを倒すと、再び決めポーズをとりながら厨二的な台詞を並べる。

 そこでまたケヴィンがハルナを止めに入り突っ込む。

 流れ的にはハルナがボケでケヴィンがツッコミの演劇コントみたいになっていたが観客達の反応は良かった。


 それに気を良くしたハルナとディーケイ。

 話は魔物達と皆で謁見の間に乗り込んだ時の話まで進み、ケヴィンがサンドエルに特大の魔法を放つ場面になるとハルナがまた暴走してしまう。

 例の如く決めポーズ。

 愛くるしいお嬢様顔のハルナには似合わないポーズではあるが観客達にはそれが好評だった。


 そしてハルナは決めポーズのままフハハと笑い世界征服宣言。それにエレイン役のディーケイも便乗。

 過去の出来事を演劇で再現する筈が、事実は大きく捻じ曲げられケヴィンが世界征服するような話になっていく。


「――こらこらこら、おかしいだろそこ!いつ世界征服なんて言ったんだよ!」

「うーん、私の中ではそう記憶してますが違いましたか?」

「違げぇーよ!記憶捏造すんな!それにディーケイ、エレインは俺のこと魔王様なんて言ったことないからな!」

「お、おかしいですね?」

「おかしいのはお前らの頭だ!二人ともあの場所にいただろ?」

「いましたけど。ということはですよケヴィンさん!私が見ていたのは夢だったんですか?――いや待てよ、もしかしてケヴィンさんが夢を見ていたという可能性も」

「――ねぇーよ、そんなこと!っていうか、もう満足しただろ二人とも。演劇はこれでおしまいな」


 ケヴィンがそう言うと、ハルナは頰を膨らませもっとやりたいと駄々を捏ねる。

 しかしそこへ鬼の形相のエレインが登場。

 それを見たハルナとディーケイはプルプルと小動物のように震え、立ち尽くすのであった。


 こうして急遽開かれた演劇の幕は下された。

 観客達からは割れんばかりの拍手と歓声。

 ハルナとディーケイはニコニコ顔で拍手に応え、対してケヴィンは疲れた表情を浮かべながら席へと向かう。

 


 ◇◆◇



 ケヴィンはぐったりと席に座って休んでいる。

 その隣ではエレインがハルナとディーケイをガミガミと叱り付けていた。

 そしてリザはお子様組にすっかり懐かれており、頭上にスラ吉を乗せ、背中にリヴを背負い、膝の上にソフィとアイシャを乗せて楽しそうに話をしている。


 そんな疲労困憊なケヴィンにルシエルとドイルが声をかける。


「ケヴィン閣下、お疲れ様でした。顔色が良くないですが大丈夫ですか?」

「そうじゃのぅ、回復魔法をかけられる者を呼んだ方がよさそうじゃ」

「――あー、親父さん爺さん。大丈夫だ、ちょっとハルナとディーケイに振り回されて、疲れただけだから。気ぃ使ってくれて有難う」

「そうですか。気分が悪い時は何なりと言ってください。しかし先ほどの劇はお見事でした。特に閣下が劇を中断して、ハルナ殿に何度も訂正を入れていくところなど、あのやり取りが可笑しくて、可笑しくて、ふふっ」

「そうそう、ハルナ殿が突飛な事を言ったり、冗談を言ったりしてな、ハハハハッ」

「――爺さん、あれな。ハルナのやつ全部本気で言ってるんだ。しかも全然悪気が無いからタチが悪い。親父さんも爺さんも気を付けてくれよ。ウチの中で一番の要注意人物はハルナだ。暴走したら止まんねぇし、純粋でどこまでも真っ直ぐだから、ハルナが良いと思ったらとことんまでやるからな」

「ふふふっ、あんなに可愛らしい勇者様の暴走なら喜んでお付き合い致します!」

「ハハハッそうじゃのぅ、儂もいい冥土の土産になるわいのぅ!」


 ルシエルとドイルはそう言うと柔かな笑みを浮かべていた。

 それを聞いたケヴィンはニヤリと悪い笑みを作り「聞いたか?マティス」と言いマティスを見向く。

 振られたマティスは「えぇ、しっかりと!」と言い、ピクリと眉を跳ね上げる。その表情はワクワクが止まらない、といった感じだ。


 ケヴィンは悪戯な笑みを浮かべたまま、

「親父さん爺さん言質とったからな!今度ハルナが暴走する時は全部二人に振るから!」

 と楽しそうに言う。

 言われた二人は笑顔を崩さずに「お任せください」「楽しみじゃのぅ」と応えた。


 それから話題は集落に行く話になり、集落を案内する約束をする。

 その話を聞いていたリザが「あたしも行く」と言い出したので、ケヴィンはお触りしないと約束出来るなら、という条件付きで承諾したのであった。

読んで頂き有難う御座います。


長いパーティ編がようやく終わりました。

今、読み返しても「会話パート多っ」と突っ込んでしまうほど多いです。

こんなの書いておいて、自分で読む好きな小説は会話少なめ、地の文多めが好きだったりします。



――皆さまへのお願いです。

物語を書く時はモチベーションだけで書いています。そして不安になりながら書いていたりします。受け入れて貰えるかな、と悩みます。


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宜しくお願いします。

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