ここはどこ?私はだれ?
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「ここはどこなんだ」
僕はいま、何故か高級な椅子に座っている。
いや、高級と言うより何か禍々しい気配が漂っている椅子だ。
よく見ると肘置きの先端にドクロが付いており、人間の物と思われる骨が至る所に装飾されているのだ。
こんな所に来た覚えは全くと言っていいほど無いのだが・・・。
僕は禍々しい椅子から立ち上がり、辺りを見回した。
まるでRPGに出てくる王様の広間の様だ。
いや、どちらかと言うとラスボスの部屋?
僕は目の前の段差を降りて、奥にある大きな扉に向かう。
高級そうな赤い絨毯の上を歩いていると、扉の左右に鎮座している巨大な石像が目に入った。
これは・・・悪魔?
そこには頭に角が生えた人間の様な銅像が2体立っていた。
右側は角が1本なのに対し、左側が2本と若干の違いはあるものの、顔や体型はほとんど変わらない銅像だった。
銅像を眺めていると、銅像と目が合った。
比喩でなく本当に目が合ったのだ。
僕は逃げようと後退りすると銅像の口が開く。
「魔王様、お出掛けでしょうか?」
咄嗟に後ろを振り向くが誰もいない。
僕が反応しないせいか、再び銅像が口を開く。
「魔王様、お出掛けでしょうか?」
「ぼく?」
僕が自分を指差して確認すると銅像の顔が縦に動く。
どうやら肯定している様だ。
魔王?僕が?一体どういう事だ?
いくら考えても答えが出ない僕は、とにかくここから逃げようと先へ進む事にした。
「ちょっと散歩しようかと・・・」
「畏まりました。すぐに控えの者を呼びますのでお待ちいただけますでしょうか」
「あ、はい」
しばらくすると目の前の扉がゆっくりと開き、グラマラスな女性が現れた。
「お待たせ致しました。それでは参りましょう」
「よ、よ、よろしくお願い致します」
今まで女性とまともに話した事が無かった僕は、目の前の美人でグラマラスな女性を見て思わず動揺してどもってしまったが、運良く気が付かれなかった様だ。
ぎこち無く歩き出した僕の後ろから女性が付いてくる。
これでは逃げられない・・・。
何とかして、後ろの女性を巻いて逃げなければ。
女性が後ろから付いてくるという有り得ない体験にドギマギしながら扉を抜けて長い廊下を歩いていると、左側に大きな中庭を発見した。
しかし、この中庭もさっきの部屋と同様に禍々しい。
中庭の中央には大きな噴水があるのだが、赤い水が噴き出している。
噴水の周りには強そうなモンスターがウロウロと歩いており足元には骨が散乱している。
僕はモンスターに見つからない様にゆっくりと忍び足で通り過ぎようとした時、足元に偶然あった骨を蹴飛ばしてしまった。
カランカラン
その瞬間、中庭のモンスターが一斉にこちらを向く。
ヤバい、見つかった!
咄嗟に逃げようとした時、モンスター達は一斉に膝を付いて僕に頭を下げた。
「魔王様!ご機嫌麗しゅう。御前を失礼致します」
「あ、あぁ。そのまま続けて」
「はっ!」
一体何を続けさせようと言うのだ僕は。
意味の分からない返答をしてしまった僕に気にすること無くモンスター達は立ち上がり、また噴水の周りを歩き出した。
なんなんだよ!
意味がわからない!
早くここから逃げないと。
少し焦りを感じながら、再び長い廊下を歩き出した。
歩き始めて1時間。
さっきの中庭が左側に見えてきた。
どうやら一回りしてきたみたいだ。
1周して分かったことがある。
ここはきっと魔王城だ。
なぜか見覚えがあるのだ。どこだったかな?昔プレイしていたゲームで見た?
ゲームってなんだ?
なんで僕はいまゲームという言葉が出てきたんだろう?
何か大事なことを忘れている気がする・・・。
だけど今はそんなことを考えている暇はないんだ、早く出口を見つけないと。
さらに1時間後。
2周してみたが出口は見つからなかった。
そこで僕はずっと後ろから付いてくる女性に思い切って聞いてみることにした。
「あの~」
「なんでしょうか?」
「ここから出るにはどこへ行けばいいの?」
「魔王城への入口でございますか?この中庭の先でございます」
なんと!
あのモンスターが大勢たむろしている中庭の先に出口があったとは・・・。
僕は後ろの女性にお礼を言ってから中庭へ向かう。
怖いな~、こっちを見ないで!
狂暴そうなモンスターの横を何とか通り抜けると金属製だろうか、大きな扉が姿を現わした。
ここか・・・でもこんな大きな扉をどうやって開けるんだろう。
「あの・・・この扉を開けてほしいんだけど」
「畏まりました」
女性は僕に一礼した後、扉の前へ向かう。
すると扉は自動的に動き出したのだ。
まさかの自動ドア!?
僕は開かれた扉の前に移動して外へ出ようとするが、何か見えないものに阻まれて出ることが出来なかった。
出られない?
なんで?
その後も何度が挑戦したが僕は出ることが出来なかった。
ちなみに僕に付いてきた女性は出ることが出来たし、モンスター達も出入りしていた。
なぜか僕だけがダメだった。
僕は茫然自失となりしばらくボーっと外を眺めていたが、諦めて最初にいた部屋へ戻ることにした。
それからどのくらいの時が過ぎただろうか。
初めの数か月は城の探索をしつつ、他の出口を探した。
だけどいくら探しても見つからない。
いい加減、今の状況に嫌気が差した僕は豪華な椅子に座りながら怠惰な生活を送る事にした。
そしてある日。
今日は部屋の外が騒がしい。モンスター達の鳴き声が鳴り止まないのだ。
僕は興味本位で部屋の外へ出ることにした。
「ちょっと外に出たいんだけど・・・」
「魔王様、いま外に勇者が来ています。もうすぐこちらへやってくるでしょうから、お手数ですが椅子でお待ちいただけますか?」
「え?勇者?」
まぁ銅像が戻れっていうから戻るけど・・・もしかして勇者が僕を助けに来てくれたのかな?
僕は銅像に言われるまま椅子へ座り、勇者が訪れるのを待った。
1時間ほど経っただろうか、少しお尻が痛くなってきたので椅子から立ち上がろうとしたその時、扉がバン!と音を立てて開かれた。
「あなたが勇者さんですか?まっ・・・」
「ヌンダルゴウダゾ!」
何を話しているんだ?
全く理解できない言語だ。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「ゴドノヅルオノワルオトホケホロウウデス!」
勇者が何かを喋った後、突然こちらへ走りだすと剣を鞘から引き抜き、僕に向かって振り下ろした。
僕は咄嗟に手で庇ったもののあっさりと腕が切り落とされた。
「や、やめでくだざい!」
僕は途轍もない痛みに涙を流しながら嘆願するが聞き入られることは無く、再度振り下ろされた剣で真っ二つにされた。
「パルドオムロゲロンド、ワルウデドザマルド」
な・なにか勇者が言っている・・・けど、何も分からない・・・あぁ、意識が・・・。
僕は勇者と目が合った。
勇者はニヤリと嫌な笑みを浮かべていた。
そしてゆっくりと意識が無くなっていった。
「ここはどこなんだ」
僕はいま、何故か高級な椅子に座っている。
いや、高級と言うより何か禍々しい気配が漂っている椅子だ。
「え?なんで?勇者は?」
僕はどうなっちゃんだろう・・・。
誤字脱字、感想待ってます!




