第1話
●ファーストフード店
店員の宇津田富男、死んだ目でレジに立っている。
宇津田はやる気のない様子で接客している。
宇津田「セットのポテトはいかがでしょうか」
客「いらねえよ。早くしろって」
宇津田「……申し訳ありません」
宇津田、辛辣な客に真顔で応じる。
店内ではカップルがイチャイチャしていたり、野球部の学生が騒いでいる。
泣きじゃくる子供を放置して、大声で電話をする母親もいる。
その光景に、宇津田の目元がぴくぴくと痙攣する。
宇津田、ぼそりと呟く。
宇津田「全部クソだ」
宇津田M「大学めんどい。留年確定してるし、行く意味ないだろ」
宇津田M「貧乏暮らしで精一杯の俺には、将来の夢なんてない」
死んだ目の宇津田、顔に憎悪を滲ませる。
宇津田、憎しみを込めて呟く。
宇津田「こんな世界、滅んじまえばいいのに」
次の瞬間、店内一帯に炎が広がる(現世と地獄が繋がる)
さらに店員や客の半分ほどが炎に包まれて、地獄の亡者に憑依される。
肉体を乗っ取った亡者たちは、炎を発しながら暴れ出す。
亡者A「ヒャハハハハハ! 久々の肉の身体だァッ!!」
亡者B「ぶち殺せェッ!!」
亡者たち、店内の人間を片っ端から襲い出す。
人々が殺される中、宇津田は震える。
宇津田「な、なんだよこれ……最高じゃん!!」
恐怖していると思いきや、宇津田は目を輝かせて喜ぶ。
宇津田、両手を伸ばして生き生きとした顔になる。
宇津田「世界が滅ぶぞ! 俺の願いが叶ったんだ! 神様ありがとうっ!!」
宇津田「こうなったら俺も暴れるしかねえだろ!」
カウンターを乗り越えた宇津田は、野球部員の死体から金属バットを奪う。
それを使い、ハンバーガーを齧る亡者の後頭部をぶん殴る。
宇津田「ボケがァっ!!」
亡者A「うぎゃっ!?」
宇津田、亡者を滅多打ちにして撲殺する。
宇津田、返り血塗れの顔で恍惚とした笑みを浮かべる。
宇津田「最っ高……」
亡者B「何してんだこの野郎ッ!!」
別の亡者が宇津田を押し倒す。
亡者の焼けた手が宇津田の顔面に触れる。
顔を焼かれる苦痛に宇津田が叫ぶ。
宇津田「あぐあああああああああぁっ!!」
宇津田、怒り狂って亡者を殴り倒す。
そこから金属バットで撲殺する。
顔面に火傷を負った宇津田、金属バットを振り回して叫ぶ。
宇津田「クズどもが! 皆殺しだ!!」
●半壊したファーストフード店
死体だらけで燃える店内。
満身創痍の宇津田、テーブルの上に座ってコーラを飲んでいる。
血と火傷だらけの宇津田、片目が潰れている。
宇津田、コーラを投げ捨ててゲラゲラと笑う。
宇津田「ハッハハ! やってやったぞ、クソ! はぁ、スッキリした!!」
宇津田、厨房裏の休憩室へ向かう。
宇津田、床に倒れる中年男性の死体の頭を踏む。
宇津田「店長、お疲れ様ですっ! 俺、今日で辞めるんでよろしくお願いします!」
宇津田、パイプ椅子に座ってスマホを確認する。
ニュース番組で、キャスターが深刻な表情で喋っている。
キャスター「現在、全世界で謎の人体発火と暴動が発生しております! 危険ですので決して家から出ず、安全を最優先に――」
宇津田「よしよし、皆が俺と同じどん底に落ちてくれた」
スマホを観ながらニヤニヤと笑う宇津田。
その時、レジの方面から声が聞こえてくる。
愛園(off)「すみませーん!」
宇津田「客? こんな時にふざけんなよ……」
苛立つ宇津田、金属バットを引きずってレジへ向かう。
怒りながら笑顔を作る宇津田、助走をつけて金属バットを掲げる。
宇津田「いらっしゃいませー!! 本日のオススメは撲殺でーす!!」
愛園「いりませーん」
レジで待っていた愛園愛香、巨大なシガーカッターを宇津田の首にセットする。
シガーカッターの刃が、宇津田の首を挟み込んで切断する。
宇津田、きょとんとする。
宇津田「うえっ」
宇津田M「は? は? 何が起こった?」
宙を舞う宇津田の生首。
その状態で宇津田は愛園の武器を観察する。
宇津田M「何だあれ。葉巻を切るやつじゃん。デカいな」
宇津田の生首、床に落下する。
胴体から鮮血が噴き出す中、愛園はシガーカッターを掲げて無邪気に喜ぶ。
愛園「チョンパ、チョンパ! 首チョンパー!」
宇津田M「ギロチンの処刑ってしばらく意識が残るらしいけど、本当だったんだ」
徐々に暗くなる視界の中、宇津田は思考する。
宇津田M「俺は死ぬのか。嫌だ……まだ終わりたくない。せっかく楽しくなってきたのに!! 俺は生きる! そして世界をぶっ殺す!」
宇津田が決意した直後、切断された頭部が燃えて炭化する。
さらに胴体の断面から花火が連発し、むくりと起き上がる。
愛園は不思議そうに首を傾げる。
愛園「ほえ?」
首無しの宇津田、起き上がって金属バットを構える。
愛園、目をハートにして喜ぶ。
愛園「うっわ、生きてる! 最高!」
宇津田「……うるせぇよ。お前も不幸にしてやる」
胴体から声を発する宇津田、愛園に殴りかかる。




