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続編3「ヒーローって汚い」
ねぇ。
君には将来の夢ってある?
私にはあるよ。
ヒーローになること。
みんなを助ける、かっこいいヒーロー。
小さい頃からずっと憧れてた。
困ってる人を助けて。
悪いものをやっつけて。
誰かに「ありがとう」って言われるの。
素敵だなって思ってた。
でもね。
思ってるだけじゃ駄目なんだ。
ちゃんと行動しなきゃ。
だから私は、小さなことから始めた。
道に落ちてるごみを拾った。
迷ってるおばあさんを案内した。
泣いてる子にティッシュを渡した。
いいことをするたびに、少しだけヒーローに近づけた気がした。
もっと頑張ろうって思った。
この世界には、助けを待ってる人がたくさんいるから。
未来ある子供たちのためにも。
……そう思ってた。
あの日までは。
古い家の裏庭だった。
小さな畑。
しゃがみこんでいた、ひとりの男の子。
楽しそうに笑いながら、土を掘っていた。
「おいしくなーれ」
そう言って。
そして。
土の中から顔を出していた“それ”を、嬉しそうに抱え上げた。
私は見ていた。
ちゃんと見ていた。
あの子が何を持っていたのか。
分かっていた。
なのに。
声をかけられなかった。
止められなかった。
逃げた。
何も見なかったことにして、家に帰って鏡を見た。
そこに居たのは私。
映っていたのは私。
真っ黒になった、私。
ヒーローって汚い。




