十話 終わりの御告げ
ホテルに入ってから数分がたった。こっぱずかしいような不安な気持ちが私と謙二君に漂っていたんだとおもう。そんな時、唐突に部屋の窓があいた。すぐには認識出来なかったが、死神とムーちゃんだとわかった
「本当、ヤバい状況になってしまいました」
「ムーちゃん。あれは仕方ないよ。うん」
何故か三人?はどんよりして生気を失っているようだった。いや、元々からあるのかわからないけど
「どうしたの?」
私の質問には、ムーちゃんが少しの間を開けて話してくれた
「前にも話したように、地面から突出している針。それに安定して乗っている板。このそれぞれの橋に乗っているのが、人間界と死神界と天国。そして針の中心が無です。
そして今、契約破棄の目的で死神界に行ったのですが、死神大王が認めない上に、人間界に攻めてくると。なので、人間界が大混乱に陥り、また、バランスがとれなくなった板は、崩れ落ちます」
自分達が人間じゃないというだけで混乱なのに、もう、対処のしようがない
「じゃあどうしろってんだよ!俺達にただ崩壊していく様を見届けろって言うのか?」謙二君が涙目で足掻く
「方法なら……一つだけあります。」
その言葉を聞いたとき、私たちにの心に小さな灯火が点いた
「そ、それって!」
謙二君も顔を輝かせながらムーちゃんを見た
「それは、契約者のどちらかが、死ぬことです。」
「――――――へっ?」
「契約はそんなに甘くないのです。今回のような契約は本来、契約者が死に至る程の重要なものです。そう簡単に破棄は出来ないらしいのです」
気がついたら側にいた、赤の他人(死神)。それでも、
楽しかった。心からそう思った。私達が結んだ契約の副作用は余りにも苦痛で苦行だった
――――――――――――
「いいの?」私はナディスに投げかけた
「仕方ないよ。僕から始まった連鎖だもん。僕が〆なくちゃ」
琴「もっと、生きて欲しかった」
涙が止まらない。こんなにも形容しがたい胸の痛みが襲うとは思ってもみなかった。
「死神だから、死なんてへっちゃらだよ」
あれほど説いた死という概念の本当の意味、いや経験というものがしたことがなかった私にとって、これほど直に迫った瞬間は生まれて初めてだった
「じゃあね」
「またどこかで」
最後のナディスはどこかカッコ良かった
私はもう一度唇の皮を剥き、ペンのストラップにキスをした。するとナディスが消えた。
二重契約は実体を宿らせるらしい。けどそんなことはどうでもよかった。私はただ悲しくて。悲しくて。悲しくて。
目頭が痛かった。頭に熱い蒸気が籠った。喉の奥から涙が溢れた。
そして私の死神に生きる意味を教える物語は終わりを告げた。




