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婚約破棄された悪役令嬢は、役割を与えられない場所で静かに生きる 〜尽くしても報われなかった私を、理由も聞かずに受け入れてくれる領がありました〜  作者: 東雲透


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第73話 軍部の懸念

 王城西棟、軍議室。


 壁には国境線の地図が掛けられ、赤と青の駒が整然と並んでいる。


 将軍アルドリック・ハルヴァーンは、腕を組んで報告を聞いていた。


「北方港、再稼働確認」


「第一便到着。以後、定期便化の可能性」


 若い副官が言う。


 アルドリックは低く息を吐く。


「やったか、あの男」


 辺境伯アレクシス。


 戦場で何度も並び立った相手だ。


 無謀ではない。


 だが、止まらない。


「宰相府は問題視しています」


「知っている」


 アルドリックは地図の北端を見る。


 外洋。


 北方海洋国家。


「北方との関係は悪くない」


「むしろ、安定している」


 副官が頷く。


「はい。軍事的緊張は低い」


「ならば」


 アルドリックは机を叩く。


「港再稼働は悪手ではない」


 軍は現実を見る。


 戦時に物流が一本化されている方が危険だ。


 王都が封鎖されれば、全てが止まる。


「中央集権は効率的だ」


「だが、折れれば終わる」


 宰相は統制を好む。


 だが軍は“持続”を重視する。


「辺境を締め付けすぎれば、北方が不安定になる」


 それは国境防衛に直結する。


「将軍、宰相府と対立しますか」


 副官が問う。


 アルドリックは首を振る。


「対立はせん」


「だが、王太子には進言する」


 静かな決意。


 軍は政治に深入りしない。


 だが、国家の安定を損なうなら口を出す。


 その頃、王太子宮。


「軍部が港再稼働を支持しています」


 側近が報告する。


 レオンハルトは目を閉じる。


 予想通りだ。


 宰相派は統制。


 軍部は安定。


 辺境は分散。


 三つの思惑が、今、ぶつかり始めた。


「均衡が崩れる」


 小さく呟く。


 崩れた均衡をどう組み直すか。


 それが王太子の役目。


「辺境伯を召喚する」


 側近が一瞬目を見開く。


「正式に、ですか」


「協議だ」


 裁きではない。


 対話。


 だが、それは公の場になる。


 宰相も、軍部も、議会もいる。


 そして。


 港再稼働の設計者も。


 軍議室でアルドリックは窓の外を見る。


「嵐にはならん」


 低く言う。


「だが、風向きは変わった」


 王都は静かに揺れ始めている。


 辺境は動いた。


 今度は、王都が動く番だ。

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