一番
オレは、慌てて美華に電話した。
「美華、今どこ⁉︎」
「病院で薬もらったところだよ?」
「病院…今すぐ行くから待ってて‼︎」
「え、もうすぐ帰るからそのままユウタの家行こうか?」
「ううん、オレが行く‼︎今すぐに」
「なんかユウタ…最近心配性すぎん?」
「そりゃなるって‼︎病院の近くの公園で待っててほしい。もう向かってるから」
「はーい、なら待ってるねー。」
美華は、いつも通りのトーンだった。
もうすぐうまれるはずの赤ちゃん…
どうして、うまれなくなったんだよ⁉︎
なんなんだよ‼︎
どうして…
全力疾走で、美華のいる公園へ向かった。
はぁ、はぁ、美華…
美華…
「美華‼︎」
「あ、ユウタ…めっちゃ走ってくるじゃん」
「美華‼︎うまれないって、どういうことだよ⁉︎今日、なんで病院行ったんだよ⁉︎」
「え、だからこれ以上うまれないように薬もらってきたんだよ?」
…
え…
「それって…お腹は⁉︎赤ちゃんは⁉︎」
「赤ちゃんいうなし。」
…
え…
触れちゃいけなかった…⁈
でも、聞かないとダメじゃん⁇
ここで、きちんとしなきゃ…
「でも、そこ大事なところだから」
「え、そう…なの?」
「そうだよ‼︎あたりまえじゃんか‼︎」
…
「へぇ、ユウタって意外と見た目重視だったりする?」
見た目…?
「それって…どういう意味?」
「だって、太ってたらそんなに…イヤなんだ?」
…
「え…?ん?美華は、太ってないし…あの…えと、…」
…
「めっちゃ言葉詰まるじゃない」
「そりゃ、そうなるじゃん‼︎なんて言ったらいいんだよ?そもそも赤ちゃんは⁉︎なんでうまれないの?」
「だから、薬のおかげなの」
え…
今の時代って、そんなに簡単に…?
「じゃあ、あの…言いにくいけど…赤ちゃんって…もういないの?」
「うん」
…
え…
「じゃあさ、オレたちって…結婚する意味ないんだ」
「はい?なぜそうなった?」
「…美華はさ、ほんとは秀が好きなんでしょ?」
「ん?そんなわけなくない?そもそも秀って、知佳子ちゃんとラブラブなの…知ってるよね?なんでそんなこと?」
「だって…音声残してまで、秀と結婚したかったんだよね?」
…
「秀?違うよ?音声は、ユウタの声だよ?」
え?
「あの…実は、まだ消してない…の。」
「オレの…声?」
「うん…。風邪ひいて熱出してる時…のやつ…」
ん?
風邪ひいて熱出してる時の⁇
「え、いっかい聞かせてもらってもいい?」
「うん…」
美華が、携帯で再生してくれた。
「ユウタ、水飲む?」
「うん」
「頭痛い?」
「うん」
「冷やすやついる?」
「うん」
「結婚しよう」
「うん」
結婚の約束をユウタの熱がある時、無理矢理約束したと言い出す美華。
なんでもうんうんいうから…水飲む?うん。頭痛い?うん。冷やすやついる?うん。じゃあ結婚しよう?うん。と…それを録音もしていたらしいのだ。
「え、なんでこんなこと…」
「だって……このままじゃ、ずっと幼馴染で終わりそうで不安だったから、約束したかったの。」
…
そうか。
そういうことか。
「でも、…できちゃったのって…赤ちゃんは?」
できちゃったのは、試作品のチョコケーキ食べすぎてニキビがたくさんになったことだった。
そして、カレーとから揚げをごちそうになったとき、こんな時にできちゃうなんてってやつは、お腹痛いときにケーキ焼けたってことだったらしい。
そんでもって、その日キスしてくれなかったのは、カレーにもから揚げにもニンニクたっぷりだったから、ファーストキスをニンニク臭にしたくなかったのだそうです。
ちなみにたくさんのレモン購入は、チョコケーキの隠し味で、皮が使われていたそうな。
秀に内緒なのは、バレンタインに知佳子ちゃんが、サプライズで驚かせたかっただけ。
…
でもさ、できにくいってなんだろう?ってきいたら、ニキビのことだった。
あぁ…
でも、秀の一番二番は…なに?って聞くと、喫茶店の新メニューだった。
二個あって、票が多い方をお店で出すのだそう。
あー…
なら、オレって…
みんなから…
相当ヤバいやつにみえてた?
「美華…オレ、めっちゃ変な勘違いして…ました。」
「うん、でも勘違いから目が覚めたんでしょ?それに、特に問題なかったよ?むしろ、優しいなって思ったよ?実際、パパになったらこんな感じになるんだなってさ」
「美華、なんてポジティブなんだよ!大好きだよ‼︎」
「わたしも大好きだよ♡」
あれからオレは、秀にも詫びた。
知佳子ちゃんにも。
二人は、笑って許してくれた。
てか、めっちゃ大爆笑された。
で…母ちゃんは、なんだったんだ⁇
家に帰って、母ちゃんに聞いてみた。
「前に、オレってできにくいって聞いた時、なんで優しくすればいいって言ったの?」
と。
そしたら、
「えっ?あのお菓子持ってた時だよね?これ、出にくいって言ったんじゃないの?大切なお菓子なんだろうなって思ったんだよ。と言いますか…なんでまたそんな話を?やっぱりあれって…美華ちゃんからだったの?いまだに念を持ってるってこと⁉︎そんな…そんなに美華ちゃんが大好きなのね!だから、あれは…一番に食べてごめんって言ったじゃないの。またぶり返すのね?なら、いいわ。美華ちゃんに新しいものを調達してもらって…」
…
「怒ってないよ…てか、あれは美華のおとうさんからもらったんだし。」
「じゃあ、なんで?なんで何度も、そんなに…」
「あー、ううん。ただ聞いただけなんで…もう大丈夫っす」
「そう?でも、やっぱり…」
「だから、大丈夫!大丈夫だから」
「なら、よかったー。来年は、一番に食べないように気をつけるね?それならいいわよね?」
…
母ちゃん…二番目に食うつもりだ…な。
でも、よかったぁ。
そっかそっかぁ。
明日は、秀の一番二番が決まる日だ。
オレも投票しなきゃな。
(明日、わたしも一番二番の投票結果見に行くから、一緒に行かない?)
美華からだった。
(うん、行こう。でも、オレの一番は美華だよ)
(わたしもだよ♡)
明日、秀の一番が決まる。
オレの一番は、美華だ。
そして、大切な家族も友達も一番だ。
一番がたくさんあってもいいと思う。
一番好きな彼女
一番大切な家族
一番優しい友達
一番でも、それぞれだ。
明日、一番に美華に愛してるを伝えようっと‼︎
おしまい♡




