体育祭編・その3(完)
=琴乃市近くのとある倉庫内にて=
『何でここの居場所がバレた!?』
『こんなの聞いてないぞ!?』
『応戦、応戦しろ!?』
ここはとある倉庫内。
琴乃学園にいる藤崎 シノブ、谷村 亮太郎に襲撃を仕掛けようとした、日本政府の過激派などの息が掛かった過激派の集まり。
そこには財団のパワーローダー部隊やガーディアンズ、今の日本政府のやり方に疑問を抱く人々などの協力部隊がこの場に参加していた。
敵の武装は凄まじく、銃火器などは当たり前。
装甲車に手足をくっつけた様なパワードスーツ兵器、パワーローダーや大型のパワーローダー、各種ドローンなどが配備。
少女A事件終盤で投入され、日本橋側の戦闘機に撃墜されたロボット兵器なども投入されている。
『やはりいたか怪人軍団!?』
デビルズカードの怪人軍団が現れる。
ハンドレッド事件でも確認された個体ばかりだ。
『気合入れろテメェら!! こいつらを倒せんようじゃ、日本は救えんぞ!!』
『ライドセイバー抜きでもやってみせろ!!』
『『『『『『『『『『了解!!』』』』』』』』』』
その場に居合わせたガーディアンズ、財団、協力者達も気合を入れる。
世界最新鋭の武装にパワーローダー、更にはとある伝手から提供された変身スーツも投入された。
『凄いですよこのスーツ!?』
『このスーツさえあれば戦える!!』
ニチアサとかでよくあるベルトをつけて変身する式のハイテクスーツだ。
これが士気の全体的な向上に直結する程にとんでもないスーツだった。
提供する側も『宇宙犯罪組織とか、異次元帝国とか、異世界の帝国と手を組んで悪事を働くような連中が相手だから大丈夫だよね?』との事だ。
ただ製作者サイドの趣味なのかスーツのデザインがかなりニチアサ的だった。
そこへ更にガーディアンズのヒーロー達も投入されている。
彼達にとって特に脅威になりそうな相手はハンドレッド事件のデビルズカードの怪人だ。
下手に追い詰められば50m急に巨大化したりするが、万が一のために巨大戦力も用意してあるので大丈夫である。
☆
Side 北川 舞
=指揮車両内=
指揮車両内。
北川 舞は私服姿で各所に指示を飛ばす。
2年前の闇乃 影司絡みの一連の騒動の影響もあるのだろうが、最近の日本政府はとにかく劣化が酷い。
日本の政界、財界に掬っていた悪党どもは私兵集団を纏めて異世界リブラリアに逃げ込んだそうだが、「世界を跨いで殺しに来るのでは?」と疑心暗鬼になっているのか、こうしてちょっかいを出してくる。
日本政府だけが世の中全ての悪だとは言わないが、それでも放置するには目に余る連中だ。
ガーディアンズや財団がいなければ全世界VS日本と言う構図さえもありえた程だ。
何をどう足掻いても日本政府は全地球人類の敵になったと言う事実は変わらない。
2年前の闇乃 影司の日本政府を滅ぼすべきだったと言う決断は正しかったのではないかとさえ思う。
これもそれも、必要悪だとか言いながら今さえよければいい、自分さえ良ければいいと言う犯罪者心理の積み重ねの結果でしかない。
「戦闘は我々に有意な状況です」
「主だった構成員も確保。もう間もなく鎮圧する模様」
「各員よくやった。引き続き戦闘を続行。敵が証拠隠滅のために被疑者や現場もろとも消し去る恐れがある。油断せずに動け」
『了解!!』
舞は今の状況に意識を戻す。
主だったイレギュラーもない。
勝ち戦であるが、警戒するように指示を飛ばす舞。
Side 藤崎 シノブ
=部活対抗リレー=
部活対抗リレーは色んな意味で盛り上がった。
刺激が強すぎる光景に盛り上がる十代の男子を白い目で見る女子の構図でもある。
爆乳が揺れる揺れる。
あんまり多くを語ると面倒な事になりそうだ。
あんまりにも眼に毒過ぎる。
シノブはマスクを被っていて良かったと苦笑いをする。
保護者からクレームが来そうだが、その辺りは学園の判断だろう。
一位は無難に陸上部。
二位は野球部。
三位はプロレス部だった。
☆
=体育祭終了・放課後=
体育祭はこれと言った事件もなく、後片付けの時間になる。
一年A組は罰則の一環として後片付けも完了する事になった。
流石に高い機材の片付けとかはプロの業者とかが行う。
ガーディアンズの側とかに一騒動、大規模な取り締まりがあったそうだが、自分達のお呼び出したがなかったのを見る限り大した手間ではなかったのだろう。
向こう側が気を利かせたのもあるかもしれないが。
「一年A組を代表しまして、乾杯の音頭を取らせて頂きます。では乾杯!!」
後片付けも思った以上に早く終わり、一年A組で遅めの教室での打ち上げ会。
学校側の罰則は終了した。
生徒への懲罰的な罰則が残っているが今ぐらいは楽しんで良いかなと思っている。
「谷村さんどうしたんですか? シリアスな顔をして」
おかっぱ頭で不思議そうな雰囲気が漂う少年、谷村 亮太郎は手にタブレットPCを抱えて真剣な眼差しで画面を見つめていた。
「本当は学校に仕事は持ち込まない主義なんだけどね。ちょいとまた厄介な事が起きそうなんでね」
「それは—―」
「どう言う厄介事かはまだ言えないけどね」
そう言ってタブレットPCを仕舞い込んだ。
まるで一流のマジシャンの様にパッと消える。
アイテムボックスに仕舞い込む動作は第三者視点から見るとそう見えるのだ。
「日本政府のアレコレも無視できなくなってきたし、もうそろそろしたら異世界に乗り込まないといけないかなぁ?」
言わんとしている事は分かる。
他人事で済ますには日本政府はやり過ぎた。
世界の敵である。
日本VS全世界の第三次世界大戦すらもありえたぐらいの所業だ。
そうならないのはガーディアンズや財団などが手を回しくれた御陰などもあるのだろうが、デビルベアー団やアークゾネスなどのI市の人達の存在も大きいのだろう。
変に世界規模で封鎖しても、日本が一人勝ちして宇宙進出し、一足先に単独宇宙大航海時代とかもありえるからだ。
だからと言って日本政府が強気に出れるかと言えば、世の中そう単純ではない。
デビルベアー団やアークゾネスも今の日本政府に不信感を抱いているそうで、アニマ宇宙連合も武力介入を考えていたらしい。
本来なら最初のジャマルの信仰の時でも危険信号だったらしく、一歩間違えれば宇宙からガ〇ラスかガ〇ランティス並の軍事力と技術力を動員し、ガンネクスのスページア公国を再現したマシンセイバー軍団が攻めて来る事態もありえたのだとか。
「正直今の日本政府は宣戦布告に必要な大義名分に事欠かないしね。アイドルとしたいがために街を焼き払う様な奴が衆議院の与党やっていたりするから。そんな政治家達の尻拭いしろと言うのは酷な話だとは思わんかね」
「おっしゃる通りです……」
付け加えて言うなら二年前の時点で非人道的な人体実験したり、口封じのために自衛隊を使って民間人虐殺したり、自分達の非人道的な人体実験データーの内容が記されたEー00ファイルを巡って世界中の暗部要員と凄惨な殺し合いとかも引き起こした。
そのせいで関東圏の裏の勢力や退魔師や魔法使いに類する人達は日本政府に絶縁状を叩きつけたそうだ。
未だに恨んでいる人間は大勢いるらしく、関東で日本政府への暗殺が横行しているのはそう言う裏の事情があるらしい。
権力の後ろ盾を失った悪党の末路は何時の時代も悲惨である。同情もされやしない。
そんな連中の尻拭いするのは誰だって嫌だろう。
「お気持ちは分りますけど、せっかく運動会が無事に終わったんですし、今日ぐらいはそう言う物騒な事は無しで楽しみましょうよ」
このままだと延々と政府への悪口が続きそうなのでシノブは強引に話題を変える。
亮太郎も「僕が悪かったよ」と謝る。
「いえいえ。迷惑掛けたくない気持ちとかもあるかもしれませんけども、頼る時は頼ってくださいよ?」
「ああ—―それよりも僕に構ってないで、さとみさんと相手しなさいよ」
「そう言う谷村さんも、綾瀬さんと相手しないさよ?」
「ああうん、そだね」
珍しい事に顔を赤くして目線を反らす亮太郎。
恋愛関係になると、途端に外見の年相応な感じになる男なのだ。
並行世界の自分との知識や経験、スキル共有をしているとは言え、恋愛の経験はそれ程無かったのか、恋愛その物が苦手なのかは分からない。
あるいはどっちもだろうか。
(さてと……)
そう言われて藤崎 シノブは黒川 さとみの方に出向く。
黒川 さとみはクラスメイト達と談笑していた。
男の自分がその中に入り込んでもいいのかなとも思うが、クラスメイト達がシノブの顔を見るや否や「お邪魔虫は退散するか」、「後はゆっくり二人きりで楽しんで来てね」と送り出されるさとみ。
「邪魔したかな?」
「ううん、いいの—―」
顔を赤らめて視線を反らすさとみ。
何だかとても恥ずかしそうだ。
「あのね。この後暇?」
「うん? まあ暇だけど」
「じゃあさ、どっか出かけよう」
「……あ~夜遅くならない範囲でな」
「う、うん」
これはアレだ。
どっかの景観のいい場所に案内しなければならない感じのシュチュエーションだ。
唐変木の主人公ムーブすると女垂らしどうこう言われる以前に後が怖い。
☆
二人ともパパッと私服に着替えて転移魔法を使い日本橋に来た。
駅周辺のショッピングモールの屋上。
騒がしい事件だらけの街の綺麗で落ち着いた場所。
まだ気温が高く、クーラーが必須な日本の気候。
都会の空だから星空なんて物は見えない。
「異世界でも都会だと星空は見えなくてな。綺麗な星空を見るには都会から離れてないとダメだった」
「へえ……地球のと比べてどうだった?」
「俺はあんまりそう言うのに興味なかったからね。異世界から帰還してからこの一ヶ月、日本橋と言うか大阪府内でと言うか事件が立て続けに起きていてそう言う暇が無かったから」
「そう……ごめんね、世界を救った後なのにあんな事件に巻き込んで」
さとみが言ってるのは異世界から帰還後、最初に巻き込まれた事件のことだ。
「いいんだよ。結果的にさとみを救えたし、大勢の人も助け出せた。満点の結果じゃないかもしれないけど、あの時ああしなければ、これまでの自分を否定する事になる。それだけじゃなく、異世界の仲間とか何もかも全てを裏切る行為だ」
勇者としてではなく人としてどうかと言う問題だった。
もしも、一人の女の子を犠牲にして平穏を楽しむようなら、それは勇者とかどうこう以前に異世界で旅した仲間達全員、魔王サウラスや賢者をも裏切る行為だ。
「本当にシノブって凄かったんだね……正直自分が傍にいていいのかなって思うようになってきて……私、傍にいてもいいんだよね?」
「俺はいいと思う。それでも不安に思って、だからアレコレ頑張ろうとしてるんだろ?」
「う、うん」
「ありがとうな。俺のために色々と頑張ってくれて」
「――うん。私戦隊ピンクの夢とかまだ諦めてないから。シノブの事も諦めない」
さとみは目尻に涙を浮かべつつ笑顔でシノブに告げた。
☆
【オマケ】
少し時間が経過し、シノブはさとみにある事を告げた。
「今日の体育祭、クラスの皆と一緒に凄く頑張ったな。チャンバラも凄かったし」
「そ、そう……ありがとう。てっきりチャンバラの件については卑怯者呼ばわりされるかと思ったけど」
「チャンバラについては、まあやられた身としては色々と思う所はあるけど、真剣に勝負を挑んでくれてありがとうって言うのが本音かな?」
「ど、どうも……」
などと照れくさくなりながらもさとみはホッとするのであった。
チャンバラの件は自分でも少しやり過ぎたかなと思っていたからだ。
出来れば正攻法で勝ちたい物だとさとみは願う。




