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桃源の乙女たち  作者: 星乃 流
十三章「銀の双子」
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第七話(第五十五話)

 ――敗けてたまるか。

 このくそったれな里を、家をもっともっとぐっちゃぐちゃにしてぶっ壊すまで、まだやられるわけにはいかない。いかないんだ……。

 だのに……! なんなんだお前は!!

 ちょっと前まではただ守られるだけで何もできない雑魚だった癖に、何がお前をここまで強くした。

 ――畜生が。

 左腕が、左手が疼いてきた。無茶をし過ぎたせいか、アズミの術で誤魔化せられるのももう限界のようだ。

 ――どうにでもなれ。

 左手に、ありったけの巫力を込める。

 ――刻印よ、その力、全て使い切れ! この腕ごと、体ごとくれてやる……!

 宙に光球を浮かべ、左手に炎を纏わせ、さらに右手にはより凝縮した光の球を構える。遠距離は全て弾かれる、避けられる。

 ――ならば、無理やり、直接叩き込む。

 後のことなんて知ったことか。こいつに勝てるならもうどうなってもいい。どうなってもいい……!

 ――だから。

 一撃くれてやる!

 「倒れろォ!!」

 宙に浮かべた光球全てを光の矢として奴向けて撃ち込む。命中精度などの制御は滅茶苦茶だが、もうどうでもいい。奴がこれを回避したところに炎を撃ち込み、風で受け止めさせ、最後にこの光球を矢にして至近距離で撃ち込めば……!

 ――地を見守る雷よ

 彼女にただ、ひとときの眠りを――

 最後にそんな言葉が聞こえた気がした。

 (オレは…………僕は……私は……ま……だ…………)

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