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桃源の乙女たち  作者: 星乃 流
十一章「風の詩」
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第四話(第四十二話)

 「おそらく言霊(ことだま)ってやつです」

 セラは息も絶え絶えに逃げ出してきたカルナにそう告げた。

 「何なんだよそりゃ……」

 言霊とは本来、使いたい術の形のイメージを「言葉」で補うことでより簡単に使いやすくする技術らしい。

 それだけならいいのだが、それを応用すると個人の領分をも越えた大きな力を扱えてしまうため、いつからか使うこと自体が暗黙の了解として禁じられることとなり、現在は風化してしまったようだ。

 誰も、誰からも教えられることはなく、今の子は存在をほぼ知らない。大人世代だってたぶん同じだ。セラもたまたま古書で読んで知識として知ってはいたが、自身が使うことはできない。

 エリンが何故、そんな言霊をあれだけ易く扱えるのかは分からないが、ともかく今のままだと姐さんに勝ち目はまずない。特に今の情緒不安定な姐さんでは……。

 あれは火力で押し切れるような代物じゃない。さっき見せた以上の術技をおそらく彼女は扱える。

 だから姐さんには、今は一旦エリンのことは諦めてもらおう。――そう説得しようとしたのに。

 「……駄目だ。たったあれだけで逃げ出してたら……あたしは本物の臆病者だ!」

 微かに震える声を荒げ、カルナはそう吐き捨てた。

 ――姐さん、もう臆病者でいることが嫌になったんですね。

 ならば止めません。

 最期のその時まで、貴女のことを見届けます。見届けさせてください。

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