森での邂逅
「涼音さま、お昼ですよ。」いつものようにキャラが涼音に声をかける。
「うが。」女子高生が出しちゃ駄目な声を上げて涼音が覚醒する。
「涼音、あとで道楽亭に顔を出すね。」桃花がそう言いながら、食堂に向かう。
「涼音様?」キャラが涼音の顔を覗き込む。
「あ、あぁ、購買だね。」そう言いながら涼音が覚醒する。
そして、二人が向かった購買は、いつもの通り戦場だった。
「焼きそばパンとコーラ。」
「焼き肉弁当!」
「コロッケパンとコーンスープ!」
おぉ、メニューが増えてるよ、そう思いながら購買のお姉さんを涼音が見る。
いつものようにアイコンタクト。
飛んでくる、紙袋に入ったおにぎり3個とミネラルウォーター。
その金額分の硬貨を投げ入れる涼音。
はぁ、流石ですと思いながら、同じようにパンの全種類と、千円札2枚を交換するキャラウェイ。
「はぁ、やっぱ、何回見ても涼音の投擲交換凄いな!」
「いや、キャラウェイ様の札交換も見事だ。」
最早、二人ともお昼時の風物詩となっていた。
道楽亭に着くが、いつもの攻撃が来ない。
涼音は、ドアを開けて中をのぞく。
「涼姉様、お帰りなさい。」カウンターの奥から宝塚の男役の様な姿の猫娘が言う。
「うぅ、慣れない。」涼音がそう言いながら道楽亭に入る。
「シュワ様、ごきげんよう。」キャラがにっこりとほほ笑んで言う。
「あら、キャラウェイ様、ごきげんよう。」シュワが返す。
(どこのお嬢様学校だ!)涼音が心で突っ込む。
「お! 涼音、良いところに。」珍しくカウンターの処にいた理沙が涼音を見て言う。
「え?」涼音は一瞬固まる。
「救出依頼が入ってるんだ。」理沙が事務的に言う。
「救出依頼?」涼音が答える。
「そう、救出依頼。」更に事務的に理沙が言う。
「どこの?」涼音が問う。
「森の。」理沙が言う。
「理沙姉、森に入るのは自己責任だよね!」涼音が言う。
「あ~、今回のはレアケースかな?」
「レアケース?」
「ここじゃない森から、ここの森に入ったらしい。」
「はい?」
「なにそれ?」
「いや、私も全然解らないよ.」
「へ?」
「いきなり、境森に何処の人間かわからない、只の女学生20人と、獣人3人が現れたんだ。」
「へ?」
「その全員が、森の外に出たいと言ってるんだが、森が拒絶しているんだ。」
「何それ?」
「すまない、私も訳が分からない。」理沙姉が頭を抱える。
「とりあえず、その人たちは?」
「森の出てきた場所で待機してもらっている。」
「それが?」
「境森だ。」理沙がため息をつく。
「理沙姉。」
「なに?」
「報酬弾んでくれるよね?」
「今回ばかりは、肯定するよ!」
「おぉ、元気百倍。」そう言いながら涼音は森に向かう。
「乗り掛かった船なのでしょうね。」キャラウェイもそう言いながら涼音に続く。
「さて、境森まではただの散歩だね。」
「えぇ、そうですね。」
「ふふふ、キャラも通常運転だ。」
「お昼ご飯がまだですから、ちゃっちゃとこなしましょう。」
「そだね。」
そう言いながら、慌てず、のんびり、急いでそこに行く。
「ちょ、これ、サラマンダーだよね?」
「えぇ、それと、人間と言うにはあり得ない魔力?」
「遮断!」涼音が隠密行動を始める。
(これは、あたしじゃ敵わない? いや、奥義を使って相打ち?)
(いや、穏便にいけばそれに越したことは。)そう考えながらその場所に行くと。
(あれ? 3人しかいない。そして、その3人を目の前にして困った顔の人間とサラマンダー?)
(とりあえず、接触してみるか。)そう思いながら声をかける。
「そこの、サラマンダーと人?らしき者、敵意はないから、話をしても良いかな?」
「ん?」そこにいた男がこちらを見る。
あたしたちは森の流儀にのっとって、目を瞑りながら言う。
「そこにいる者たちの救出依頼を受けて来た者です、敵意はありません!」涼音が言う
「あぁ、俺はお前達に敵対しない、俺に攻撃しない限りな。」そこにいた人間が言う。
「感謝します、目を開けてもよいですか?」涼音が言う。
「は? 好きにしていいぞ。」その人間が答える。
「おぉ、感謝します。」そう言いながら涼音は目を開ける。
「おぉ、俺はケイジだ、宜しくな。」そこにいた男が言う。
「え? あ、私は結衣涼音と言います、今は忍者やってます。」涼音が答える。
「私は、キャラウェイ・クリシュトガー、見ての通りの者だ。」キャラも答えるが、なんかかみ合っていないなと涼音が思う。
「おぉ、んで、こいつらを連れて行ってくれるって事で良いか?」ケイジと名乗った男が言う。
「あ~、依頼は23人で受けてるんだよ、20人は?」涼音が答える。
「俺は、20人の救出依頼を受けた。 そして、20人は救出済みだ。」ケイジさんが答える。(もうケイジさんで良いや。)
「あ~、違う世界の人たち?」涼音が問う。
「あぁ、森が繋がってるとか。」
「あ~、そう言う事か。」涼音は納得した。
「ん?」
「ケイジさん、だっけ?」
「おぉ。」
「んじゃ、あたし達はそこにいる獣人3人を保護して帰るから。」
「あぁ、話が分かる奴で良かった。」ケイジさんが言うが、貴方の魔力尋常じゃない、そう思いながら答える。
「あはは、あたし達がぶつかったら世界が終わるじゃない。」
「何それ怖い。」ケイジさんが怖がった、マジか?
「あははは、ケイジさん、森で合ったら宜しく。」
「その時は、良しなに。」キャラウェイもあたしに続いた。
「おぉ、俺の方からも宜しく頼むよ。」ケイジさんもそう言ってくれた、意外と他意はないみたいだ。
「お近づきの印だ。」ケイジさんは、そう言うと何処からか何かを取り出す。
「え? 今どこから?」あたしが聞くと。
「魔法だ。」そう言いながら唐揚げが乗った、皿を渡そうとする。
「これは?」あたしが聞くと。
「おぉ、俺の世界の凄く美味い鶏の唐揚げだ。」彼がそう答える。
「おぉ、そっちにも唐揚げが有るんですね?」あたしが答えると。
「あぁ、しかし、レモンがないんだよ。」ケイジさんが、意味不明な事を言う。
「レモン、解りました。」つまり、レモンが欲しいんだね?
「え?」
「ここで待っててください!」そう言って、森を駆け抜けて、レモンを買いに行く。
我ながら、なんでこんな行動をとっているのか、理解に苦しむ。
どうして、あの人のために、こんな行動をとっているのか?
まぁいいや、レモンを渡してあげよう。)
そして、八百屋であるだけのレモンを買って森に帰る。
そして、何故かキャラとお見合い状態になっている二人の前に出て言う。
「はい、レモン。」そう言いながらケイジさんにレモンを渡すと、
「おぉ、レモンだ。」ケイジさんが手を握ってきた
「ちょ、ケイジさん、近い!」そう言いながら手を払うと。
「涼音と言ったか?」ケイジさんが聞いてくる。
「えぇ。」と答えると、
「レモンを一定の割合でくれないか?」と言ってくる。
「は?」何言ってるのこの人、そう思っていると。
「俺の世界では、レモンがないんだよ。」語りだした。
「へ ?」
「イカリングが、味気ないんだ。」
「はい?」イカリング?
「唐揚げも、同じ理由で味気ない。」
「あははは。何それ?」あたしは心から笑った。
「いや、最重要事項だろ、美味いものが食えないって。」
「あははは、レモンの苗を渡せば良い?」レモンを定期的に渡すのは無理だ、でも苗を渡せば作れるよね、そう考えて言うと、
「あぁ、其れでも良い。」答えてくれた。
「良いよ。」あたしはそう答えた。
「おぉ、じゃぁ。」
「もう少し待っててくれるかな、あ、キャラ、獣人3人は理沙姉の処に連れて行って。」
「あぁ、解った。」そう言うと、キャラは行動に移ってくれた。
「え~と、近くのホームセンター、どこだっけ?」
「あ~、苗を扱ってるところ、この季節にあるかな?」
「あ、ジョイフル・ケイスケがあった、あそこならあるよね。」あたしは走る。
「あった~、1000円、安いね。」そう思いながら買って森に帰る。
「ふぅ、意外に時間がかかっちゃった。」そう思いながらそこに行く。
「お待たせ~。」そう言うと、
「おぉ、もう少しで、この辺りを廃墟にしようと思ったよ。」と物騒な事を言ってくる。
「あはは、怖いから。」
「いや、マジで。」
「レモンの苗って、ホームセンターにしか売ってないんだよ。」
「あ~、そうなのか。」
「丁度ある季節で良かった。」私がニカっと笑うと
「あ~、ありがとうな。」と、礼を言ってくれる。
「いえいえ、とんでもない。」そう返すと
「代金は、どうやって払おうか。」と言ってくるので、
「え、い~ですよ、別に。」レモンと苗で2000円しないし、そう思っていると
「そう言う訳には、あぁ、さっき渡し損ねたこれで良いか。」そう言いながら唐揚げが乗った皿を取り出してきた。
「あと、これもお裾分けだ。」更に、何かの肉を取り出して、ボールに入れる。
「え?」今も何処から? しかも何の肉?」
「凄く美味いらしいぞ。」そう言ってケイジさんはサムズアップする。
「おぉ。」あたしは一瞬躊躇するが、サムズアップを返す。
「じゃぁな。」そう言うと、ケイジさんは森の奥に走っていった。
唐揚げはすごく熱い。皿には蓋がかかっているから、埃とかは心配ないね。
ボールにも、蓋が乗せられているから、こっちも問題ないか。
「理沙姉に丸投げしよう。」そう思いながら道楽亭に帰った。
ちょっとやってみたかった、作品間の繋がり。
自分レベルの者が、何言っているんだというお叱りは、平にご容赦を。




