最悪の結末
「とりあえず、お前らは山に帰れ!」
「何、意味不明なこと言ってるの? 涼音。」
「いや、なんか、勢いで。」
「とりあえず、オークロードを・・」
「もうアモナさんが屠ってる。」
「おぉ、流石だね~。」
「涼音さん、酷いです、私死ぬかと思いました。」
「レベル上がったでしょ?」
「へ?」
「あんなモンスターの前に一人で出て、生き延びたんだから。」
「あぁ、そう言えば。」森は自分のレベルが数レベル上がったことを確認した。
「と、言う事だから、森さん、ガンガン前に出て。」
「いや、それは。」
「大丈夫、あたしが背中を押してあげる。」
「背中を蹴るの間違いじゃないの。」桃花が涼音をジト目で見る。
「ははは、同じ、同じ。」
「いや、はははじゃないでしょ。」
「嫌だなぁ、単なる娯ら、森さんの公開処け、レベルアップでしょう?」
「娯楽とか、処刑とか聞こえたけど?」
「え?桃花、森さんは処刑される人なの?」
「いや、涼音が言ってるよね?」
「へ? 誰が?」
「「言ってるから。」」ハモって怒られた。
「まぁ、暫くはこの二人に任せておけば、大丈夫だよ。」
「任せるのじゃ!」
「問題ない!」
「あはは、頼もしい。」
「次行くよ、次。」涼音が先を急ぐ。
「ちょ、涼音、待ちなさい!」桃花が涼音を追う。
「ダンジョンの中なのですよね。」森がため息をつく。
「主様達なのじゃ、考えても無駄なのじゃ。」
「うん、ナーガさん、判るような気がする。」
そして、十数階の階段を下った。
「なんか、階層多くない?」涼音が言う。
「え? 判んないよ。」桃花が答える。
「主様、次の階層は駄目です。」
「え? ナーガ、どう言う事?」
「主様、竜種の上位がいます。」
「竜種の上位?」
「はい。」
「ふはは、そのような物、我が排除してくれよう。」
「アモナ、駄目!」涼音が叫ぶ前にアモナがそこに突入してしまった。
「我はアモナ、魔族の上位種と認識せよ!」
その言葉と同時に、アモナが四散した。
「え? 何が?」桃花が言う。
「はぁ、駄目な奴に、喧嘩吹っ掛けちゃった。」涼音が左手で目を覆いながら言う。
「え?」
「ナーガ、桃花を守って道楽亭に帰って、真紀姉を呼んできて。」
「判ったのじゃ。」
「え?涼音、涼音はどうするの?」
「一応、話だけはしてみるけど。」
「してみるけど?」
「桃花だけは守ってみせるよ。」
「なにそれ?」
「早く行って。」
「え? 涼音を置いていけないよ。」
「桃花、きっと、アマテラスでも駄目。真紀姉を呼んできて。」
「え?」
「早く!」
『汝ら、我の拒絶の結界を犯し、悠長なものだな。』
「悪かったね、世間知らずな魔族が突っ込んで。」
「涼音?」
「早く行け!」
「桃花殿!」
『逃がすと思うか?』
「おっと、話を聞いてよ。」涼音が堅牢を唱えながら言う。
『く、届かぬか。』
ナーガは桃花を連れて逃げられたようだ。
「貴方の結界を破ったのは謝罪する。」
『それがどのような意味を持っているか、知っていよう?』
「それを破った、魔族を滅して終わりじゃ駄目?」
『汝らがそれを止めなかったからな。』
「何、その嫌な連帯責任。」
『我の眠りを妨げるとは、そう言う事だ。』
「其れなら、破られない結界を張ればいいのに。」
『ほぉ、お前も我を愚弄するか。』
「はぁ、黒龍様。」
『ほぉ、我を看破するか。』
「今から、あたしが、命を懸けて黒龍様を封印するから、その封印が解けたら話を聞いて。」
『は? 封印? お前が?』
「うん、約束して。」
『ふははは、良いだろう。』
「んじゃ、爆砕堅牢牢!」
涼音の身体が砕け、黒龍の周りを覆う。
『なんだ、これは?』
黒龍の身体の周りを、輝く物体が覆う。
そして、次の瞬間、卵のように黒龍の周りの空間が固まる。
『な?』黒龍が認識したのはそこまでだった。
司祭の最終奥義、爆砕堅牢牢。
己の肉体を触媒として、対象を拘束する技。
「かけた自分も固まる最低技だ・・。」薄れる意識の中で涼音が思う。
涼音は司祭の最終奥義を会得していない。
だから、涼音がこの技を使う為には、対価が必要だった。
対価は、自分自身。
その場所には、黒龍を封じた繭のような物があるだけだった。
今年最後の更新です。
拙い文章にお付き合いいただき、感謝の極みです。
来年も、細々と更新しますので、宜しければお付き合い下さいませ。
それでは、良いお年を。




