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議決

その場に緊張が走った。

「まず、状況の報告をお願いできますか?」セルフィーの言葉に、シャイナとキャラが陣を形成しながら顛末を報告する。


「ふむ。不死の王にドラゴンゾンビ、キメラゾンビ、デスナイト、デスロード、果ては暗黒龍アンデットとは。」シャイナや涼音、キャラの報告にハイベルトが顎に手を当て考え込む。

「これは早急に決断を下さないと駄目な事象じゃな。」


「ここまで切羽詰まった状況とは思いませんでした。」セルフィーが続く。

「私達も報告を受け、火急な判断が必要だと思い、このような非公式とはいえ、場を設けさせていただいた次第です。」理沙が頭を垂れて二人の長に言う。


「私の経験上、不死の者は、おのれの欲求を満たすためだけに行動すると認知しています。」セルフィーが言う。


「我も同意見だ。」ハイベルトが言う。

「あ奴らに、こちらの意志は全く通じない。」

「既にこちら側に入った物は、各々迎撃するとして、繋がった森をどうにかしないといかんな。」


「まったく同意です。」セルフィーもそれに答える。


「森が繋がったのは、それぞれの森の端、すべての森の中心だと思います。」理沙が言う。

「それぞれの森から繋がりを同時に拒絶しないと、そこは繋がったままでしょう。」詩織が重ねて言う。


ふと静寂がその場を支配した。


「では討伐隊と封殺隊を送り込むということで。」

セルフィーが躊躇なく言う。

「それが最善であろう。」ハイベルトも答える。


なんかすごく簡単に凄まじい内容が、ちゃっちゃと決まっているのは気のせいかな?と涼音が思う間もなく、不死の領域の封印が決定される。

「なんか軽くないですかぁ?」シュワがこそりと呟く。

「それだけ決断力が優れてるんだよ、この人達。」涼音は思う。

確かに不死の者たちは、自分の生きた時間軸を基準としてこちら側に干渉する。

だから、ごく最近に鬼籍に入った者や何の想いも残さずに鬼籍に入った者であれば、涼音なら一瞬で浄化が可能である。

鬼籍に入ってからの年月が長ければ長いほど、また、生に対する執着が強ければ強いほど、浄化に要する時間が増える。

もっとも、シャイナのように魂ごと消滅させてしまうのも一つの手ではあるが、下手をするとその場所に呪いが残る可能性もあるので、出来る限り浄化をしたほうが良い。

(こちら側はあたしが適任だよね。)と涼音は思う。

封印にも僧侶の能力が一番適しているだろう。

そうなると、エルフの村に真紀がいることは都合が良かった。

真紀は涼音以上の僧侶系適任者である。

涼音が100年に一人の存在なら、真紀は1000年に一人の存在だろう。

生まれながらにして僧侶の上位職である司祭のレベルを持っていた。

しかもオリジナルの蘇生術、完全蘇生(別名なかった事に)を幼いころに完成させた天才であった。


涼音が、僧侶をあっさり捨てて忍者の道を選んだのも、真紀の所に行くための力を欲する事と、涼音以上の僧侶がいたからに他ならない。

(さてそうなると。)涼音が考える(獣魔の森の方をどうするか。)

キャラとそのお付きの二人には僧侶系の能力がそれ程無いと看破している。

そもそも獣魔に僧侶適性があるのかどうかが疑問だ。

軽く見た限り族長のハイベルトにもその適正は感じられない。

(あたしが獣魔側に回って、こっちを理沙姉としー姉に任せるか?)

(でもそうすると獣魔の存在意義が希薄になるか。)

今後を考えるとそれぞれが対等に事を進めるのが好ましい。

エルフの森も真紀がいることで封印は容易であろうが、きっとエルフ主体の封印術を行うだろう。

「ハイベルト様。」涼音が声を出す。

「何かな?」

「獣魔族に巫女や神官適性の者はいらっしゃいますか?」


「ふむ。」ハイベルトが顎に手をやり考える。

「一番適性があるのが、わが娘、キャラウェイであろうな。」

「そうですか。」涼音が答える。

(マジかぁ、詰んでないかこれ?)


「お?」

「おや?」

ハイベルトとセルフィーが同時に声を出す。

陣の限界のようだ。

「では2日後の正午に事を起こすとしよう。」ハイベルトが言う。

「心得ました。」セルフィーが答える。

「ではその日まで。」理沙が二人の影に向かい礼をする。


その言葉とともに二つの陣が消えた。

同時に

「ふは。」

「はぅ。」

「ぜぃぜぃ」

「げはぁ」

陣を構成していた四人からため息が漏れる。

「あふぅ」

特に一人で陣を作り、詩織に思いっきり干渉を受けたシャイナの消耗が激しいようだ。

「あの、詩織様。」シャイナが肩で息をしながら詩織に声をかける。

「仮想の存在に、デコピンの衝撃を与えられたのはどうしてですか?」


詩織はシャイナをじっと見て、んー、と考えた後、うんと頷いて答える。

「繋がっているから可能。」

「映像だけに見えて、実は実態も繋がっている。」

「強いて言えば、貴女達の族長でないことはオーラの色で判ってた。」

「更に言えば、良く知った者のオーラなのに、いつまでも威圧を解かないからあえて行使した。」

「違うとは思わなかったのですか?」シャイナが問う。

「ん?」詩織が考える。

「赤と黄色は間違えない。」

詩織の言葉にシャイナが感嘆する。

(こちらの森の探究者は凄いのですね、)


にこりとほほ笑んでシャイナが言う。

しかし、詩織は「ん~」と考えるとシャイナが陣を張っていた場所に、錬金術師の力で陣を錬成し始めた。

シャイナが先程張っていた陣とほぼ同じものだ。

陣の一部が少しだけ違っていたが、やがて陣が完成する。

「ん!」詩織は陣を見て納得した顔をしている。

すると陣が光を帯び、そこに真紀が立っていた。

それを見たシャイナが唖然とした顔で固まっている。

真紀は周りを見渡すと、詩織にグーを突き出す。

詩織がそのグーに合わせると、真紀が陣を出て涼音に近づく。

涼音は身動きできないでいた。

真紀は涼音の前に来て、涼音を優しく抱きしめる。

「ただいま。」

涼音は暫く呆然としていたが、ふと気を取り直し、真紀を抱き返して言う。

「おかえりなさい。」

涼音は真紀の胸に顔を埋めて泣いた。

そんな涼音を真紀が優しく抱きしめた


読んでいただき、ありがとうございます。

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