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異世界チートはテンプレでおなしゃすっ!  作者: mitsuzo
第一章

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020【第一章最終回】「いざ、魔族の国へ」



 舞台では、魔王ナユタ・ラマ率いる『壁なき血盟団(ノーボーダーブラッズ)』と一触即発の様相を呈していた。



「まあまあ、落ち着いてよ、みんな。ボクは何もダイ君をどうこうしようなんて思っていないし、ましてや傷つけようだなんて思ってもいないよ」


 ナユタ・ラマが微笑みながら呟く。


「ボクは本当にダイ君と話がしたいだけなんだ。いや、できれば…………彼に一度、ボクたち魔族が住む『魔国』に来ていろいろと見てほしいっ!」

「ええっ!? ま、魔族の国……ですか?」

「うん。確かに過去、ボクたちは人間族や獣人族、エルフら相手にケンカを仕掛けるだけで満足するような種族だった。そこには何も『目的』も『使命』もなかった。しかし、ボクが魔王になり統一してからは『目的』を掲げ、魔族の皆にこの『目的』に向けて想いを一つにしたんだ」

「目的?」

「うん。『種族』という壁を無くしたい者たちが集まり、『同胞』という一つの『想い』が形となった組織だ。それが、『壁なき血盟団(ノーボーダーブラッズ)』だっ!」

「壁なき血盟団(ノーボーダーブラッズ)……」


 俺はナユタ・ラマの話を興味深く聞いていた。その時、


「ダイっ! 騙されるでないぞっ!」

「父さん」

「そいつらは人間族を嫌っている。そんな奴らが改心したなどとは考えられん。気をつけろっ!」

「う、うん」


 しかし、どうなのだろう。


 本当に父が言うように俺は騙されているのだろうか?


 俺は何となく、この『ナユタ・ラマ』という男が心の奥底で気になって仕方なかった。


「どうしたの、ダイ君?」

「クレア」


 気づくと、後ろから舞台に上がってきたクレアがいた。


「あ、いや……別に。それよりも危険だから舞台から降りるんだ、クレア」


 俺はクレアに舞台から降りるよう少し強めに言った。


「ううん、降りない」

「え?」


 クレアがはっきりと否定する。


「もち、ろん! 私たちも……」

「降りないよ、ダイっ!」

「リリカ、シャロンっ!」


 クレアの後ろからリリカとシャロンもついてきている。


「フフフ、これがダイ君の友達か。中々、面白い連中だね」

「そりゃ、どうも」


 ナユタ・ラマがクレアたちを見て機嫌よく笑った後、ジュリアーノ国王のほうへ真顔で向き変える。


「ジュリアーノ国王、そして、『戦場の暴君』と『冷徹の舞姫』よ。お前たちがボクのことを全然信用していないのはわかる。だが、ボクは本気だ。そこで提案なんだけど……」


 と、ナユタ・ラマが一拍おいて話出す。


「ダイが魔族の国を見に来てくれるのなら、『戦場の暴君』と『冷徹の舞姫』、それと希望があれば何人でも構わん。君たちが安心する希望はすべて受け入れる。それならどうだい?」

「ナ、ナユタ様、いいのですか?」


 クリフがナユタ・ラマに苦言を呈する。


「うん、構わないよ。だってボクがダイ君と話がしたい、って本気で思っているってことを伝えるにはこれぐらいは言わないと!」

「ナユタ様…………さすがです」


 ナユタ・ラマはクリフへ笑顔で即答。それを見たクリフはナユタに対し、更に尊敬の念を抱く。


「どう? これならいいでしょ、『戦場の暴君』…………いや、ダイのお父さんっ!」


 ナユタ・ラマが無垢な笑顔でライに返事を聞く。


「ナユタ。お前本気か? 私も妻もダイと一緒で構わないなんて……」

「もちろん。だって、殺し合うつもりなんてないんだもの」

「戦場ではあんなに非道な強さだったあなたがその変わりようは何なの?」


 マリアがナユタ・ラマに問い詰める。


「まあ、話が長くなるからここで詳しくは話さないけど、その戦場での『ある出来事』からボクはこうなったんだ」

「『ある出来事』……?」

「まあ、とにかくそのことも踏まえてってことだよ。だから、君たち二人もむしろ来てほしいし、何だったらあと2人の英雄五傑(ファイブスター)を連れてきても構わない。どうだい?」


 ここで、一度、ライとマリアが考え込む。その時、


「父さん、母さん……」

「「ダイ! どうした?」」


 もはや、『親子であることを隠す』という当初の約束はあってないような状況になっちゃったな、と少しハニカミながら二人に俺の気持ちを伝えた。


「なんていうか……俺にもよくわからないけど、このナユタって奴にちょっと興味があるっていうか、あと、魔族の国も見てみたいっていうか……つまり、こいつについていって話を聞いてみたいんだけど…………どうかな?」

「「ダ、ダイ……」」


 俺は自分の中にある『ナユタ・ラマ』への好奇心をそのまま二人に言った。


 マリアはダイを止めようと何か言おうとしていたが、それをライが止め、ライ自らがダイへ言及する。


「そうか……お前はナユタ・ラマに興味を持ったのか?」

「うん。自分にも理由がわからないけど、ナユタから話を聞いてみたいって好奇心が溢れてくるんだ!」

「……わかった」


 ライは静かにダイの言葉を飲み込み、深呼吸してからまずナユタに進言する。


「ナユタ。それではダイを魔国へ行かせる条件だがすべて聞いてもらうぞ? それがダメならこの話は無しだ」

「いいだろう」

「まず、ダイと一緒に行く者は私と妻、そして兄のレイオウガ・エスティオット。そして、それ以外に魔国の周囲を我ら国王軍が総力を上げて包囲する……この条件ならその話、受けようっ!」


 ライは普通なら絶対に通らないであろう条件をナユタ・ラマに提示したが、


「構わないよ。それで」


 ナユタ・ラマが即答でその提示に応じた。


 ナユタ・ラマの即答に周囲の者たちは様々な感情や憶測で落ち着きがない様子だった。


 それもそのはず、ライが提示したその条件はいわば、魔国自体をすぐにでも侵略できるだけの条件だったからだ。


「ジュリアーノ国王、いかがでしょうか?」


 ライはジュリアーノ国王にお伺いを立てる。


「……それならいいだろう。こちらもその条件なら受け入れよう。しかし、ダイ君?」

「??……は、はい」

「君は本当にナユタ・ラマが統べる国……魔国へ本当に行っても大丈夫なのかい?」

「はい! 構いません」

「そうか。では異存はない、ナユタ・ラマよ」

「よかった。それでは改めて準備ができたらどんな手段でも構わないから連絡をくれ」

「うむ、よかろう……」

「それじゃあな、ダイオウガ・エスティオット。ボクの国を招待してあげるから楽しみにしていてくれ! それでは皆さん、お騒がせいたしましたー!」

「え? ちょ、ちょ、待てよっ?! 本当に帰るんすか、ナユタ様っ?!」


 レオンがナユタの行動に納得がいかず問いただす。


「うん、もちろん。言ったでしょ? ボクは『ダイと話がしたいから連れてきて』って?」

「いや、言ったけどよー、このまま、何もせずに帰るんすか?」

「何もせずって…………ちなみにレオン君、君がもし今、トーナメントどおり、ダイ君と試合をやっていたら1分も持たなかったと思うよ?」

「なっ?! そ、そんなことは……」

「ボクの相手の強さを見る目……『潜在眼』を通して言った言葉だよ? それともレオン君…………お前、俺の言葉になんか不満でもあるのか? ん?」

「ひっ?!」


 ナユタ・ラマがレオンに対して、もの凄い圧力で迫る。


「……くっ!? す、すげえ、圧だな、おいっ!!」


 会場の俺たちもまた、その圧による巨大なストレスで震え動けずにいた。


 その圧を一身に受けたレオンは気を失いそうで…………いや、あいつ、すでに気絶してるっ!


「じゃあね、ダイ君。魔国で待ってるよ」

「あ、ああ……」


 ナユタ・ラマがダイに対して笑顔で手を振る。


 俺は、いまさらながら自分の選択が間違いだったかも……と後悔していた。


 まあ、でも、この『謎の好奇心』はとても気がかりでもあったので、俺は気を取り直して、ナユタ・ラマへの……そして魔国への気持ちを強く持った。



――第一部 完



どうも、作者です。


すみません。ここで第一部は完結となります。

第二部に関してはすぐに再開するかどうかは少し微妙な気持ちです。

とりあえず、第一部終了としていったんここで筆を置かせていただきます。


これまで作品を読んでいただいた皆さん、本当にありがとうございました。

もしかしたら、別の新しい作品も作るかもしれないのでその時はまたよろしくお願いします。


それでは。


('◇')ゞ

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