016「ガールズトーク(2)/二人の想い」
「では、ここでランカーズトーナメント、ベスト16まで勝ち上がった生徒の皆さんをご紹介したいと思いますっ!」
そう言って、実況者のウララ・ウィンスターがベスト16まで残った選手一人一人を紹介し始める。さすがにベスト16ということもあり、ここまでは2年生と3年生の名前が続いた。
「……続いての生徒は、なんと一年生のレオン・リトバルスキ君! 彼はなんとあの『英雄五傑』の武術の鬼神、クリフ・リトバルスキの子供にして、あの『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』だそうですっ!」
会場がザワザワとざわつき出す。
「か、彼が、あの噂の……ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子……」
「クリフ・リトバルスキの息子でミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子…………こんな一年がいたとは」
「むう、ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子……彼が……」
特に、王族や上級貴族の席から感嘆の声が上がっている。
「……ねぇ、ダイ。あれ、どうするの?」
「あれって?」
「レオンよ!」
リリカがダイの真相を知った上でレオンのことについて触れた。
「どうするも何も別にいいかなって……」
「ど、どうしてっ?! あいつ、ウソついていたんだよ? バシッと言ってやったらいいじゃない!」
リリカが自分のことのようにダイに言及する。
「いや~、とりあえず、レオンがいれば逆に助かるかな~って。だって、目立たずに済むし……」
「確かにそうだね」
「でしょ?」
シャロンが俺の考えに同意してくれた。
そう……結果的に3人には秘密を明かしたがそれ以外の人は俺の秘密をまだ知らない。なので、レオンが自分から『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』って言ってくれているおかげで俺が目立たずに済むので助かる。
「それは、そう、だけど……」
リリカは、ダイの言っていることはもっともではあるとわかってはいたが、それでもなぜか釈然としていなかった。
「でも、『英雄五傑』の……しかも『戦場の暴君』と『冷徹の舞姫』がご両親で、『学院史上最強の天才』というお兄さんがいて、更に『ミーシャ・アイゼンハワーの愛弟子』なんて……普通、誰だってみんなに自慢してチヤホヤされたいはずなのに、でも、ダイ君はそういうことなくて…………そ、そういうの、すごくかっこいいと思う」
「ク、クレア?! あ、ありがとう……」
「い、いえ……」
ダイとクレアはお互いの目を見てはハッとなってすぐに目を背ける……という意識してるのバレバレ空間を展開した。すると、そんな空間に、
「あたしだって、ダイのそういうところ…………かっこいいと思うよっ!」」
「?! お、おい……リリカ!」
そう言ってリリカが、なんと、ダイに飛びつきながら自分の両腕をダイの右腕に絡ませてきた。当然、そういう状況ということはリリカの巨乳が俺の右腕に『当ててんのよ状態』に。
俺はそこでクレアを恐る恐る見た……すると、
「わ、私だって……リリカに負けないくらいかっこいいと思ってますっ!」
「!? ク、ククク、クレアさーーーーーーんっ?!?!!」
なんと、今度はクレアが俺の左腕にリリカと同じように両腕を思いっきり絡ませてきた。当然に、必然に、彼女のたわわなお胸も『当ててんのよ状態』に。
こ、こここここ、これはっ!? いわゆる、異世界転生テンプレ特有の……、
「ハーレム状態という認識でよろしかったでしょうかーーーーーっ!!」
興奮のあまり、思わず、心の声を言葉にして世界へぶちまけてしまった。
「キモっ!」
「ダイ君、あの……キモイです」
「え? あれ?」
すると、スッと二人が俺から遠ざかっていった。
「え? あれ?」
俺は思わずシャロンを見て助けを求めた。
「うん、気持ち悪いね、ダイ」
ちーん。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――ランカーズトーナメント、ベスト16選手紹介の前
「クレア……一緒にジュース買いに行こっ!」
と、リリカがクレアに声をかけ、
「あ……う、うん、いいよ」
と、クレアはリリカの呼びかけに何かを察し、一緒にジュースを買いに出かけていった。
二人は武道館からけっこう離れた女子寮近くの自動販売機まで来ていた。
「あ、あのさ、クレア……」
「う、うん」
リリカがオレンジジュースを飲みながら、クレアへタイミングを見計らって話しかけた。
「何か、クレア………………もう、わかってるみたいね」
「え?」
リリカの言葉に一瞬、クレアは間をおいてから、
「うん、もちろんっ! 幼なじみ何年やってると思ってんのよっ!」
満面の笑みでしっかりとリリカに言葉を返した。
「うん、そうだね……」
リリカがクレアの言葉を受け、同じようにひとつ間をおいてから、
「あたし……ダイのこと好きかも」
「うん」
リリカが今の気持ちをそのまま言葉にした。
「でもね……でも、まだこの気持ちが本当に好きの好きなのかはわからないの」
「うん」
クレアが静かにリリカの話を聞く。
「だから、この先どうなるのかはわからないけど、でも、今はダイのこと……好きかな~みたいな、なはは……」
リリカが少しはにかんで笑った。
「うん、私もダイ君のこと大好き」
「知ってる」
「うん。でも、私もリリカと同じ……この気持ちが確かなものなのかはわからない」
「うん」
「だから、リリカと一緒だね」
「うん」
そう言ってクレアとリリカが笑い合う。
「でも、なーんで、あんな『常識外れの男』のこと、好きになっちゃったんだろ……」
「『常識外れ』……だからじゃない? だって、ダイ君見てると何だかワクワクするもの」
「それだっ!」
そう言って、また二人はダイを『肴』に盛り上がった。
「それじゃあ、そろそろ行こっか、クレアっ!」
「うん、行こっ! リリカっ!」
二人は手をつないで、武道館へと戻っていった。
最後の力を振り絞って連続投稿……ぐふっ!




