22試合目 初めての勝利投手
3回までに7得点――これが本日の試合で奪ったルーキーズの得点である。
毎試合これぐらい打線が暴れてくれれば言うこと無いのだが、俺が登板する時は借りてきた猫のように大人しくなるのは何故だろう。
だが、今日は――今日だけは違った。
援護点が7点なんて十分過ぎるし、むしろ多過ぎて困るので次とその次くらいの登板まで大事に保管しておいてほしいぐらいだ。
……ホント冗談抜きで。
「――ストライクアウト!」
7回表、主審がそう叫ぶ前にストライクを確信していた俺はマウンドを後にする。
これで奪った三振は13個、かなり調子が良い。
このまま完封勝利もいけそうだったが、監督からは交代を告げられた。
球数はちょうど100球に達したところで、イニングを終えてキリが良い。
前の回までノーヒットピッチングだったのに、無失点で切り抜けたとはいえ、ノーアウトから安打を連続で許したのも交代の決め手だろう。
もし現時点でノーヒットであれば、ノーノーどころか完全試合も狙えたんだがそれは高望み過ぎるか。
とはいえ、無失点で7回を投げたことで集まった観客達はスタンディングオベーションで祝福してくれた。
後はリリーフ次第だが、7点もリードがあるのでさすがに平気だろう。
……平気だよな?
裏の攻撃からは主力を下げて控え選手が中心になった。
いわゆる守備固めということらしい。
それ故、追加点は無く攻守交代となった。
8回、9回とランナーを出しつつ危なげない投球を披露したリリーフだったが、珍しく失点することなくイニングを終え――試合終了。
ようやく、ようやく俺に勝ち投手の権利がやって来た。
「やったなショー!」
「素晴らしいピッチングだ!」
「よっ、惑星最高の投手!」
皆が初勝利を祝福してくれて少し照れ臭い。
ともあれようやくメジャーでの1勝目をあげることが出来た。
ここまで5試合を投げて0勝3敗なので感慨深い。
特に前回は8回無失点で勝敗が付かず、チームはサヨナラ負けを喫していただけに今日の勝利は格別だ。
とはいえ、これはゴールではなくスタートラインでしかない。
次の登板も頑張ろうと息巻く俺だったが、5日後に行われた敵地でのロッカーズ戦では自己ワーストとなる3本HRを被弾、5回4失点と大崩れすることは無かったものの、いつも通り打線の援護には恵まれず敗戦投手となった。




