第51話 死にたい不死身~返す刀が見当たらない~
グサッ
男は入ったクローゼットをニルごと剣で突き刺した。
(刺された。い、痛い。)
男は力を緩めることなくゆっくりとニルの体に剣を押し込む。
(やめロ、イタい、苦シイ、ナンデ、コンナ目に)
ニルは必死に剣を体から抜こうとするが、手をそのまま切ってしまう。
(アァ、死ヌンダ、ボく。でモ、痛ミの無イセかいニイケルなラ、ソレモソレデイイカモ・・・ナ。)
ニルはゆっくりと瞼を閉じる。
「俺の剣がクローゼットに引き込まれていく!返しやがれ俺の剣!」
ニルを刺した男が剣の柄を必死に引きながら叫ぶ。
「そこに、エルフのガキがいるんだな!よし、皆集まれ。」
一際、背の高い男が家で捜索をしていた全員を呼び集めクローゼットに向かって一斉に幾本もの剣を突き刺す。
グチュグチュ
「な、何!」
刺した剣がグロテスクな音を立ててニルの体内に吸収されていった。
ギィ
血だらけになったニルは内側からゆっくりとクローゼットを開ける。
「こ、このバケモンがぁ」
最初にクローゼットを貫いた男がニルに殴りかかる。
シュッ
ニルは刀身を手から生やし、男の喉元を掻き切る。
「が、が、あぁぁ」
返り血が噴水のように噴き出し、男の白い服を赤く染める。
「い、今の攻撃見えたか?」
「いや、見えなかった」
ニルを囲んでいる男たちは恐怖で一歩も動けずにいた。
「ニゲナイノカ?」
ニルがうつむきながら問う。
「逃げていいのか?」
足をガクガクと振動させながら、一人の男がニルの質問を質問で返した。
「イイワケナイダロ。」
男が襲い掛かろうとした刹那、ニルは全員の首を掻き切る。
「がはっぁぁ」
血の雨がニルに降り注ぐ。
「アレ?」
ニルは剣で思いっきり刺されたはずの腹を見ると傷一つ残っていなかった。
「アノミンチ、クッタニンゲンノ、ニクタイヲ、フジミニスルノカ」
ニルは虚ろな目で天井を見上げる。
「パパ、ママ、シンダ。ソンナセカイデ、イキナキャ、イケナイノ?」
雨がザァーザァーと音を立て、降り注ぐ。
「アァ、シニタイナ。」
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