第48話 油を売る少年とマッチ売りの少女~刀の錆を取る油~
「ゴホウビ、クダサイ。」
ニルは朝早くに商店を訪ねていた。
「ご褒美?」
店主が首を傾げる。
「ゴホウビ、ウッテナイノカ?」
ニルは俯き、去ろうとする。
「あぁ、えーっと」
店主は大慌てで店にあったお菓子をかき集めテーブルに置く。
「こういうのはどうだい?」
ニルは目を輝かせ、涎を垂らす。
「コレガ、ゴホウビ!」
「あぁ、そうだよ。あっ、代金はちゃんといただくけどね。」
そういうと店主は手元のメモに菓子の合計金額を記入した。
「ざっと、2000ゴルだね。払える?」
ニルはポケットから金貨の入った袋を取り出し、テーブルにドンと置く。
「ま、毎度アリ」
店主は大人でも貯めるのが難しい量の金貨が入った袋に困惑した。
「ニヒヒ、ゴホウビ、ゴホウビ。」
ニルは会計を済ませ、紙袋いっぱいにお菓子を詰め、店を後にした。
「ヤッター、コレガゴホウビ!」
ニルはステップをしながら大通りを通る。
「あ、あの」
大量のマッチを籠に入れたみすぼらしい格好の少女がニルに話しかける。
「ン、ナニ」
ニルは彼女の方を見る。
「ひっ、す、すみません、その・・・」
少女はニルの包帯が巻かれた顔を見ると、涙目でニルにマッチを差し出す。
「マッチ、いりませんか?」
「マッチ?」
ニルは不思議そうに彼女の差し出したマッチを観察する。
「マッチ、ゴホウビ?」
ニルは少女の顔をまじまじと見る。
「はっ、はい、ご褒美です。」
「ソッカ、ジャァ、ゼンブカウ。」
「えっ!」
ニルは菓子の入った紙袋を手で持ちながら、体から出した刀身を器用に操り、金貨の入った袋を少女に差し出した。
「オツリ、イラナイ。」
そういうと、ニルは少女の持っていたマッチの入った籠を刀身で手繰り寄せ、そのままアリスたちのいるルトのアジトの方向へスキップで駆け出す。
「変なお客さん。」
少女は大量の金貨の入った袋から一枚の金貨を取り出し、頭上に掲げる。
「これだけで、全部買えたのに・・・。」
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