第3話 Aランクパーティ狩り、開始 ~虎の威を借る狐狩り~
「パーティの討伐クエスト自体は珍しくないが、ここまでランクが高いパーティの討伐を、それも、Fランクで受けられるなんて・・・。」
ロックはクエストについて書かれた羊皮紙を上から下まで、なめまわすようにジロジロと眺めた。
「このAランクパーティはどんなことをして、討伐依頼が出たんですか?」
ミリナは悩む様子を見せつつ、答えた。
「実は、あんまり詳しくは言えないんですけど、ギルドの情報を無関係の人間に渡して、その人間から対価として、クエストをこなしてもらい、ランクを上げていたという事実が判明したのです。」
ミリナは深くため息をついた。
「現在捜査中ですが、今のギルド長の見立てでは、『そのパーティは戦闘経験が浅く、このギルドに居た期間も短いから、まぁ、Fランクでも行けるでしょ。』とのことでして・・・」
ミリナは納得のいっていないような表情を浮かべた。
「私は、間近で彼らを見てきました。はっきり言って、ギルド長の見立ては見当違いだと思います。私もかなり長く現場にいるので、強いパーティとそうでないパーティの違いぐらいわかります。間違いなく彼らは、Cランク級、いいえ、Bランク相当の実力はあると思います。ですから、あなた方に、このクエストはあまりおすすめできません。」
アリスは彼女を睨みつけた。
「やります。このクエストをやらせてください。」
ロックは彼女の隣でビクンと跳ねた。
「おい、正気か?」
「はい、正気ですよ。」
「おいおい、できないクエストは引き受けるもんじゃねぇ。」
「このクエストの成功報酬のギルドポイントなら、一回でEランクまで昇格できて、それに、全員生存させて、捕まえた時のボーナスポイントを含めれば、一気にDランクまで昇格できる。私の師匠が亡くなるまで、時間がない。だから、ここでのんびりできるクエストばっかり選んでる暇なんてないんです。」
アリスは決意の宿った目でロックをまっすぐ見た。
「クッソ、一応言っておくが、そう言った以上、お前にも頑張ってもらうぜ。」
「もちろん」
二人は受付嬢にクエスト受注の申請をし、出店が立ち並ぶ、賑やか街に繰り出した。
「おいおい、とは言っても見つかるかね?西の国だって、結構広いんだぜ。」
ロックはブツブツとつぶやいた。
「もう、じゃぁ私一人で行けばよかった?」
「それは、それであぶねぇだろ。」
二人が話しながら歩いていると、三人組のパーティとすれ違う。
「ん?」
少し間があいたのち、アリスは振り返った。
(青いイヤリングをした魔術師、金の鎧を纏う勇者、黒い鉢巻を巻いた、頭つるつるてかてかの格闘家)
「間違いない、あれ、今回のクエストターゲットだよ。」
アリスは迷わず、彼らの入っていった真っ暗な路地裏に突っ込んでいった。
「ま、待ってくれ。」
ロックも走り出すが、石に転び、少し出遅れてしまう。
「はぁ、はぁ、おい、アリス。アリス?」
ロックが暗くジメジメとした路地裏に入ったときには、アリスは忽然と姿を消していた。
次回第4話から、アリスの反撃が始まる!!




