第2話 史上最弱のパーティ、誕生~十を聞いて、十一を知る~
「はい、お待たせしました。これにて、パーティ登録は終了です」
受付嬢ミリナは、にこやかなビジネススマイルを浮かべた。
酒の匂いと騒がしさに辟易していたロックは、案内された別室で、使い古されたソファに倒れ込む。
「ちょっと、ロックさん、埃が立つからやめてください」
文句を言いながらも、アリスもその隣に腰を下ろした。
(何、このソファ……まるで雲みたい)
受験勉強の記憶にあるどの椅子よりも心地よい感触に、アリスは悟られないよう表情を硬くした。
「では、ガイダンスを始めます。まず、お二人ともギルドのランクシステムについてはご存じですね」
二人は同時にうなずいた。
「ランクは上からS、A、B、C、D、E、Fの順で存在します。この世界は、中心にある『帝国』を囲むように、東西南北の四つの国が配置されています。・・・ですが、それぞれの国境には厳しい検閲があり、一般人の行き来は許されていません」
ミリナは手元の資料を指でなぞりながら、淡々と説明を続けた。
「冒険者ギルドのCランク以上になって初めて、これら四国間の国境を越えるための『通行許可』が与えられます。そして、四つの国のさらに中心、世界の心臓部である『帝国』へ入るには、Aランク以上のパーティである必要があります。これが、帝国への唯一の正規ルートです」
ミリナの言葉を、アリスは噛みしめるように聞いた。
転生前は大学受験の直前だった。あの頃の偏差値と同じで、ランクという言葉の響きは、今の自分たちの立ち位置を突きつけるようで煩わしい。
「ランク昇格にはギルドポイントが必要です。クエストをクリアするごとに付与されますが、上のランクへ行くほど、必要なポイント数は跳ね上がります。手早く上げたいなら、危険度の高いクエストをいくつもこなさなければなりません」
「・・・ま、地道にやるしかねぇな」
ロックがぼやき、ミリナは手元の資料から何十枚かを引き抜いて机に並べた。
「では、初めに受けるクエストを決めていきましょう」
「野イチゴ狩り、土砂運搬、赤子の世話、トイレ掃除、犬の散歩……おい、ろくなクエストがねぇぞ」
ロックは資料を一枚ずつ確認しながら、不満を隠そうともせずに文句を垂れた。
「仕方ないでしょ、ロックさん。私たちは最低ランクのFなんですから。そんな目を引くような、面白いクエストなんて、あるわけ・・・」
自嘲気味に呟きながら資料を捲っていたアリスの手が、ある一枚で凍りついた。
「ん、どうした?」
「こ、このクエストって・・・!」
アリスはクエスト資料を、震えた手でロックに渡した。
「え、Aランクパーティ討伐クエスト!?」
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