第2話 史上最弱のパーティ、誕生 ~十を聞いて、十一を知る~
アリスとロックはきつい蒸留酒のツンとした匂いが漂い、居酒屋のように冒険者たちが騒ぐギルドの受付でパーティ申請をしていた。
「まだ、待たなきゃダメか?酒は好きだが、ここまでひどい匂いと騒がしさは耐えられねぇぞ。」
「もうちょっとの辛抱ですよ。」
(ロックさんって、結構神経質なんだ。)
二人はコソコソと話していた。
「はい、お待たせしました。これにて、パーティ登録は終了です。」
おかっぱヘアの可愛らしい受付嬢のミリナはにこやかなビジネススマイルを浮かべた。
「はぁー、やっと終わったぜ。ったく、以前のパーティの申請はもっと緩かったろ。」
ロックは肩を落とし、ため息をつく。
「ロックさん、お疲れのところ悪いけど、これから、別室でギルドによるガイダンスを受けてもらいます。もちろん、アリスさんも一緒にね。それでは、早速案内します。」
ミリナは、二人を薄暗い廊下の先にある小部屋に案内した。
「うぇー、疲れたー。よかったぜ、ここは臭くねぇし、うるさくねぇ。」
部屋につくと、ロックは倒れこむようにして、見るからに使い古されたソファに腰かけた。
「ちょっと、ロックさん、埃が立つからやめてください。」
アリスは眉を顰め、手で丁寧に埃を払う。
「アリスも座ったらどうだ。このソファ見た目に反して、ふかふかだぜ。」
「遠慮しておきます、私は。」
「じゃぁ、立ちながら聞くのか?きっと疲れるぜ。ほら、お前の分空けてあるからさ。」
「えっ、じゃぁ、お言葉に甘えましてっと。」
モフッ
(何、このソファまるで雲みたい。)
アリスはソファを堪能していることを悟られないように、表情をあえて硬くした。
「では、ガイダンスを始めます。まず、お二人ともギルドのランクシステムについてはご存じですね。」
二人は同時にうなずいた。
「上からS、A、B、C、D、E、Fランクの順で存在します。特典としては、Cランク以上で帝国を囲うように存在する東西南北に分かれた、それぞれ国と国の間の行き来が可能になり、また、Aランク以上で、四つの国の中心に位置する帝国へ行くことが可能になります。」
ミリナは目の前の資料に目をやりながら、淡々と説明した。
「また、ランクによって、受けられるクエストが決まっていて、お二人は現在Fランクなので、受注可能なクエストの中に、報酬が高額で、難しいクエストはほとんどありません。」
アリスは転生前は大学受験直前だったこともあってか、Fランクという言葉の響きがとても煩わしく感じた。
「次に、ランク昇格について、クエストをクリアすることで、ギルドからクエストに応じたギルドポイントがパーティに贈与されます。ランクが上がるにつれて、昇格に必要なギルドポイント数も多くなるので、手早くランクを上げたいなら、難しいクエストをいくつもこなす必要があります。」
「以上で、ガイダンスは終了しますが、質問はありますか?」
二人は首を横に振った。
「では、早速一緒に初めに受けるクエストを決めていきましょう。」
ミリナは手元の資料から何十枚か引き抜くと、机の上に並べた。
「野イチゴ狩り、土砂運搬、赤子の世話、トイレ掃除、犬の散歩・・・。おい、ろくなクエストがねぇぞ。」
ロックは資料を確認しながら、文句を垂れた。
「仕方ないでしょ、ロックさん、私たちは最低ランクなんですから。そんな目を引くような、面白いクエストなんて、あるわけ・・・」
「ん、どうした?」
「こ、このクエストって!」
アリスはクエスト資料を、震えた手でロックに渡した。
「え、Aランクパーティ討伐クエスト!?」
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