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魔王討伐編 ⅲ

遅れてしまって申し訳ありません、

こんな微妙な時間ですが、どうぞよろしくお願いします。

俺が結界を張った理由。

それは言わずもがな、人目をはばからず暴れるためだったのだけれど、実はもう一つ、賭け程度の理由があった。

これ程苦労する位の魔力。それが、憤怒鳥に送り込まれて居た。恐らく魔王かそれ以上の仕業。

それに気づいたのは、魔力の小径(パス)が、途轍もない遠い場所から、具体的に言うと、これだけ濃い魔力を放出しておきながら、此方に場所を把握させない位の距離から伸びて居たのを発見してからだ。

常に魔力を供給してもらって居る様で、魔力はほぼ無限。確実にその魔王より俺の方が魔力が少ない。消耗戦になったら負ける。

力押しで行けば勝てるのだけれど、保険にと手を打った。

それが、結界の効果の一つである完全遮断。

どんな高度の魔力でも、神力でさえも通さない結界。

その結界の中では、やはり魔力の供給は出来ない様だった。

これが、この存在力にしてこの憤怒鳥の魔力が異様に多い理由で、解決方法だ。

普段から魔力を供給されて居たことに気づいていなかったのか、それとも今供給が遮断されて居ることに気づいていないのか。

憤怒鳥は魔力消費を顧みず全力で戦ってくれた。

そのおかげで、こうして無力化することができた。

俺は早速憤怒鳥に近づいた。それはもちろんとどめを刺すため-

『貴方は魔王だろう。なぜ、何故邪魔をする。』

-だったが、気が変わった。

少し位、話をしても良いだろう。

『何故か…何故だろうな。』

わかって居る、今この現状は明らかに人間が悪くて、一方的に人間に非がある。

じゃあ、なんで人間の味方をするのか。

やっぱり人間だった頃の記憶があるからなのだろう。

俺が心の底ではまだ、人間だからだろう。

でも、多分それ以上にこの世界で出会った人達のことが頭にあるからだと思う。

この世界の人間はどれだけ極悪非道な奴ら何だろうと思って居たら、案外普通だった。

普通に生きて、普通に話して、普通に遊んで、普通に愛して。

そこに居たのは、ただこの世界に居るだけの、それ以外は元の世界と何ら変わらない人間だった。

人間が、何故魔物達から敵認識されているか。それは人間の中に蔓延る常識の所為だ。魔物達への誤解の所為だ。

誤解は必ず解ける。誰かが教えてやれば必ず。

『人間達の常識をぶち壊す為かな。』

俺は笑ってそう答えた。

反論する気がないのか、反論する力が残って居ないのか、はたまた俺の話を聞いて見たくなったのか。

憤怒鳥はそう言って笑う俺をただ眺めて居た。

『それにお前、なかなかにかっこ悪かったぜ?』

とも言った。

これには流石に異論があるのか、目だけで反論の意を唱えた。

『お前がそうなっちまったのは、何が原因だ?まぁ、大体は想像がつくがな。』

イーグライは群れて生きる生き物だ。

その群れがもし、大量虐殺されたら…。

それも、人間に、見下す様な目で、はたまた残虐的な殺し方を、それとも最早作業の様に、何も感じた様子なく一方的に。

どれだけ悲しく、辛く、屈辱的で、怒りを覚えたか。想像に難い。

そんな時に自分に力が与えられたら、どんな行動にでるかなんて分かり切ったことだった。

『人間に何をされて怒った?自分達の事を何も知らないで見下しながら殺されたからだろう。お前は何をした?人間達の事を何も知らないで見下しながら殺したんだよ。』

いや、少し違うか。人間の事を少しでも知って居たから、こんな事になった。

それでも。

『お前が俺に殺されたら、人間は更に魔物をしたに見る様になるだろう。魔物を憎み、更に無意味に殺戮を繰り返す様になるだろう。』

人間はバカだから。と加えた。

お前はバカじゃないんだろ?とも。

『憎しみの連鎖は何処かで断ち切らなきゃならない。それは頭の良い奴の仕事だ。大人から近づいてやらなければ、何も進展しない。俺たちがまず、人間を知らなければならない。』

どうだ?と話を終えた。

俺に着いて来ないか?

憤怒鳥はゆっくりと頭を縦に振った。


人間モードに戻った俺は手に刀を顕現させている。

月刀 影狼

刀身1m程の日本刀だが、素材は俺の毛だ。

そこらの刀よりはよっぽど切れる上に、俺のスキルと反発することが少ない。

あの買い物は余計だったなと少し後悔しているが、今はそんな事どうでもいい。

何故刀を出して居るかというと、加護を切って欲しいと望まれたからだ。

刀に切りたいものを想像して振るう。

影狼には、ありとあらゆるものを分断する結界を纏ってある。

選択したものを必ず分断する、しかしそれ以外は絶対に切れない結界。

今選択したのは縁。こいつと魔王との縁を切った。

続け様に加護を与える。

「我、この者に名を与える。真名をもって僕となれ。我が名はヒロ、お前は燐斗。」

何故か、すらすらと言葉が出て来た。燐斗の文字が憤怒鳥の中に入って行く。

真名の契約、最も重い契約で、破ることは許されない。

「有り難き幸せ。この燐斗、二心なく忠誠を誓わせていただきます。」

燐斗の姿が光に包まれた。


種族 不死鳥(フェニックス)

名前 燐斗

順位 8700万

能力 鷹の目

追尾

火の鳥(ファイナルブースト)

風操作

再生(リカバリー)

無限進化

耐性 精神耐性

魔法耐性

加護 月の魔王の加護

称号 魔王の翼


燐斗は大きく姿を変えた。

翼から足まで白銀に包まれて居て、まるで燃えて居るかの様な模様をしている。さしづめ白銀の炎と言ったところか。頭も同様に銀色だが、首の周りは本物の炎の様だ、色は銀色だが。

目は赤く燃えている。もう、先ほどまでの恨みのこもった目では無くなって居た。

配下が出来た事で俺のステータスにも変化が出てきたようだ。



名前 ヒロ(ネームド)

種族 月光狼

能力 絶対の守護

賢人

影世界

シンクロ

嗅覚強化(常時発動)

進化論(ダーウィン)

捕食者

体毛操作

下克上

獣神形態(バーストウルフ)

眷属作成

人型

我慢

隠形

能力付与(スキルエンチャント)

能力を統べるもの(アリス)(使用不可)

呪われた血(常時発動)

耐性 熱耐性MX

麻痺耐性MX

雷耐性MX

寒耐性MX

称号輪廻転生魔神

月の魔王

加護月の女神セレーネの敬愛


[眷属の作成により、能力付与を獲得しました。]


どうやら、新しく得たスキルは能力付与というものらしい。

頭の中で響いた声でそう確信する。

ちなみに隠形は土竜からとったスキルだ。

しかし、アリスはもう居ないはず。今の声は誰だったのだろう。


[私は能力を統べる神が作りし二代目の告示者です。精霊との関わりにより自我をもってしまった先代とは違い、純粋な能力ですので、以後お見知り置きを。]


アリスとは違い自我が無いか、神も学ぶ様だ。

と、今はそんな事はいい、能力付与というスキルがどういうスキルか調べなければならない。


能力付与 ー自分のスキルを複製し劣化させたものを対象に付与する。

これはちょうどいいと、早速燐斗に使う。

燐斗に付与するスキルは獣神形態。

魔王になって手に入れたこのスキルは、実は元々獣神形態であったわけでは無い。

普段自分の力が最も出る形態、その形態を封印してスキルにするものだ。

俺がたまに狼になる時、小さいふわふわの狼になるのはこういう理由があったのだ。

魔王には力を隠さなければ行けない時もあるし、常にその形態で居ると周囲の魔物を驚かし、生態系を崩しかねない。

そう言えばカエンにも、このスキルが無かったから、次あった時にあげてみよう。

このスキルに関しては、自分の姿を封印するだけなので、劣化ともあまり関係が無い。

こいつにもこのままの姿で居させるのは可哀想だし、このスキルを付与することにした。


[スキル獣神形態を付与します。魔鳥形態を獲得しました。]


燐斗が、美しい白銀の小さな鳥に変わったところで、結界の内側からの干渉を少し緩める。

外を確認する為だ。

大丈夫、誰も居ない様だ。

さっきの青年も誰かに運ばれた様で血の後しか無い。

やるなら今だ。

魔王を退けたと思って人間がつけあがらないようにしなければならない。

少し怖いけど、覚悟を決める時だ。

俺は再度獣神形態を発動し、結界を解いた。


おやすみなさい。

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