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魔王の威厳

おはようございます

結界を解いたことにより、俺の姿は晒されることになった。

人間から見ると突如巨大な狼が現れたように思えただろう。

俺が結界を張った所を見たのはあの青年だけだ。

誰も俺が魔王になったなんて思いもしないだろう。

そこに居た筈の俺が居なくなっているのは状況的にまずいかもしれないが、ほとぼりが冷めてから町に戻り、結界が解けたあと、狼から逃げるのに必死だったとでも言えばなんとかなるだろう。

方針が立ったところで、燐斗を抱える。

人間は今だ某然としたままだ。いや、動けないのか。

よく見ろ、これが本物だ。本物の魔王だ。

お前らがバカにする魔物の王だ。

差を知れ。絶望を知れ。心に恐怖を刻み込め。

まずそこからだ、こいつらにかかっている呪い(洗脳)を解くための第一歩だ。常識を根本からぶっ壊すための。

俺はそこに追い打ちをかける。

『グルゥルルルルゥガァオォーーン』

威圧の魔力を精一杯込めた咆哮。

念話と同じ要領でやれば、音に魔力を込めることは然程難しいことでは無い。

問題は込めた魔力の量。存在力の強い魔力ほど威圧になるものはない。

皆震え上がって居ることだろう。

魔物への考えを改めさせる。そのためにはまず絶対的な恐怖が、力の差が必要だ。その役くらい俺がかってでよう。

殺気と敵意に満ちた俺の魔力がこの街を取り巻いた時、俺は燐斗を背に抱え街を去った。

森の中腹部まで一気に駆け抜けたので追いつかれはしないだろうけれど念のためなので影世界を利用してワープする。

ちょうど良いところで獣神形態を解く。

同時に人型を発動し、人モードに戻る。

『魔王様。私のために、このようなことを…お手をわずらわせてしまい申し訳ありません。』

キャラ変わりすぎじゃね?

燐斗が人モードの俺を見て呟いた言葉を聞いて、ついそう思ってしまう。

「あぁ、良いって良いってバレてなきゃ大丈夫。バレる要素もないし。」

『そうですか、それなら…良いんですけど。これからどうなさるのですか?』

そうだなー

とりあえずは、燐斗にこれから街に戻った後どう対処するかを伝えておく。

「…で、お前は逃げてる最中に見つけた綺麗な鳥って事で。」

燐斗は鳥の首を激しくふんふんと縦に振っている。

人間は都合の良い生き物だ。

この世界には魔物しか居ないというのに、町の中には犬や猫、馬なども多い。

それは、人間達が勝手に獣という枠組みを作り自分達に都合のいい生き物達を従えて居るからだ。

人間の社会の中で育った魔物達は自分達を魔物だと気付かずに獣として過ごしている。

人間の作った偽りの常識は、魔物すら蝕んで居るのだ。

燐斗は、魔物として人間の中では新種であるはず。

だからこそ、ただの鳥と言って誤魔化せると思ったのだ。

もし、それで騙せなかったら燐斗には辛い思いをさせるかもしれないが、悪者になってもらって町を去り、森で合流して俺の影世界に一度入ってもらう。

影世界から出たい時は人目につかない場所で。

『わかりました、私の事までそんなに考えて下さってありがとうございます。私は貴方の眷属なのですから、命令なされば何でも致しますのに。私の事は気になさらないで下さい、寧ろ常に魔王様と一緒に居られるなんて素晴らしいです、一度影世界とやらに入れてもらってもよろしいですか?』

いや、本当にキャラ変わったな。

まぁ、従順なのは良いことだ…多分。

町の近くまで来てようやく燐斗の賛辞の雨が止んだ。

褒められるのは嬉しいけど、これだけ一方的なのは少し恥ずかしい。

人前では話すなよ?と言っておいて良かった。

燐斗の念話は人には聞こえないので、燐斗は本来話して居ても構わないのだけど、人前で話しかけられて俺が反応しない自信が無かったからそう言っておいたのだ。

結局燐斗に関しては何も怪しまれずに終わった。

念入りに考えた設定を話せば、俺が居なかった訳とか、燐斗についても誰もがすぐに信じてくれた。

魔王の咆哮についてはしっかりと機能してくれたらしく、人間達はひどく怯えている。

それでも、咆哮の中で唯一行動出来た、王都のギルドマスターを筆頭に避難はしっかりと行われたらしいのですごい。

本当に何者なのだあの爺さんは。

まぁ、これにて、王都魔王襲撃騒動は解決したのだ。




夢を見た。

3人の妹弟達がどんどん死んでいく夢。

これは記憶か?

恐らくそう。

じゃなきゃこんなに冷静で居られる訳が無い。

一度見たことがあるから、きっと冷静で居られるんだろう。

妹達を殺した犯人の顔を見ようと躍起になって体を動かす。

俺は今、もう一人の俺とは別の場所、つまり過去の俺を俯瞰で見て居るので、動き回ることもできる。

その犯人の顔は薄暗い幕に覆われて居てよく見えないのだけれど。

恐らく、当時の俺が良く見ていなかったからその辺りは記憶に残って居ないのだろう。

実は、この夢を見て居て不明瞭な所は多い。

犯人の顔が見えないのもそうだが、時間がいろいろな所で飛び飛びだったりする。

それに妹弟の名前さえ思い出せないし。

本当に妹達は凍え死んだっけか?

本当に犯人達は直ぐに居なくなったか?

本当に犯人の顔を俺は知らないのか?

多分記憶がまだ完全じゃないんだと思う。自分で勝手に補充しているのかいろいろ不自然な所が多い。

それにしても俺めっちゃ泣き叫んでるな。

俯瞰にみる俺の姿はとてもみっともなく、とても羨ましかった。

妹達が死んでいく様を、ただ何も感じずに眺める俺はかつての俺だった人間を見て無性にそう思った。



嫌な夢を見た。

恐らくはあの出来事が原因なのだろうけれど。

それより、記憶を少しでも思い出したのは良かった事だと思う。

魔王事件後ナミとリオンと合流した俺は、始まりの街に帰って来て居た。

俺が冒険者達の空気に飲まれて、ナミとリオンを置き去りにしてしまったことは、二人はあまり怒って居ない様で良かった。

ナミは、「大変でしたけど、私の仕事あまり無かったから大丈夫ですよ。危険な事はありませんでしたし。」と言って居たし、リオンに関しては「王都に偶然居た父親に会えたし、結果オーライですよヒロくん。まぁ、確かに勝手に出て行ってしまったのは頂けないけど。自分の事も心配してね?」と言われた。

二人とも強いし、自分だけなら逃げられるだろうから、あまり心配して居なかったのだけれど、二人には心配させてしまった様だ。

俺たちは今始まりの街でのんびりして居る。

なぜなら、王様から勲章と関して近々纏まったお金が手に入るからだ。

魔王を退けたのは俺ということになって居るし、かなりの額らしい。その上特例として、俺の冒険者ランクがAにアップしたのだ。今では宿代も相当値下げされて居てお金に心配はない。

それに、緊急クエストの報酬も出る。

問題なく武器のお金には届くだろう。

今やることと言ったらリオン達のランク上げと特訓ぐらいだ。

ナミの方はスキルが分かり易いし、特訓もしやすいのだけれど、リオンはどちらかと言うと技術担当だし精霊魔法とかは俺には少し難しい。

リオンには、とりあえず新しくなった武器を使って訓練してもらっている。

仕事も暫くするつもりは無いし、することも特にないまま日々は過ぎて行く。


☆☆☆☆

魔王が結界に囚われ、その中が覗けなくなった時、私は誰が結界を張ったのかピピ〜んと来てしまいました。

というのも、あんなすごい結界を張れるのはヒロさん位なものでしょう。

その機会にと、人々はどんどん避難をしました。

時に王女様の木のお力で、人々の不安を癒し、徐々に人々のパニックは収まって行きました。

私は突然例の声が聞こえなくなって、内心気が気でありませんでしたが、きっと助かったのだと思うことにして避難を手助けすることにしました。

私は、あまり活躍できませんでしたし。

そんな時でした。

結界が割れ、巨大な狼が姿を現したのは。

恐ろしいほどの威圧感に、人々はパニックになることも忘れ、固まって居ました。

『グルゥルルルルゥガァオォーーン』

この…声は。

まず、夢の話ですが

第一話の内容でほぼ間違いないです。

しかし、あの記憶の内容は実は

ヒロが基本的に覚えていられた事と、忘れてはいけないということで妹達の死に様を、ヒロの頭が勝手にピックアップしたもので、実はもっと色んな事が起きて居たのです。

分かりにくくて申し訳ありません。

つまり、記憶はあれで全部じゃ無いってことです。まだ全部思い出してません。


最近リオンの影が…

仕方ないのです。リオンにはもう少し我慢してもらうしかありません。

リオン弱過ぎだろと思う方も多いかも知れませんので一応フォローをしておくと。

確かにスキルではナミに軍配が上がりますが、リオンの技術は実は相当で、ナミがいくら強化したとしても、対人戦闘ではナミはリオンに絶対かないません。あの姫様お抱えの魔法使いも行って居た様に本当は精霊魔法って凄いんです。

一応ですが。


それと最後に、来週から一週間一投稿の投稿日を月曜にしようかと思っています。

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