花の巫女
おはようございます
遅れてすいません。
朝のうちに書き終わって良かったー
推敲とかしてないんでミス等々ございましたら教えてください。
まぁ、ミスに関してはいつもあるかもしれないので、この話に限らず見つけたら教えてください
エルシュタイン帝国。
シトラス大陸において1・2を争う大国だ。
国土は始まりの街に隣接する森-マヤル森林を始め、大きな山脈や海にも恵まれた大きな土地。
そんな大国の第三女王ことエメラルドーエルシュタインとは私の事です。
私の両親には残念ながら男の子は恵まれず、女三人の兄弟です。
一番上の長女はアミルダーエルシュタイン
次女はリメリアーエルシュタインと言います。
小さい頃から英才教育を受けてきた2人はと言うと、やはりと言うべきか優秀で美しく王家のオーラに溢れた人でした。
私?私は教育とは無縁の場所に住んで居ましたし、お父さんも私の事は隠しておきたいらしくなかなか表舞台に立つことはありませんでした。
それでも、それでも私は幸せでした。
城の中の小さな小さな小屋を与えられ、家族に会っても無視されて、城の中を歩き回ろう物ならメイドや使用人達にも睨まれ蔑まれまるで汚物の様に扱われようとも、私は幸せでした。
妾の子、と言うだけで嫌悪感を持たれるのは仕方ない。
悪いのはお母さんじゃないのに、と何度も思ったこともありました。
お母さんはお父さんを愛していたから。
例え自分が本当の意味で愛されていないのだと、お母さんが知っていたとしても。
お母さんはお父さんを愛していたから。
私は生まれて来ました。
小さな小さな小屋でお母さんと毎日、お菓子を作ったり、花を育てたり。
そんな普通な日々が私はとても幸せだったのです。
お母さんは流石にお父さんに愛想を尽かしたようだったけれど、私がいるからと、私には親は選べないのだからと、お父さんと疎遠になった後も城に居てくれました。
私は、純粋にそこに居られることを喜びました。
その頃は、父親の事もよく知らなかったからでしょうか、お母さんとお父さんが仲良くしてくれて居るのだと、素直にそう信じていました。
でも、そんなに平凡で楽しく普通な日常は直ぐに脆くも崩れ去った。
ある日の事
いつも通り、城の庭園から少し離れた小さなお庭に私はいる。
お母さんと私で綺麗に作ったお庭。
花も、お母さんと私が好きな物だらけで彩りみどりです。
ピンクも白も黄色も赤も散々に咲き乱れて、とても素晴らしいお庭では無いけれど、それでも私が大好きなお庭。
そんなお庭で私がお母さんといつも通りに日向ぼっこをして居た時でした。
その時私は7歳で周りの子供達が小学校に入る頃。
教育を受け始め、少し大人になり、魔力の才能が顕著に現れ出す年代。
だから、その時だったのは偶然なのかもしれません。
その時いきなり声が聞こえて来たのです。
「愛しい子、愛しい子や。ようやく気づいてくれたんだね。私は、私達はずっとそばに居たんだよ。」
いきなり声をかけて来た『それ』は花の妖精と名乗りました。
花の化身であり、花そのもの。
それが彼女でした。
私が作ったこのお庭が気に入ってくれたみたいです。
私がお花を育てて居る時に、無意識に微量に流して居た魔力。それは花の妖精にとってとても心地いい物で、私からの愛をとても感じたと言っていました。
私は育てる段階で花に愛を注ぐのがとても上手いのだそうで。
花の妖精達はずっと私とお母さんと一緒にお庭を作るのを手伝ってくれていたそうです。
それが、何の偶然か私が今日花の妖精に気づいた、それが妖精はとても嬉しかったのだそうです。
私と妖精達が仲良くなるのに然程時間はかかりませんでした。
妖精は言いました。
「このお庭を守るのに手を貸して、愛しい子。あなたの愛を私達に注いでくれれば私達は生きられる。その代わり、私達植物の力なら幾らでも貸すわ。」
私だってこの庭を守りたい。そんなの当たり前のことじゃ無いですか。
私は迷うこと無くそういう旨を伝えました。
「ありがとう」
「ありがとう。愛しい子。」
「ありがとう」
「ありがとう、早速だけれど私と契約して?」
「この子は、私と契約するのよ?」
「先駆けはずるいわ。私だって契約するもの。」
周りにいた妖精達は、みな思い思いに私にありがとうと言ってくれます。
しかし、契約って何でしょう。
「契約?契約って言うのはね、私達の間に絆みたいなものを作って、お互いの力が及びやすくするものなの。やってくれる?」
「やってくれる?」
「やってくれるわよね?」
別に私には断る理由もありません。むしろみんなと仲良くなれたのだから、ずっとこのお庭をみんなで一緒に守りたかった。
だから、私は妖精達と契約を結びました。
それも何体も何体も。
それは少なからず7歳の小さな体に影響を与えます。
一匹でも魔力の塊の様な妖精種と何匹も何匹も契約したのですから、それは当然のこと。
具体的に言うと、限界魔力量が莫大にUPしたのだ。
それも、この年にして国お抱えの魔術師と同等くらいの魔力量になってしまうほどまでに魔力が増えました。
妖精と言う普通にいれば会うことのないイレギュラーな存在との契約を交わすのだから、何かしら自分の体に変化があるのだろう事くらい予想できていたのであまり驚くことはありませんでした。
しかし、一つ予想外のことがあったとすれば、その場面ーエメラルドの魔力が莫大に増えたその瞬間ーを誰かに、それも国のお抱えの魔術師に見られてしまったことだ。
其の後、魔術師の調べにより精霊種と契約した事が発覚しました。
精霊種とは神話時代の生き残り、神様の意思と信じられています。私が会ったのは妖精でしたけれど、そんなのは関係無いのだとか。
そんな巨大な存在との契約は、私を妾の子から、神に選ばれた巫女に担ぎ上げられる理由に十分なり得ました。
それを知ったお父さん…お父様は庭の端っこの小さな小屋から私を呼び出し城に住まわせました。
この国の第三女王として。
当時7歳の私は、ただ単純にお父さんに始めて見てもらえる様になって、始めて認めてもらって、城に入っても罵声を浴びること無くいられて、ただ単純に嬉しかったのです。
お母さんも着いて来て一緒に住むのだと、お父さんはお母さんを愛していたんだと当たり前の様に思っていました。
しかし、結果は全く違いました。
私は王女という立場を取り戻しましたが、私が妾の子だという事実が公に出来る様になったわけではありません。
お母さんと離れる時、"あんたは私を置いて行かないと思ったのに。あんたも立場に目が眩んだだね"と罵声を浴びせられ続けました。
それ以来お母さんとは会っていません。
立場を手に入れたと言っても、嫌わらて居るのは変わりありません。
いきなり家族の中に割り込んで来た人を歓迎する者なんて誰も居ないでしょう。
特に姉2人は私の事をものすごく嫌っているみたい。
私の事を大事にしてくれるのは、私付きの騎士と家庭教師兼魔法使いぐらいでした。
しかし、表向きとはいえ私の扱いはものすごく変わりました。
ある日、
「いきなり来たあなたが、私への愛を奪って行かないで!」
姉-アミルダ-が言いました。
お父様は私に何を期待して居るのか、私をとても大事にする様になりました。
巫女としての集金能力でしょうか、それとも大衆をまとめるための存在?それとも花の能力でしょうか。
何にせよ、私が本当にお父様に愛される事は無いのに。
と思いはしたものの言うことは出来ませんでした。
愛してもらっていた人から、すっぱり愛を注がれなくなる。
その悲しみは身をもって知っていたから。ついこの間身をもって体験したから。
だから、お姉様には幸せになって欲しかったのかもしれません。
私はそれから姉の言う通りに、言われるがままにする様になりました。
危ない冒険でも、とんでもないところに生えてる花が欲しいと言われれば取りに行きました。
私には妖精達が着いて居てくれたから、普通の人よりは強いですし、お姉様よりは安全でした。
そんな時でした、お母さんが倒れたと聞いたのは。
私は看病することにしました。
嫌われてしまったとはいえお母さん。
私が看病するのは当たり前ではないでしょうか。
私が倒れた時、お母さんが看病してくれるかどうかはわかりませんが…。
お母さんの病気に良いのは、砂漠でしか取れない果物だそうです。
果物は私の能力でもどうしようもありません。
早速ですが買いに行きました。
しかし、タイミングの悪い事にその果物を栽培している唯一の村。その近くにある砂漠に土竜が出現、その果物-ナチの実-は生産が完全にストップして居るとのことでした。
その時私は、魔法についても学ぶことは学び、自分だけの能力に関しても使いこなせる様になっていました。
その力に酔っていたのでしょうか、それとも私を大事にしてくれる2人からの愛に酔っていたのでしょうか。
私は、土竜を倒すことに決めました。
それが、彼と彼女達との出会いになるとは知る由もなく。
おやすみなさい




