表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あかだま相談所怪奇譚  作者: もふやまもこ
第一章 椿と狐と相談所
6/18

異端者・斎藤京介とこっくりさん⑤

ホラー描写があります、ご注意ください

カタカナの名前は大抵モブ(マンガとかで顔も描かれてないような脇役より脇役な存在)です。天海ちゃんは特別なモブ。さすがスクールカーストトップちゃん。


不思議な現象を信じないタチの僕でもこっくりさんくらいは分かる。


準備するものは はい や いいえ、ひらがな50音表、数字や鳥居なんかを書いた紙。その上に十円玉を置いて

『こっくりさんこっくりさん、お入りください』

とか言って霊を呼び込む降霊術。それがこっくりさんだ。


『もしおいでになられましたら はい へお進み下さい』

と言えば、呼び出したこっくりさんは十円玉を動かして文字を示しどんな質問にも答えてくれる。


ただし、『こっくりさんこっくりさん、お帰りください』と言って帰ってもらうまで途中でやめてはいけないし十円玉から手を離してもいけない。



もし、そんなことをしてしまったら……




「ちょっと! これいくら何でも雑すぎじゃない?」


「んな事言われてもこんな急に用意できねーよ」


ルーズリーフに書かれた非常に読みにくいひらがな。事前にネットに転がっている物を印刷したりするとかは思いつかなかったのだろうか。


「にしてもリョーヘイ字下手だね。これ神様来るかな?」


「時間ももったいないし早く終わらせちゃおーよ」



授業も終わった放課後。僕らは約束通りこっくりさんをするため教室に集まっていた。


窓から夕日が射し込み、教室を淡く染めている光と僕らの影が色濃く床に張り付いているコントラストは切り絵のようだった。怪談が本当だ、と噂されるのも分かる気がしてしまう。それほどまでに怪しげだった。


全員で机を囲み、ルーズリーフの上に置かれた十円玉を抑える。


「い、いくよ……」



アヤカがゴクリと唾を飲み込んだ。



「こっくりさんこっくりさん、西の扉からおいでください」









…………。

















「……なあんだ来ねえじゃん」


しばらくしてがっかりした声をあげたのはリョーヘイだった。ぱっと十円玉から手を放す。


「うぅぅ、期待してたのに……」


うなだれたアヤカの背中を天海がぽんぽんと叩く。

僕はこっそりほっとしていた。万が一何か起こったら、なんて心の隅で思っていたからだ。知らず知らずの内に箱山さんの言葉に不安を煽られていたらしい。


「でも、危険な目に逢うよりは良かったかもしれないね?」


「なんだよノリ悪いな京介!」


「京介くん優しい!あんたも見習いなさいよね」



そんなふうに口々に言いつつなんとなく帰る雰囲気になってきたその時。




リョーヘイが体を震わせて膝をついた。




「どうしたの?」


「いや……なんか、寒くね?」


「え?」


するとアヤカも自身の肩を抱きしめた。顔はやけに青ざめている。微かに歯を震わせた音がかちかちと響く。


「確かに、寒いけど……これって、まさか」







「こっくりさん……?」







いやいやいや、と僕は手を振った。


「皆の思い込みじゃないかな?少なくとも僕は何も感じないや」


と、その時。はっきりと3人の顔が恐怖で塗り替えられた。


「…………?」


「お、まえ、うしろ、」

「う、うそでしょ…………」

「いや、そんな、こわい」


僕を、いや、僕の後ろを見て震えている……?


「皆?」


きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!


僕が声をかけた途端、それが合図だったかのように全員がばたばたと走り去ってしまった。



「えぇ~……」



置いてかれたということは、ここの片付けをするのは僕ってことになる。といっても片付けるのは下手な字のルーズリーフと十円玉くらいだ。適当に捨てておけばいいだろう。夕陽も落ちそうだ。さっさと帰ろう。


あの怖がりっぷり、リアルだったな。演劇部でも入ってたのかな、あの三人。


そんなことを考えながらルーズリーフを手に取ったものだから、その上に乗っていた十円玉が落ちてしまった。







かつーーーーーん………………







「………ぁ…?」




体が、うごかない。声もでない。




――――『こっくりさんこっくりさん、お帰りください』と言って帰ってもらうまで途中でやめてはいけないし十円玉から手を離してもいけない――――



胸、肩、肘、手首も動かない。頭の中で警鐘(けいしょう)が鳴る。からんからん、ぐわんぐわんと視界の隅で十円硬貨が揺れる。



――――もし、そんなことをしてしまったら……――――



そうだ。頭の隅では分かってた。彼らが演技なんてしてないことを。

夕陽の光が十円玉を反射して目に染みる。目の前が、塗りつぶされていく。



――――あなたにとり憑いて、離れない――――



腰、膝踵爪先爪先爪先爪先爪先動け





動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ叫べ逃げろつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいつめたいさむい























ぞくり、と。



くびすじを、だれかが。








『わ た し の も の』








くらい。まっくらだ。





ぼく、は、くろい、くろいてが、きいろい、めが、わらって、ぼくの、からだを、


















「走れ!」


くろいかみとひとみを持つ救世主が、僕を引き戻した。

平仮名表記はわざとだったり。こんこん。

ホラーの所、弾幕貼ってるみたいで楽しかった!

こっくりさん、皆さんは絶対やらないようにしてくださいね。

筆者はやるような友達がいなゲフンゴホン忙しすぎてそれどころではありませんでした。キツネ呼んでる場合じゃねぇ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ