表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

第三話 非日常



 僕の間抜けな声が、響く。

 失言した。

 そう気が付いたのは暫くしてからだ。


 二十センチ。


 それは一般常識からすれば人外の領分。

 鉄鋼業の重機レベルの数値だ。


 人が出せる領域ではない。


 「異形」の領域。

 まさしく人外の領域。

 妖怪の領域。

 現代妖怪「都市伝説」とも言うべき領域だろう。


 僕の失言を聞いた瞬間、プラカードを持つ陰陽師の肩が、微かにに動いた。


「……二十センチ、ね~~」

「いや~~あの」

「十分化け物だな」

「あ~~言い間違えた二センチです」

「普通に化け物です」

「ですよね~~」

「お前二ミリなら千切れそうだな」

「余裕ですが」

「よし馬鹿」


 陰陽師から罵倒された。


「馬鹿って何だっ!」

「普通は二ミリも千切れんわっ!」

「えっ!?」

「お前~~何で素で驚いてるんだ常識だろうが」

「そうなの?」

「駄目だ馬鹿が居る」


 僕の言い訳を呆れを通り越して馬鹿にされた。

 うん。

 凄い馬鹿にされてる。


『おい』

「何だ相棒」

『人間は一ミリでも千切れない事しってるよな?』

「千切れんの?」

『千切れんわっ!』


 相棒からも罵倒された。


「苦労するなアンノウンの相棒さん」

『ああ~~分かるか』

「こいつ脳筋だろ」

『ああ、此奴なんでも力技で何とかなると思ってるんだよ』

「苦労してるんだな」

『分かってくれるか』

「御気の毒」

『しかも此奴は元人間なのに常識を知らんのよ』

「うわ~~」


 何か相棒と陰陽師が意気投合してるんですが?


「陰陽師さん」

「なんです?」

「僕の相棒なんですが?」

「知ってますが?」

「意気投合しないで下さい」

「知らんわ」

「ええ~~」


 陰陽師さんと相棒が目を合わせ溜息を付く。


 息ぴったりだな。

 あんたら。


「いたたっ……」


 拘束の感触が、肌に食い込む。


 ギリギリと。


 梵字が刻まれた鉄タングステン合金の椅子は、僕の体温を容赦なく奪う。

 そのうえ呪術的な圧迫感を伝えてくる。


 この呪力。


 僕を束縛してる陰陽師の物だな。

 見た目は若いが良い腕をしてる。

 僕が以前いた現世の陰陽師と引けを取らないな。

 

 それだけではない。


 塩を塗り込まれた女の髪の縄——。


 非業の死を遂げた女の物だ。

 怨念を呪力で強化している。

 不気味なほどにしなやかで、鋼よりも強靭な執着——。

 汚れなき乙女の髪を使った縄よりも、僕の自由を完全に奪っていた。


「……相棒~~今の失言無しにできないかな~~」

『無理だな』


 バッサリ言われた。

 ひでえ。


『陰陽師殿本人が聞いてるのに意味が無いだろう』

「聞いてます」

『なあ』

「そうだな」


 だから陰陽師さん。

 僕の相棒なんですが。

 良きぴったりだな。

 

言霊ことだまという言葉がある』

「うん」

『言葉通り吐いた言葉は呪いとなってお前を縛る』

「つまり?」

『自業自得』

「鬼かな?」

『お前の事だ』

「そうやね」


 泣きたい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ