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第二十六話 放棄と電話

 俺は執事やメイドについて詳しく知っているわけではない。

 なのでリビングに戻ってきた日荒川に聞くことにした。答えの中には初めて耳にする内容もあった。

「私達メイドは大きく分けて二つに分かれます。プライベートメイドとハウスメイドです。プライベートメイドは要人の方一人一人に付く専任メイドで、秘書のような役割を担っています。一方のハウスメイドは、各屋敷ごとに付くメイドで、このメイドが全体の9割を占めています。

 メイドには多くの不文律があります。例えば主人との接触は必要最低限にするとか、制服を着ている時もそうでない時も常に気を配るとか、中での出来事は例え身内であっても口外しないとかです。その中の一つに、ハウスメイドは他の屋敷に行くべきではない、というものがあります。今回私が城ヶ崎浜様の御屋敷にいられたのは、単にひるめ様の御助言があったからです」

「でもそれで何でここに来る事に」

「学校から近いですし、何より田奈浜御姉妹の御屋敷や城ヶ崎浜三日月子様の御屋敷に近いですから」

 そう笑顔で答える日荒川に裏は無いようだった。

 それならそれで有り難いと、またわざわざ母に逆らう事も無いだろうと思い、俺からも正式にここに住まう事を許可しよう。

「分かった。日荒川翆さん、主人として正式にここで働いてもらうよう、お願いする」

「よろしくお願いします。ですが、まず始めにお願いしたい事が」

「何だい」

「若い男女が二人きりで日々を過ごす事になりますが。変な気を起こさないでね、東条君」

 後半軽いノリになったかと思うと、リビングを出ていった。

 後には首を傾げる俺だけが残された。


 日荒川は一階の部屋で寝ている事だろう。

 客間に移動し、最近恒例になった寝る前の宇宙儀の組み立てセットの組み立てを始める事にした。今日は火星だ。

 それにしても、これからどうしようか。

 『学校征服計画』と銘打ちながら、結局は何も考えていなかった。夕食前に妹子ちゃんと天と日荒川に話した時も、ほんの一分足らずで話し終わってしまった程だ。

 生徒会長になる。だからといって征服した事にはならないだろう。何が足りないのだろうか。

 辞書で調べてみた。

 <武力で敵を負かし、支配すること>

 武力、か。苦手分野だ。それに、現代はそんな支配方法よりも有用なものがあるだろう。

 考え方を少し変えて、どうなるといいか、つまり目標を考えてみる。

 …………

 ………

 ……

 …


 無いな。

 例えば誰もが俺の言いなりだとしよう。すると、テストが無くなるとか、本当に限定的な事しかできない。コミュニティの巨大な、例えば国家とか、ならば大分色々できるだろうに。あとは、この小説が全年齢対象では無くて1――


 思考が自分でもよく分からない変な方に向かったが、まあ俺に学校を征服する気持ちが無い事が分かった。

 ただ入学式の日の決意は無に帰させたく無く、また妹子ちゃんや天や日荒川に言ってしまった手前、理由も無く退きたくは無かった。

 それだったら、何もしないよりは何かしていた方がいいだろうから、このまま終わる事の無い無計画な計画を進めていこう。


 そんな事を考えながらも宇宙儀の組み立てセットの火星は早々と組上がった。

 この調子ならば今週中には完成するだろう。



 寝ようと廊下にでた時、突然電話が鳴りだした。

 広い家に響き渡るダイアル式の電話の金属音。俺がこの別荘にやってきてから初めての事だった。

 流石と言うべきか、日荒川がすぐにやってきた。

「ご主人様、お電話ですが出られますか」

 そう聞いてくる日荒川はさっきまで寝ていたのだろう、大分薄着だった。

 初の事態に戸惑っていたのに気を利かせたのだろうが、俺はそれに答える事はせず、走って電話のおいてある唯一の部屋、リビングに向かった。

 ――何だか嫌な予感がする――

 そう直感的に思った。

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