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得たモノと失ったモノ

誰しもが続くと思った平和

その平和は1つの国によって崩された

1人の少女の願いすら踏みにじって



地は裂け

森は焼け

湖は枯れ果て

灰になった街の中で

1人の少女は倒れていた

奪われたことに対する逃避をするかのように

ただ静かに眠っていた


少女と少年が会話をしているある日の夜

突如として降りかかった暴力の嵐

見たことも無いような兵器に蹂躙される街の中で

少女は想いを

少年は思いを

無残にも引き離された


「その少年のココロは良い材料になる、丁重に扱え」

そんな言葉とともに少女カレンは少年アリスから引き離された

「こっちの女は?」

「捨ておけ、ココロの小さき者に用はない」

人を人として扱わないような会話の中で

必死に繋いでいた手を引き離された2人

「カレン!カレンっ!」

少年は必死に手を伸ばすが届かない

「アリス・・・アリスっ」

少女は必死に這いつくばるが追いつけない

「離せ!離せよ!僕はカレンのそばにいなきゃダメなんだ!」

少年は叫ぶが連れ去る大人たちは聞く耳も持たない

「アリス・・・嫌だ・・・嫌だよ・・・」

少女はか細い声で声をかけるがもう届かない

全てを奪われ1人になった少女は、最後に見た少年の笑顔を胸に抱き

どうか夢であって欲しいと願うまま、意識を手放した


少女が気を失っている頃、少年は空を飛ぶ船の中に連れてこられた

「飛空艇」と呼ばれたそれらの丁度中枢に位置する場所へ運ばれた少年はある物を目にした

たくさんの人間が機械に繋がれうつろな目で動きもしない様を見せられた少年は、その異様とも言える光景に嫌悪感を抱いた

「膨大なオモイデを持つ者1人で全ての動力を賄うには」

そのようなフレーズが少年の耳に聞こえてきた

しかし少年の持つ知識ではなにを言っているのかが理解出来ず、これからなにをされるのかも分からなかった

抵抗も出来ぬまま異質な機械に繋がれた少年は、なにかを吸い取られる感覚を感じながら、それでも、別れさせられた少女の名を必死に叫んだ

否、叫ぼうとした

少年がなによりも大切にしてきた少女の名を

「   」

叫べなかった

大事にしてきたものを徐々に失っていく感覚を味わいながら少年は理解した

(あぁ、僕のオモイデが吸われているのか)

非情にも少年が一番大事にしていたものから失われてしまった

もう思い出すことも出来ないその名前を必死に思い出そうとしながら

少年は意識を刈り取られた


少年の意識が落ちた頃、嫌な感覚とともに少女は目を覚ました

目の前に広がるのは以前とは違う悲惨な風景

少女は理解した

全てを奪われたのだと

なによりも大事なアリスを失ったのだと

そう理解した途端、少女は生まれて初めての涙を流した

最初は流れてくる涙が理解できなかったカレンだが

徐々にそれがアリスが自分にくれたものだと理解できた時、より一層涙が溢れた

(もう一緒にいれない、アリスは隣にいないんだ)

そう思えば思うほどに少女は悲しみを覚えた

(こんな気持ちは嫌だ、いらない)


アリスを失ったことでココロが広がりを見せたカレン

しかしその感情を受け入れたくないカレンは静かに決意する

アリスがいないことで自分のココロが広がるなら

ココロなんて広がらなくていい

だからアリスと一緒にいたい

そう思った少女は当てもなく歩き出した

ココロの引き換えに失ったアリスを取り戻したいと願って

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