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リバース・スラスターズ  作者: マユ・クロフト
特典メニュー EP4後半編
153/277

▼用語集 EP4関連編 

※本設定は、本編中で書かれている設定をピックアップの上加筆したものですが、読まずとも問題無く本編を楽しむことができるものとなっております。

※作中登場準です。

【超長距離・大質量加減速移送艦〈ヴァジュランダ〉】

・全長・全幅ともに約30キロ、巨大な傘の骨組みのような姿をした巨大な艦。

・第二次グォイド大規模侵攻を経験した人類が、予測される次のグォイド大規模進攻に備え、火星と木星の中間の公転軌道に存在するメインベルト(小惑星帯)を局所的に密集させることで、対グォイドのバリケード‐【集団(クラスター)】を設ける為に建造された艦。

・その壮大極まりない試みを達成する為に、まだUDOと呼ばれていた時代のグォイドの残骸から、僅か六柱だけ回収したオリジナルUVDが主機関に使用されている。

 ……というよりオリジナルUVDの大出力に、その時点では他に使い道が見出せなかった。

・その巨大な骨組み状船体は一種のパラボラであり、そこからオリジナルUVD由来の潤沢な人工重力を発生させ、UVアクセラレーターと名付けられた機構により小惑星等の大質量物体を加速、あるいは減速させ、長距離間の移送を可能とする。

 数年の歳月をかけて建造され、第三次グォイド大規模侵攻が来るまでにメインベルト内の小惑星を密集させただけでなく、火星および木星のトロヤ群に存在する小惑星をも移送させ、メインベルト内に幾つかの【集団(クラスター)】を生み出し、それは第三次グォイド大規模侵攻迎撃閃において極めて有効にバリケードとしての効果を発揮し、人類の大規模侵攻艦隊迎撃に貢献した。

 だがその行いは、同時にグォイドにとって決して看過できない事態でもあり、なお且つあまりにも目立ち過ぎた為、第三次グォイド大規模侵攻直後から第四次グォイド大規模侵攻までの間に、二度にわたりグォイドの攻撃目標にされた。

・姉妹艦……というより双子艦に、超長距離・大質量加減速移送艦〈アラドヴァル〉が存在し、そちらは火星と木星のトロヤ群にある小惑星を打ち出し側を担当し、〈ヴァジュランダ〉は打ち出された小惑星をメインベルト内で減速させ受け止める側を担当している。







【ゴリョウカク集団(クラスター)

・〈ヴァジュランダ〉によって設けられたごく初期の【集団(クラスター)】の内の一つ。

・二度にわたって〈ヴァジュランダ〉を狙ったグォイドとの戦場となった。







【サートゥルウス計画】

・秒速1000キロで慣性航行中の〈じんりゅう〉が、土星圏グォイド本拠地を高速でフライバイすることで、グォイドに察知されずに偵察を行おうという試み。

サターン(土星)の語源の神サートゥルヌスから名付けられた。

・木星から惑星間レールガン弾体として放たれグォイド・スフィアを、自らが惑星間レールガンの弾体となることで追撃、破壊に成功した〈じんりゅう〉が、偶然にも土星方向に秒速1000キロで慣性航行していたことから実施された。

・秒速1000キロという高速により敵陣を短時間で通過できること、通過噴射光を一切発さない慣性航行により被発見率が低く抑えられることから、比較的安全委グォイド本拠地の偵察と帰還が可能なのではと期待されていた。

・内太陽系人類圏を通過している最中はSSDFとの交信が可能であり、任務達成の為に数々のデータのやりとりによる情報支援を受けられたが、メインベルトを通過後はグォイドに察知されるため一切の通信は行えず、〈じんりゅう〉は物理的にも情報的にも完全に孤立した状態でこの任務を遂行せねばならない。







【ケーキ&クレープ】

・サートゥルウス計画の実施に際し、グォイドに発見されないために、急遽〈じんりゅう〉艦内にある資材を用いて製作された一種のステルス膜。

・〈じんりゅう〉開発整備責任者(チーフ)のノォバ・ジュウシローが、【ケレス沖海戦】でグォイドが用いた慣性ステルス航法を元に開発し、製作法データを〈じんりゅう〉に送信、それを元に主にケイジ技術三曹の手によって製作された。

・〈じんりゅう〉前方10キロの位置に配置した直径3.5メートル、厚み2メートル程の円盤状容器ケーキを回転させることで、中に封入されていた液体金属を円盤状に展開。直径30キロのスクリーンにし、そこへ〈じんりゅう〉艦尾から見た後方の映像を投影することで、土星圏から見た〈じんりゅう〉の姿を隠す。

・いわば正面に置いておいたただのスクリーンに過ぎず、その原理と特性から、基本的に土星圏までの往路でしか使えない。

・結果的に土星圏のグォイドの目から〈じんりゅう〉をどこまで隠しおおせられたのかは、〈じんりゅう〉が【ザ・ウォール】に接触した為不明。

 だが、〈ケーキ&クレープ〉の円盤部の縁が【ザ・ウォール】に接触したおかげで〈じんりゅう〉は【ザ・ウォール】の存在に気づき、僅かながら対処することが可能となった。







【SSDF‐JX008〈びゃくりゅう〉】

・VS‐800番代〈じんりゅう〉級航宇宙戦闘艦の原型となった艦であり、一つ前の世代の航宙戦闘艦。

・人類がUVテクノロジーを獲得する過程で、幾隻か建造した人造UVD実験艦の内の一隻。

・二度のグォイド大規模侵攻を退けた段階で、一応の実用化はなされたものの、まだ低出力かつ大型な人造UVDの小型化を目指してさまざまな実験を行うと同時に、数々のUVエネルギー使用兵装のテストを行う為に設計・建造された。

・艦尾の推進部があまりにも巨大なため、例えるなら女王蜂を連想させるアンバランスなフォルムの艦。

 少しでも小型軽量化させることで機動性の向上を目指す為、また人造UVD小型化成功時は、そのまま船体前部を流用し続けられるように、船体の後半分を巨大人造UVDを内蔵した主機関部にし、前半分をと完全に機能を分割し、前半はSSDFの対グォイド・ドクトリンに合わせ、前二・後一基の主砲塔、センサーセイル、対宙レーザーを上下に一対ずつ搭載した上下対称の洋上戦闘艦のような姿をしている。

 補助推進機としてH2Oを主燃料とした熱核ロケット・エンジンナセルを4基、巨大な円柱状主機関の周囲にX型に配置しており、全体としては大昔の最初期型宇宙ロケットの先端に洋上戦艦を接続したかのような姿。

・全長の6割が後部の推進機関部が占める為、当然、機動性能から見た艦のバランスはすこぶる悪い。

・『機動性が足りない、推力が足りない。防御力が足りない』と二代目艦長である秋津島レイカには評されている。

・第三次グォイド大規模侵攻の前に就役し、人造UVDのコントロールとデータ収集の新たな試みとして、超高速情報処理システム【ANESYS】のデヴァイスとその適正をもつ少女達が乗艦した状態で、同・大規模侵攻迎撃戦に戦況の悪化から参加、紆余曲折を経て【ANESYS】を用いた操艦により多大な戦果をあげた結果、人材と艦艇不足から【ANESYS】適正を持つ少女達がそのまま艦長以下の幹部クルーとなった。

・第三次グォイド大規模侵攻迎撃戦より約9カ月後、超長距離・大質量加減速移送艦〈ヴァジュランダ〉を狙う野良グォイドからの防衛線において大敗し、【ゴリョウカク集団(クラスター)】内にて廃艦処分とされた……はずであった。








・【キルスティ指令(プロトコル)

 サートゥルヌス計画の開始が決定された直後、元〈じんりゅう〉機関長キルスティ・オテルマより送信されてきた指令のこと。

・〈じんりゅう〉クルーによるケイジ技術三曹への恋慕が、【ANESYS】の思考統合を極限まで引き上げ、結果【ケレス沖海戦】や【メリクリウス作戦】の成功へと導いたと気づいたキルスティが、その状態をサートゥルヌス計画中も維持する為に考案し、テューラ司令により認可された。

・簡単に言えば、【ANESYS】の統合を維持すべく、〈じんりゅう〉クルーがケイジ技術三曹に対し、誰か一人が抜きんで出ること無く、全員が均等に仲良くなり、なおかつ恋愛的に進展させないよう意識的に留意せよという内容。

・艦長以下の〈じんりゅう〉クルーと、ケイジ技術三曹とでは指令の内容が若干異なり、ケイジ技術三曹に対しては、〈じんりゅう〉クルーには絶対に手を出すな! という単純な内容なのに対し、〈じんりゅう〉クルーにはケイジ技術三曹との仲の良さ具合を〈パイレーツ・ニンジャ〉と名付けられたアルゴリズムを用いて数値かし、これをクルー全員で均等化することが求められている。









【ザ・ウォール】

・土星公転軌道のすぐ外側にて〈じんりゅう〉が接触・突入してしまった、UVフィールドで形成維持されたごく薄い膜でできた巨大な壁。

・全長不明(最短でも6億キロ)・幅約30万キロ・間隔約2000キロのインナー(内側)ウォールとアウター(外側)ウォールの二枚の壁が、その両端で繋がってできていると思われる。

・内太陽系側はステルス膜で覆われていた為、恐ろしく巨大であるにも関わらず、全人類・SSDFはもちろん、土星圏に再接近中の〈じんりゅう〉にも接触するまで存在に気づかなかった。

 ゆえにいつから存在しているかも不明であり、少なくともUDO襲来後に生み出されたであろうことしか分かっていない。

 いわば巨大なベルトコンベア状であると推測され、インナー《内側》ウォール(土星・内太陽系側)は太陽を反時計回りに約秒速一〇〇〇キロ以上で移動し、アウター《外側》ウォールは逆に方向に同じ速度で移動していると思われる。

・壁は分厚いUVエネルギーの層で形成・維持されており、壁と同等の速度で流動している。

 そしてそのUVエネルギーの副次的効果として、ウォールの内壁に約1Gの疑似重力が発生している。

・その形成手段・目的は、〈じんりゅう〉墜落時ではいずれも不明である。

・ケイジや〈じんりゅう〉クルーの【ANESYS】は、土星圏に侵入した人類の航宙艦を捕まえる為の一種の罠ではないかと推察していた。










トゥルーパー(超小型)・グォイド】

・【ザ・ウォール】内に侵入した敵を仕留めるために、母艦であるトータス・グォイドより送り込まれる小型のグォイド。

・身長およそ3メートル、黒いニッパーやハサミやナイフやらを束ねてできたような姿をしており、幾百幾千もの個体が連結した群体となって行動する。

・火器の類の武装は基本的に装備していおらず、集団で目標艦に取り付き、その刃物の塊のような身体そのもので目標を破壊する。

・小型な為にその体内に人造UVDは有しておらず、UVキャパシタしか持っていないが、母艦であるトータス・グォイドより、連結した無数の同胞トゥルーパー(超小型)・グォイドの身体を介して、無尽蔵のUVエネルギーが供給されるため、サイズに比してその動きは極めてパワフルであり、目標艦のUVシールドも浸食して内部に突き進むことを可能としている。

・トータス・グォイドとの連結が立ち切られると、体内のUVキャパシタに蓄えられたUVエネルギー分しか活動できなくなり、エネルギーが切れ次第餓死する。が、エネルギーが切れるその瞬間まで破壊活動を止めようとはしない非常に狂暴なグォイドである。

・目標艦のUVエネルギー供給源を優先して襲う習性があり、〈じんりゅう〉の補助エンジンに食らいついた。

・各関節が弱点であり、ガス圧で可動している為、穴を開けられるとその部分の関節を動かせなくなってしまう。迎撃にあたったカオルコたちはライフルで穴を開け、わずかな数だがトゥルーパー・グォイドの無力化に成功した。

 とはいえ、その恐ろしさは数の多さと、母艦トータス・グォイドからの無尽蔵のエネルギー供給によるパワーであり、初見でこのグォイドに対処するのは非常に困難である。

・強いて言えばUV弾頭ミサイルが効果的だが、数の多さの前では決定打とはなりえない。

 トゥルーパー・グォイドはいわばトータス・グォイドの自律的に動く攻撃用触腕であり、対処するにはその母艦たるトータス・グォイドを破壊するのが唯一の選択肢である。












トータス(母艦)・グォイド】

・トゥルーパー・グォイドの母艦であり、【ザ・ウォール】に侵入した人類の航宙艦を狩ることを主目的とするグォイド。

・半球形部のサイズはおよそ直径10キロ、高さ4キロとシードピラー並みのサイズ。

 伏せたボウルの四隅に短い脚が生えたかのような姿をしており、

 上部の半球状部分は巨大なハチの巣のようなトゥルーパー・グォイド格納庫、下部の脚部は【ザ・ウォール】内壁面に張り着き、壁面上を自在に滑走する為のもので、疑似1G重力の働く【ザ・ウォール】内に限りその巨体に似合わぬ機動力を有する。

・対宙迎撃用レーザー砲類は装備しているものの、UVキャノンやUV弾頭ミサイル等の攻撃用武装は有しておらず、その半球状部分から放つトゥルーパー・グォイドの群体が最大にして唯一の攻撃手段。









【SSDF制式航宙艦用・全環境適応型アサルトライフル】

・〈じんりゅう〉内に数丁だけ装備されていた対人携帯火器。

・わずかな可能性だが起こりうるかもしれない同胞人類によるテロ行為に対抗するために積まれていた。

・軽量・小サイズを旨とする航宙艦の備品として、トリガーグリップの後ろ側にマガジン(弾倉)がつくブルパップ方式が採用されており、マガジン自体を一つの薬莢に見立てることで、薬莢を必要としないケースレス弾薬を使用する。

・反動は小さく、動かない標的にであれば使い方さえ知っていれば充分弾を命中させることが可能である。

・関節にさえ命中させられればトゥルーパー・グォイドにも一応の効果はあった。











補修用速乾充填剤(ムース)スプレー】

・航宙艦内に戦闘等の理由により破孔が発生した際に、瞬時にその穴を埋める為の装備。

・もちろん塞ぐことのできる穴のサイズに限界があるものの、二種類のゲル状薬剤を混ぜながら噴射、塗布ることで瞬時に目標付近で硬化し、発生した穴を塞ぐことができる。

・〈じんりゅう〉艦内に侵入したトゥルーパー・グォイドに対し、有効だった数少ない装備の内の一つ。







【万能キー】

・いわゆるショットガンのこと。

・救命担当EVA(船外作業)要員たるカオルコが、あくまで救助用として、閉鎖状態で歪んでしまった隔壁のロック機構や、障害物となったフレーム等を除去する為に確保しておいた装備。

・全長1m20cm、全長の八割を締める銃身の上に二列のチューブ式弾装があり、左右8発合わせて16発の弾を装填可能。

 廃莢と装填はグリップ後方のストック内機関部から行われるブルパップ方式。

 発射の際のガス圧を利用したセミオート射撃が可能であり、装填された6ミリメタル球10粒入り散弾を近距離から発射することにより、金属製フレームや隔壁に直径10センチクラスの穴を開けることが可能。

 これにより閉鎖された隔壁のロック機構や、ハッチの蝶番を破壊し、要救助者までの到達路の確保を行なう。

・300年以上前に発明され、使われ続けてきたショットガンの系譜であり、構造原理は数百年前と大差ない。

・〈じんりゅう〉艦内に侵入したトゥルーパー・グォイドに対してカオルコが使用し、比較的有効な装備であった。








【例の場所】

・意図せぬ【ザ・ウォール】侵入を果たした〈じんりゅう〉が、現状打開の為に行った【ANESYS】で、〈じんりゅう〉の【ザ・ウォール】内壁への墜落が不可避と判断しつつも、クルーに“そこへ向かえ”と示した【ザ・ウォール】内アウター《外側》ウォール上の一点にある場所。

・そこには無数のSSDF航宙艦の残骸と、データベースに無い巨大な人類製の航宙艦が眠る航宙艦の墓場であった。

・【ANESYS】ではなく、〈じんりゅう〉搭載のオリジナルUVDがそこへ向かうように導いた可能性もある。










Ω(オメガ)プロトコル】

・【テルモピュレー集団(クラスター)】で回収されたオリジナルUVDが、〈じんりゅう〉にそのまま搭載されることが許可されたその絶対条件として、同艦に課せられたSSDF最上級指令。

・その内容は“〈じんりゅう〉搭載のオリジナルUVDが、グォイドに奪取・回収される可能性がある場合は、最優先でそれを阻止せよ”というもの。

・オリジナルUVDがグォイドの手に渡れば、辛うじて持ちこたえていたグォイドとの戦いの戦況バランスを、一気に人類の敗北に変えかねない為である。

・〈じんりゅう〉が撃破・撃沈されることが事前に不可避と判断できた場合、艦長以下幹部クルーは、クルーのサバイバルをないがしろにしてでも、オリジナルUVDがグォイドの手に渡ることがないように、可能であればオリジナルUVDが納められた〈じんりゅう〉の艦尾推進部を分離し、できれば内太陽系人類圏、それが無理なら太陽系外方向へ射出することが義務付けられている。

・【ケレス沖会戦】の直後、【SSDF第五次グォイド大規模侵攻迎撃戦総括会議】において半壊状態の二代目〈じんりゅう〉が改装修繕される際に決定された。

・【ザ・ウォール】内アウター(外側)ウォールへの〈じんりゅう〉墜落が不可避となった時点で、艦長ユリノはΩプロトコルの実行を決断。

 ただしクルーが〈じんりゅう〉から脱出した後に決行するよう試みたが、何故か〈じんりゅう〉の艦尾推進部の分離に失敗し、〈じんりゅう〉はオリジナルUVDを搭載したまま墜落、Ωプロトコルの実行は失敗した。








【残骸除去用爆薬】

・ケイジがダメコン担当装甲宇宙服ハード・スーツ着用時に身に着けていた装備の一つ。

・その名の通り残骸除去に用いられる。

・幅1.5センチ、暑さ5ミリ程のテープ状のプラスチック爆薬であり、普段はセロテープの類いのように円盤状に丸められたうえでカッタ―付き容器に納められており、必要に応じた長さに伸ばしては切断し、対象に張りつけ、無線信管を刺して遠隔起爆させる。

・爆薬の爆発ネネルギーが張り付けた対象に集中するように起爆することで、短時間で隔壁やフレーム類を切断、あるいは除去が可能。








【緊急脱出ボート】

・二代目〈じんりゅう〉から上部センサーセイル、センサーモジュール後端に搭載されたブリッジクルー用脱出艇。

・初代〈じんりゅう〉戦没時に、最後まで艦に残り操舵していたレイカ艦長を失った教訓から付けた足された機構であり、定員10名、シャトル程では無くとも推進能力があり、またブリッジから直で行けるというメリットがある。

・【ケレス沖会戦】後の改修時に緊急脱出ボートへクルー10名が一度に昇れるように、艦長席周辺のエレベーターシャフトの大型化がなされ、その機構は不幸にも【ザ・ウォール】への〈じんりゅう〉墜落時に活かされることとなった。

・分厚い紙飛行機のような〈じんりゅう〉艦上部センサーモジュールを、そのまま薄く小型化したような姿をしている。

・UVキャパシタを搭載し、短時間であれば自己推進能力を有する。








【脱出ポッド】

・〈じんりゅう〉級に四機だけ搭載されたクルーの脱出装置。

・緊急脱出の必要に迫られた時に、クルーが脱出手段のある位置まで移動することも、グォイドとの戦闘中には容易ではない。脱出装置にサイズと重量を裂くくらいであれば、グォイドとの戦闘で使う防御・火力・推力に回した方が、結果的にクルーの安全に繋がるという観点から僅か四機という搭載数となった。

 とはいえ、クルーが10人程しかいないVS艦隊〈じんりゅう〉級ではその搭載数でも充分であり、またたとえ搭載数が多くとも、宇宙戦闘における脱出可能確率は極めて低いことに変わりはない。

・〈じんりゅう〉船体中央両舷の上下に搭載されており、使用時はその部分の装甲をパージした上で射出が行われる。

 一基につき最大10名、推奨6名が搭乗可能。しかし当然ながらシャトルのような本格的移動能力は無く、使用した場合の生還率はシャトルに比して大きく劣る。

・惑星や衛星等の重力下で使用される場合も想定されており、ポッド周囲に使い捨て小型ロケットブースターが八基、ポッド下方にノズルを向けて取り付けられおり、ポッドの中心を挟んで二基ずつ点火し、推力軸が重心を貫くように配慮しつつ、噴射の反作用で落下速度の減速をある程度行うことが可能。

 それでも落下速度が安全レベルにまで落とせない場合は【緊急発砲緩衝剤製のアブソーバ・クッション】が使用される。

・ポッドには制御AIが搭載されており、脱出ポッドが起動した瞬間から、己の使用者たる人間を守る為に最適な判断がなされ実行される。

・脱出ポッド内部には『◆脱出ポッドでのサバイバルマニュアル』他、使用者が延命する為に乗せられるだけの物資が可能な限り搭載されており、【ザ・ウォール】において脱出ポッドを使用したケイジとシズは、このお陰て辛うじて生き延びることに成功した。








【シャトル・スクールバス】

・じんりゅう〉搭載・多用途有大気重力下往還艇(シャトル)のこと。

・機体下面を巨大なセミリフティングボディとしたデルタ翼の端に、艦載機としての格納性向上の為に折り畳み機構を有し、機体中央上面に20人は優に座れるキャビン付きの胴体が盛り上がっており、スペースシャトルとしてはオーソドックスといえるフォルムをしているが、外見上の特徴として、コックピットのやや後部左右のストレーキ部に、左右計二基のベクタードスラスターが搭載されている。

・スクールバスはこの機首側ベクタードと、主翼後縁全辺に設けられたメインベクタードスラスターを用いることにより、重力下での垂直離着陸(VTOL)を可能とする。

・〈びゃくりゅう〉および初代〈じんりゅう〉の時代は、クルーの総数からこのスクールバスを艦尾上下の格納庫に計四機搭載することで、クルー全員分の脱出手段としていた。

 が、二代目〈じんりゅう〉ではクルー数が10名しかいないので艦尾下部格納庫に一機しか搭載はしていない。

・フル装備状態の昇電と同等のサイズの大型の機体であったが、それでもサイズ的にUVD搭載は叶わず、UVキャパシタを用いたUVエネルギーで推進する。

・UVシールド無しでも地球や火星の大気圏突入が可能な耐熱ボディを持ち、また大気圏内では核融合ジェットエンジンに切り替え、理論上は無制限距離の飛行が可能であり、さらに取り込んだ大気からH2Oを抽出し推進剤に変換し蓄えることで、有大気惑星上からの上昇に限り、燃料補給を必要としない。

 つまりUVエネルギーとH2O燃料の両方で飛ぶことが可能なハイブリット機である。

・武装は一切ついてはいないので戦闘は無理だが、〈じんりゅう〉クルーが艦から艦へ、宇宙ステーションへ、あるいは地球や月や火星に降りる時、もしくは沈む〈じんりゅう〉から脱出しなくてはならない時には、なくてはならない機体である。










【アブソーバ・クッション】

・航宙艦より脱出したシャトルやポッドが、可能な限りの減速噴射を行ってもなお乗員の生命維持が困難な速度で重力下へと降下した際に、着陸直前に減速を行う為の最後の手段。

・搭載AIの判断により、先んじて着陸予測地点に射出された容器より、補修用速乾充填剤(ムース)と同種の二種類の液体の化学反応によって展開・発砲・形成される前後に長いピラミッド状のクッション。

・全高約50m、全長は300m程にもなり、それ自体が破壊し、蒸発することで、着陸寸前のポッドやシャトルを受け止めた際に運動エエルギーを減衰させ、最終的に中の乗員の生命を守らんとする。






【グォイド土星本拠地殴りこみ艦隊】

・第三次グォイド大規模侵攻迎撃戦から約三年後、【五大国家間同盟】の内の〈ステイツ〉の主導で実施された人類初のグォイド本拠地攻撃作戦の大規模遂行艦隊のこと。

・〈びゃくりゅう〉や〈じんりゅう〉などのUVD実験艦から得たデータの蓄積により、実戦に耐えうる人造UVDの生産に目途がついたことが実施の要因の一つであるとされ、実用化された人造UVDを搭載した多数の航宙艦により形成されている。

・UDO襲来時に北米大陸に被害を受けた〈ステイツ〉が、その報復の為に主導となって立案実行したが、他の〈アライアンス〉〈ユニオン〉〈ASIO〉そして〈日本〉は、土星圏攻撃には消極的であった。

 が、作戦が成功した場合の国家間パワーバランスの変動に備えて、低い比率ながらも航宙艦を派遣した。

・結果的に、土星リングに据えられた実体弾投射砲群など、想像を超えた土星圏の守りの硬さにより作戦は失敗、殴り込みは大損害を受けながら撤退する他なかった。

 中でも戦艦〈アリゾナ〉をはじめとした100隻以上の先遣部隊が消息不明となっている。

・土星圏攻撃作戦の失敗の直後に第四次グォイド大規模侵攻が観測された為、この作戦の遂行がグォイド大規模侵攻を早めさせたのではないかと言われている。









【◆脱出ポッドでのサバイバルマニュアル】

・脱出ポッドに積まれている使用者へ向けてのマニュアル。

・手動発電式タブレットで見るデータ版と、耐久紙でできた予備の物理書籍タイプの二種類がある。当然データ版の方が内容が充実しており、生存に必要な計算アプリ等も充実している。

・シャトルや脱出ボートにも同じ内容のマニュアルが積まれている。

・様々なシチュエーションにおいて脱出ポッド使用者が生存する為に必要な行動が書かれており、脱出ポッド内に搭載されたサバイバルキットの使用方法も合わせて記述されている。

 とはいえ、宇宙戦闘では脱出ポッドを使用せねばならない段階で、生還は絶望的であることには変わりはない。

・大半は脱出ポッドで宇宙を漂流した場合での生存方法についてのマニュアルだが、わずかな可能性ながら重力下に降下した場合の生存方法も記述されており、その場合は脱出ポッド内で救助を待つことを強く推奨している。

 






【呼吸用エア・リサイクル装置《BAR》】

・脱出ポッド内の呼吸用の空気をリサイクルする為の装置。この装置が稼動しないと使用者の呼気に含まれた二酸化炭素の増加により、使用者の生存可能時間は著しく短くなることになる。

 稼動させるにはバッテリーや核融合発電による電気が必要であり、バッテリーしか搭載されていない脱出ポッド内では、当然可動限界時間がある。

・動力源さえあれば脱出ポッド内から取り外すしての使用も可能であり、また呼吸気用エア・ボンベへの補充も可能である。







【交換用多目的バッテリー】

・宇宙服や脱出ポッド内のヒーターや呼吸用エア・リサイクル装置《BAR》、装甲宇宙服(ハードスーツ)のパワーアシスト機能に使われる、交換と携帯が可能な再充電可能な小型燃料電池。

・一つ約1キロであり、脱出ポッドには12個積載されていた。


 




【食糧および水】

・ここでは脱出ポッド内に積まれたものを指す。

・脱出ポッドには6名が三日間確実にパフォーマンスを発揮できるだけのカロリーバーと飲料水が搭載されているが、それを越える場合は節約と、水分のリサイクルが必要となってくる。

 水リサイクル機能はSSDF宇宙服に備わっているので、電力さえ確保できていればこれを使用することが可能である。







【太陽光発電パネル】

・携行バッテリーだけでは必要電力が賄えない場合に備え、極軽量折り畳み式の太陽光発電パネルが脱出ポッドには備わっている。

 ただし、太陽系メインベルト以遠では太陽光発電パネルの発電効率が急激に低下する為、電力の確実の確保が望めない事態も予想される。

・太陽光発電パネルとして使えない場合は、保温ブランケットの替わりに使用することが可能である。







【耐真空用テント】

・脱出ポッドに搭載された真空環境化での長期滞在を可能にするバルーン式のテント。

・脱出ポッドの使用者が定員を超えた場合に、脱出ポッドのエアロック部に連結した状態で展張させ、滞在スペースを増やす為の装備であるが、重力下での使用も可能。

・もちろんデブリに対しては極めて無防備である為、安全性は脱出ポッド内に比して著しく劣る。

・呼吸用エアボンベ補充用コンプレッサーを用いることで展張し、内部に仮設トイレを含めた3m四方の1気圧空間を作り出すことが可能、またコンプレッサーを用いて再び折り畳むことが可能である。

・これを用いることで休息時の疲労回復の効率化が望めるが、重力下でこれを持ち運ぶことによって不必要にリソースが割かれる場合は、無理に携行することは避けるべきである。




【レーザー通信機】

・ここでは脱出ポッドに搭載された携行可能なレーザー通信機を指す。

・グォイドに位置を知られる可能性があり、通常無線通信の使用を控えるべきシチュエーションでの通信に用いられる。

・通信相手の位置が正確に分かっている状態であれば、互いの通信用レーザーを送受信することで、その中間にグォイドがいない限りは、存在を悟られないままの通信が可能。

・携行可能とはいえ、装甲宇宙服ハードスーツのパワーアシスト無しでの持ち運びはかなり厳しい。

 また使用時は、はるか遠くの対象にレーザーを照射せねばならない関係上わずかなブレも許されず、重力下で使用する場合は三脚等で固定する必要がある。つまり事実上移動中の使用は近距離でないかぎり不可能。

・また当然使用には電力を確保する必要があり、脱出ポッド内の電力リソースを計画的に回す必要がある。





【リアカー】

・ここでは脱出ポッドに搭載されていたものを指す。

・脱出ポッド使用者が、生還の為に重力下で移動をせねばならない状況に陥った際に、必要物資の移送を補助する為に用意されていた。

・【ザ・ウォール】にシズ大尉と共に脱出ポッドで落着したケイジは、このリアカーにエアボンベ、水、食糧、バッテリー、呼吸用エア・リサイクル装置《BAR》、耐真空用テント、レーザー通信機、救急キット等々の必要必須物資を積み、使用者が牽引することで、真空重力下での移動を容易にし、生還率を上げようと試みた。

・スクーターやバイクの類ではなくリアカーなのは、リアカーが必要になる状況では、生還がほぼ絶望的であり、スクーターやバイクなどを積みリソースを削るよりも、それらを使わずに済む方にリソースを向けようという脱出開発者の方針の為である。

・リアカーは脱出ポッドの構造材の一部として、バラバラに分解された状態で格納されており、可能な限り脱出ポッドに余計な重量と体積を増やさないように配慮されている。








【スクール・バス(改)】

・【ザ・ウォール】に不時着し、燃料切れの為に再離陸不能となったったシャトル・スクール・バスを、ケイジの主導の元に地上走行用に改造したもの。

・発進・停止・加減速に時間がかかるものの、最大時速100キロ弱で走行が可能。

・シャトルとしてのスクール・バスは、真空中では燃料が無ければ使用不可能であったが、搭載されていた核融合炉とフライホイール・バッテリーは健在であり、ケイジはモーターの代わりとしたフライホイール・バッテリーを核融合炉の電力で回し、その回転運動をスクール・バスの着陸脚のホイールに伝えることで、シャトルを重力下で走行可能な自動車へと改造した。

・フライホイール・バッテリーと着陸脚のホイールとを繋ぐシャフトの連結強度が弱いため、走行開始時に負荷のかかったシャフト連結部が破断する恐れがあったが、スクール・バスをから不必要なパーツを除去することで可能な限り軽量化し、搭乗者がスクール・バスから降りてさらに車体を軽くすることでなんとか走行が開始できた。

 それゆえ一度停止すると、再発進にはなかなかに手間がかかる。

 また、【ザ・ウォール】が極めて平坦な場所であり、目標地点までほぼ直線移動しか行う必要がなかったことから、無理矢理な現地改造でもなんとか使用に耐えた。

・【ザ・ウォール】より脱出した〈じんりゅう〉クルー一同は、このスクール・バス(改)を用いることで、短時間で合流および“例の場所”への到着を成し遂げることができた。







【フライホイール・バッテリー】

・電力を運動エエルギーに転換することで蓄える電池の一種。

・真空密閉された筐体内部に、磁石で非接触状態となった高速回転体・フライホイールが納められており、蓄えられた電力はこのフライホイールの回転速度へと転換される。

・その構造上、航宙艦などの真空宇宙で使われるバッテリーにむいていおり、シャトル・スクール・バスにも搭載されていた。

・その原理から、一種のモーターとして使用することも可能である。








【ダイソン球天体】

・宇宙物理学者フリーマン・ダイソンが提唱した恒星を覆う殻によって、恒星の発するエネルギーの全てを余すことなく有効活用することを可能とする想像上の人口天体。

・当然、人類の技術力では実現不可能。

・シズは【ザ・ウォール】に遭遇した当初、これが木星で遭遇したのと同種の異星遺物によって、建造されている途中のダイソン球天体なのではないかと推理したが、すぐにそれは違うと判断した。

 UVDがあるのであれば、わざわざダイソン球天体を作らねばならない必要性が認められなかったからである。










【航宙艦墓場】

・最後に〈じんりゅう〉で行った【ANESYS】が、ユリノ艦長らクルーに向かうよう指し示した目的地“例の場所”に、多数のSSDF航宙艦の残骸が横たわっていたことから仮にそう名付けられた地名。

・残骸は戦艦〈アリゾナ〉をはじめとしたグォイド土星本拠地殴りこみ艦隊の先遣艦隊のものであった。











【〈アリゾナ〉級戦艦】

・アメリカを中心とした国家間同盟〈ステイツ〉が開発・建造し、SSDF第二艦隊〈ゴルゴネイオン〉を中心に配備された人類初の本格的対グォイド戦用量産型人造UVD搭載航宙戦闘艦。

・第三次グォイド大規模侵攻迎撃戦直前より投入され、まだ実用化間もなく、大型かつ低出力であり、さらに信頼性が低い人造UVDに合わせて船体を設計したことから全長800m・全高300m、基本重量40万tと巨大な船体を有する航宙艦である。

・横から見て前後に長い長方形の中央上下を膨らませたようなフォルムをしており、その船体上下に三基ずつ計六基の主砲単装UVキャノン砲塔を持ち、両舷にその他の対宙レーザー砲群等の武装が配置されている。

 艦尾には大型人造UVD一基を中心に、X字型に囲うように燃料推進式補助エンジンナセルが外付けされている。

 艦首には主UVシールド発生器・メインセンサー群・メイン(目視)ブリッジ・艦首ミサイル発射管、姿勢制御スラスターが集中して配置されており、これがこの艦の特徴であり、弱点でもある。

 船体中央には主砲塔しかなく、発射可能範囲が広くとれた代償として、艦首に各必要機能を集中させすぎたため、艦首が破壊されると即行動不能に陥りやすくなってしまったのだ。

 これは人類が人造UVD搭載艦はおろか、宇宙での戦闘艦の開発経験がまだ未熟であったが故の出来事であった。

・後に設計・開発された〈びゃくりゅう〉や〈じんりゅう〉級では、メインおよびバトルブリッジは艦首には設けず、メインセンサー群も船体中央上下のセイル上に配置し、必要機能を分散させることでサバイバリティを上げるようになされた。

・〈じんりゅう〉艦長ユリノ等は、まるで巨大なマッコウクジラか飛行船のような航宙艦、とその姿を例えている。

・求める性能にはまだ及ばないものの、人類が開発した初の本格的なグォイドへの鉾であり、UV技術の進歩を待たずに多数生産され、グォイド本拠地攻撃作戦等に投入された。

・旧式の艦ではあったが、その巨大な船体により大規模改修による近代化が可能であり、大量生産され、数々の戦闘を生き延びた艦は最新の装備に換装され〈改アリゾナ〉級として、多数第五次グォイド大規模侵攻迎撃戦にも参加するにいたっている。

・〈改アリゾナ〉級では〈びゃくりゅう〉等の実感艦の功績によって小型実用化された人造UVDを複数搭載したクラスターがた機関部を有し、巨大ゆえに被弾率と機動性に難はあれど、絶大なUV出力をもつ艦へと生まれ変わっている。

・〈じんりゅう〉クルーが【ザ・ウォール】内の航宙艦墓場で遭遇した〈アリゾナ〉級は、最初期モデルでこそないものの、まだ船体のサイズに比してUV出力に難のあった型であり、【ザ・ウォール】への突入時の衝撃と、トゥルーパー・グォイドの攻撃に成すすべもなく墜落したものと思われる。









【〈あきづき〉級重巡洋艦】

・航宙艦墓場に残骸が複数確認されたグォイド土星本拠地殴りこみ艦隊所属のSSDF航宙艦の一種。

・日本が第三次グォイド大規模侵攻迎撃戦前に設計・開発したごく初期の航宙戦闘艦。

・開発当初は人造UVD技術がまだ未熟であり、大型艦艇にしか搭載不可であったため、〈あきづき〉級重巡洋艦では大型UVキャパシタを主動力源とし、随伴する人造UVDを搭載した補給艦から必要に応じて航行用UVエネルギーの補給を受けることを前提としている。

 これは同世代の航宙艦としては通常の形式であり、重巡以下のSSDF航宙艦はこのスタイルでグォイドとの戦闘に挑んでいた。

 つまり母艦からのUVエネルギー補給で活動する飛宙艦載機と同じ条件で運用されるということである。

・当然活動には限界があり、UVエネルギーを使い切ってしまった場合は推進力ふくむ一切のUV機器が使用不能となり、救出されなければ宇宙の棺桶となってしまう。

・人参のような船体の後方に、UVキャパシタを内蔵した推進機関を備えており、後年の改修で小型化された人造UVDに換装され、補給無しでの活動が可能となり、土星グォイド本拠地攻撃作戦や第四次グォイド大規模侵攻迎撃戦で活躍した。

・後に小型化された人造UVD搭載前提で再設計され、船体艦尾が小型になったことから〈ラパナス〉級駆逐艦として生まれ変わっている。







【〈ペガサス〉級航宙空母】

・航宙艦墓場に残骸が確認されたグォイド土星本拠地殴りこみ艦隊所属のSSDF航宙艦の一種。

・人造UVDの小型化が進み、多くの既存艦艇への換装が始まった頃に、来るべき土星圏グォイド本拠地への攻撃計画実行の備え〈ユニオン〉主導で設計・開発された当時最新鋭の飛宙艦載機空母。

・全長約600m、全高約200m、三段になった長方体からなる船体をしており、上下の船体のうち艦首が居住区、中央が格納庫、艦尾が推進ブロックとなっており、中段にある船体は、伸長させると回転して遠心力により艦載機を加速投射するカタパルト兼、帰還する艦載機をキャッチしたうえで減速させる回転ブームモジュールとなる。

・SSDFは二隻の空母で目標を挟み、互いに発艦させた艦載機を着艦させることで艦載機を無事回収し、補給のうえ再出撃させる戦術でグォイドに挑もうと考えていた。

・有人飛宙艦載機の予想外のグォイド側飛宙機の対応により、艦載機戦術は予想外の苦戦を強いられたが、無人機の採用により対応がなされ、SSDFの空母型航宙艦の建造は続けられ、は第五次グォイド大規模侵攻迎撃戦でも戦艦と並行して運用されている。







【〈ヴァンガード〉級実体弾投射艦】

・航宙艦墓場に残骸が確認されたグォイド土星本拠地殴りこみ艦隊所属のSSDF航宙艦の一種。

・第二次グォイド大規模侵攻迎撃戦以前に、〈ユニオン〉になる手前の当時の欧州勢力出身技術者陣によって、初期型が開発・建造されていた最古の対グォイド用SSDF航宙艦の一つ。

・人類はUV技術の獲得以前から、月の資源移送用マスドライバー等により、大質量実体弾投射技術を持っていた為、グォイドとの戦闘において実体弾投射艦がUV技術無しに実用化・投入された。

・〈ヴァンガード〉級は実体弾投射艦の中でも、最古であるが故に最も実績と信頼性が確保されたことから、最も大量に生産された実体弾投射艦である。

・当然ながらUV技術の進歩と共に改修がされ続けたが、実体弾を放つ艦である為、船体は一発でも多くの砲弾を積むために砲弾庫によりスペースが圧迫され、その分居住空間は狭くなっていることに変化は無い。

 それによりクルーにかかるストレスは、随伴する補給艦にある慰労設備を定期利用させることで対処している。

・全長600m、長大な砲身が全長の三分の二を占め、中央に居住区と交換式砲弾庫ブロック、艦尾に推進ブロックを持つ。

・他に存在する様々な級の実体弾投射艦の祖となる艦である。





【〈ジャン・バール〉及び〈ガングード〉級巡洋艦】

・航宙艦墓場に残骸が確認されたグォイド土星本拠地殴りこみ艦隊所属のSSDF航宙艦の一種。

・他の初期SSDF航宙艦同様、主動力をUVキャパシタから人造UVD搭載艦へと改修されていった。〈あきづき〉級とほぼ同様の経緯で開発されたSSDFの巡洋艦。

・人造UVDに主機関が換装されても船体を小型化しなかった為、巡洋艦のまま現在に至っている。

・〈ジャン・バール〉級が欧州勢力〈ユニオン〉、〈ガングード〉級がロシア中心勢力〈アライアンス〉が開発・設計したが、技術供与の結果、基礎船体部分は双方同じものであり、運用理念の違いによる搭載装備が異なる。

・〈ジャン・バール〉級は対宙レーザーとUVシールド、機動性を重視した装備により、戦艦級や空母、実体弾投射艦の護衛目的で運用されるのに対し、〈ガングード〉級はUV弾頭ミサイルを多数搭載し、大推力で敵陣に突撃することを基本戦術とした艦である。

 他にも多数の装備の違うバージョンの巡洋艦が存在し、グォイドとの戦いに投入された。




【〈ゴーダーヴァリ〉級フリゲート】

・航宙艦墓場に残骸が確認されたグォイド土星本拠地殴りこみ艦隊所属のSSDF航宙艦の一種。

・〈ASIO〉および火星帝国が主導で設計・開発された駆逐艦よりやや小型の航宙艦。

・小型人造UVD実用化後に開発された初の小型艦。

・火星圏の資源を元に開発段階から生産性が重視されており、短期間で大量生産されグォイド土星本拠地攻撃作戦に投入された。

・小型故にUV出力もけっして大きくは無いが、UVキャノン・シールド・UV弾頭ミサイル発射管・対宙レーザーを一通り装備し、小型軽量ゆえに機動性、加減速力に優れているため、先行偵察任務等で活躍した。

・〈ラパナス〉級駆逐艦に並ぶSSDFのワークホース的航宙艦。

・艦首部分は〈ラパナス〉と似た円錐形をしているが、先端部に生産性優先のため、船体中心部軸を砲身とし、艦首より発射する固定式主砲UVキャノンの砲口があるのが特徴。

 主砲を固定式にし、船体の向きを変えることで照準するシステムにした結果、SSDFの対グォイド大規模侵攻迎撃戦ドクトリンに不向きとなってしまった為、第五次グォイド大規模侵攻迎撃戦前には生産数が縮小され、多くの艦が〈ラパナス〉級駆逐艦にとって代わられているが、哨戒艦として一定数は現在も活躍中である。





【耐宙人】

・グォイドの脅威から人類を生存させる為に、遺伝子テクノロジーを用いて、宇宙での生活・戦闘に人工的に適応させた人間のこと。

・人為的に遺伝子を調整した人間を生み出すことは、歴史的に長い間禁忌とされてきてはいたが、グォイドとの種の存亡をかけた戦いにより、それをタブーだとしている場合ではなくなり、一部の人類により木星圏の宇宙ステーション内ラボで実行に移され、少なくない数の耐宙人が生み出された。

・耐宙人の多くがその反射神経と耐G能力から飛宙戦闘機のパイロットとして対グォイド戦闘に身を投じ、戦闘の激化にともないそのほとんどが帰らぬ人となった。

 〈じんりゅう〉クルーのフォムフォムとクィンティルラ、さらにフォセッタはその数少ない生き残り。









【〈アクシヲンⅢ世〉】

・正式名――SSDF‐ISES‐XX3‐AXIONⅢ〈アクシヲンⅢ世〉。

・航宙艦墓場に残骸が確認されたグォイド土星本拠地殴りこみ艦隊所属のSSDF航宙艦の一種。

・人類初の恒星間移民船であり、グォイドの脅威から種を残す為の太陽系脱出船。

・全長は約6キロ、直径は1キロ弱。

 凹凸の少ないやや平たくした巨大潜水艦のようなフォルムをしている。

・人間二千人の胎児、3万人分のクローン胚、および数万種の動植物の遺伝子情報、さらに移民先の惑星をテラフォーミングするための大規模Sスィー・ヴィムを積荷とし、人類および地球発祥生命の種と文化を存続させる為、太陽系外恒星系ウルフ359を目標として船出した。

・第三次グォイド大規模侵攻迎撃戦後に【ゴリョウカク集団(クラスター)】内にて極秘裏に建造され、第四次グォイド大規模侵攻が確認されると、その迎撃戦闘の最中に超長距離・大質量加減速移送艦〈ヴァジュランダ〉により目標方向へと加速投射された。

・船内には数百~数千年に及ぶ旅と到着先での必然性に備え、乗員慰労施設等あらゆる装備がされており、様々なものを生産可能なプラント群と、それらを制御するコンピュータ群により、不測の事態への対応が試みられている。

 またコンピュータ内での技術研究もなされており、太陽系人類文明から独立した状態であっても、技術の進歩と進化により船体の強化改造や新開発機器の生産が可能となっている。

・艦の基本制御は〈キャピタン〉と名付けられた準【ANESYS】とも呼べる思考統合システムに任されており、これは積まれている胎児の脳の思考能力を統合し、さらにメインコンピュータと繋げることで超高速情報処理能力を得んとしたものであり、【ANESYS】に比して情報処理速度はやや劣るものの、長時間の使用が可能である。

 また多数の人間が生身のクルーとして乗船し、艦を制御する予定であったが、発進時のグォイド大規模侵攻に伴う混乱により、結果的に耐宙人のフォセッタ中佐一人のみしか乗船せず、彼女が生身の方の艦の指揮官を務めることとなった。

・動力源として百数基の人造UVDからなる人造UVDエンジン・コンプレックスを備えており、推進力その他のエネルギーを賄っている。

・旅の途中での戦闘に備え、多数の対宙レーザーとUV弾頭ミサイル発射を発射可能な汎用発射管を備えているほか、最大の防衛システムとして、一時は廃艦処分とされていたはずのSSDF‐JX008〈びゃくりゅう〉が修理の上で艦首上部に接続されている。

・その建造目的から、人類からの多くの反対あるいは妨害が予想された為、建造と発進の事実の他、〈アクシヲン三世〉に関する全ての情報が極秘とされ、たとえ同じSSDFの航宙士に対しても、可能な限りその情報は秘匿が努められていた。

・第四次グォイド大規模侵攻迎撃戦の最中に発進したものの、土星公転軌道通過時に【ザ・ウォール】に接触、トータス《母艦》・グォイドとトゥルーパー《超小型》・グォイドの襲撃を受け、多数の主機関人造UVDエンジン・コンプレックス内の人造UVDを投棄することで難を逃れたものの、推力不足により【ザ・ウォール】上に軟着陸し、そのまま再離陸不可能となっていた。








【フォセッタ】

・〈じんりゅう〉艦載機パイロットのクィンティルラやフォムフォムと同じ耐宙人として生み出された人間であり、彼女達の一番下の妹にあたる外見年齢18歳の少女。

 その姿は髪の毛がピンクである以外はフォムフォムと瓜二つ。

 すなわち〈じんりゅう〉クルーと比べてもトップクラスのプロポーションと美貌の持ち主。

・耐宙人としての最後期モデルにあたる為、僅かだが能力的に姉たちを上回り、クィンティルラのように野放図な性格でもなければ、フォムフォムのようにコミュニケーションに難があるということもない。

 が、姉達と、自分を生み出した技術者以外の人間と関わったことがないまま【ザ・ウォール】上で約五年もの間過ごしてきた為、他人との交流についての経験値に著しく欠け、〈じんりゅう〉クルーに対し、おそろしくつっけんどんで距離感の狂った態度をとってしまった。

・名前の由来は耐宙人としてのロットナンバーが48(フォーティーエイト)なことから。

・恒星間移民船〈アクシヲン三世〉唯一の生身の船員にして乗り込み、指揮官、すなわち艦長でありの中佐の階級をもつが、あくまで肩書のみの話であり、艦の実質的な行動の決定は準【ANESYS】である〈キャピタン〉に任せている。

・たった一人で〈アクシヲン三世〉を任され系外宇宙に旅立たされたあげく、【ザ・ウォール】に墜落して以後、約5年もの間〈アクシヲン三世〉最離陸の為に不平不満も言わずに孤軍奮闘していた。

それは人類の恒星間移民を成し遂げることを最優先として行動するように厳格に指示されていたからであったが、当人に自覚は無くとも決してその境遇によるストレが無いわけでは無かった。

 





【スキッパー】

・〈アクシヲン三世〉に搭載されていた対人応対用ヒューボット。

・〈アクシヲン三世〉に乗ることとなった航宙士ではない人間への応対の為に用意されていたが、結果的にフォセッタ個人の為に起動することなった。

・人類がかつて大量に使用していた外見的に人間と区別がつかないアンドロイドの系譜にあたるヒューボだが、見た目は小柄な骸骨のような姿をしている。

 これはかつて人間とアンドロイドが、外見的に区別がつかなかったが故のトラブルが多発した為である。

 が、将来的に程々に人間そっくりな外装をまとうことを見越してもいる。

・エクスプリカと同じく人間との会話能力をもつヒューボであるが、航宙士との対グォイド戦闘中での使用を前提としたエクスプリカと違い、あくまで民間人、それも乳幼児ふくむ幅広い年齢層の人間との船内生活補助に関する非戦闘関連のコミュニケーションを想定している為、人当たりはエクスプリカに比べてとても柔らかい。

・客観的に見れば、フォセッタの世話焼き母さんのような存在に見える。







【アクシヲン・ビーチ】

・〈アクシヲン三世〉の慰労用娯楽施設として設けられた人工の浜辺。

・元々は〈アクシヲン三世〉の水タンク用の空間であり、恒星間移動を終え、移民先の星がテラフォーミングされるまでの待ち時間に、乗員が利用する為に幅70m・前後30m・高さ15mの空間を利用して、人工ビーチとしての使用が可能なように準備されていた。

・本来は長い恒星間移動が終わった後で使われるはずであったが、〈アクシヲン三世〉の予定外の【ザ・ウォール】への不時着に際し、ただ一人の生身のクルーであるフォセッタの慰労の為に使用されていた。

・砂浜と水で覆われた床面を除く内壁は、すべてホログラム投影により、地球上の典型的な砂浜の景色が投影され、利用者にあたかも実際の地球上屋外のビーチにいると思わせると同時に、施設の境界が分からぬようにされている。

・〈じんりゅう〉より救助されたサティは、サイズの問題からここに収容されていた。

・隣接してビーチを満喫する為の売店や更衣室等々の施設が用意されており、利用者がビーチを満喫できるようになされている。






【VS‐804〈ジュラント〉※初出撃時】

・〈じんりゅう〉級の四番艦として、ロシアを中心とした国家間同盟〈アライアンス〉により、三番目に建造された〈じんりゅう〉級航宙戦闘艦。

・オリジナルUVD搭載実験艦〈じんりゅう〉の活躍と、それに伴って得たデータにより建造可能となった小型大出力人造UVD搭載の新たな航宙戦闘艦として、VS‐803〈ファブニル〉の次に建造・就役した。

・四番艦であるにもかかわらず三番目に就役したのは、VS‐802となるはずだった〈じんりゅう〉級の船体が、建造途中でVS‐801〈じんりゅう〉の補修用予備パーツとして使われ、完成度半ばで放置されていた為。

・〈じんりゅう〉搭載のオリジナルUVDを日本が保有する見返りとして、日本より供与された〈じんりゅう〉の設計図を元に作られた為、当然ながら〈じんりゅう〉と同じ姿形の艦となるはずであった。

 が、擬装完了前に第四次グォイド大規模侵攻迎撃戦が始まってしまった為、主砲UVキャノンが搭載されない状態で初陣を迎える羽目になってしまった。

・未搭載であった主砲塔基部には、旋回式UV弾頭ミサイルのランチャーが仮搭載されており、火力の補完が試みられた。

 当然、UV弾頭ミサイルは搭載した数しか発射できない為、UVキャノンに比べ、継戦能力は著しく劣ることになる。

 とはいえ航宙艦としての移動能力と、【ANESYS】の超高速情報処理能力は充分に備わっていた為、初陣である【ゴリョウカク集団(クラスター)】での〈ヴァジュランダ〉防衛線戦にて、〈じんりゅう〉への無人艦載機や弾薬などの補給物資を届けた他、【ANESYS】により〈じんりゅう〉を強制遠隔操作(オーバーライド)するなどで同艦を援護、活躍した。

・艦長はリュドミラ中佐。

 〈びゃくりゅう〉の時代から、誕生まもない無人機指揮者(マギステル)という担当職種を担当し、そのまま〈じんりゅう〉でも活躍、その働きが評価されたことと、〈アライアンス〉出身であったことから〈ジュラント〉艦長に抜擢された。








【オブジェクトα】

・〈アクシヲン三世〉のこと。

・存在自体が最重要機密である〈アクシヲン三世〉は、〈ヴァジュランダ〉いよって加速発進するまでの間、護衛しているSSDF艦艇に対しこのコードネームで呼ばれた。




【空母級グォイド】

・第三次グォイド大規模侵攻迎撃戦時に初観測された、グォイド側の飛宙艦載機空母。

 当然ながら飛宙艦載機級小型グォイドを多数搭載している。

・SSDFの飛宙戦闘攻撃機対策として生み出されたと考えられる。

・人類製の有人飛宙戦闘機が、有人故にパイロットの耐G限界を越える機動ができないのに対し、飛宙小型グォイドにはその制限は無く、飛宙戦闘機同士のドッグファイトに値するシチュエーションになった場合、人類側の有人飛宙艦載機は大いに苦戦し、結果、空母級グォイドとその艦載機は、SSDFの多くの優秀な有人飛宙機パイロットの命を奪った。

・また人類側の有人飛宙機と違い、飛宙小型グォイドは基本的に帰還することを想定されていない。

 それはつまり帰還を考えずにUV燃料を使うことができ、また最後には自身がミサイルとなってSSDF艦艇に体当たりを敢行することも可能ということであった。

 大げさに言えばミサイルがミサイルを積んで飛来してくるようなものであり、グォイド空母が放つ飛宙小型グォイドは、第三次グォイド大規模侵攻迎撃戦において、人類に予想外の大ダメージを与え、、シードピラーの地球侵攻を危うく許してしまうところであった。

 からくもこのピンチを切り抜けられのは、艦数合わせとしてかり出されていた〈びゃくりゅう〉内で、レイカ達が【ANESYS】を用いることで、対飛宙艦載機級小型グォイドを対デブリ用レーザーで迎撃する為の射撃プログラムを即席で構築させることで、辛うじて対応できたが故である。

・人類側の空母と違い、艦載機の帰還を想定しないため、空母としての姿は艦載機の発射に特化しており、まるで大口を開けたジンベイザメのような艦首が特徴。

 UVエネルギーを用いた疑似重力により、艦載機を加速発艦させる方式のカタパルトを採用しており、艦載機発射後は場合によっては簡易実体弾投射砲としても使用が可能。

 ただし、実体弾投射砲として使うには、当然ながら発射する為の実体弾を別に用意する必要がある。

・【ゴリョウカク集団(クラスター)】での二度目となる〈ヴァジュランダ〉防衛戦においては、【集団クラスター】内を漂う小惑星を艦首内に取り込み、それを実体弾代わりにして砲撃してきた。







【異星遺物】

・オリジナルUVDや、それと同じ物質でできた何者かによる人工物体の総称。

・いつ、どこで、誰が、何の目的で生み出し、なぜ太陽系内に存在するにいたったかは不明だが、オリジナルUVD同様の大出力UVエネルギー発生能力を有し、それにより人類の想像を超えた途方もない所業を可能とする。

 またオリジナルUVD同様、絶対に破壊は不可能である。

・オリジナルUVD以外では、木星赤道直下、深度約2300キロの位置に発見された円環状真空空間【ザ・トーラス】を形成している約460個ものオリジナルUVDと同質素材でできた直径4000キロのリング状超巨大物体がそれにあたり、結果として木星を巨大な惑星間レールガンへと変貌させた。

・内部機構は不明ながら、いわゆるAIのような自立思考機能を有しており、【ANESYS】の超高速情報処理能力を用いることで、辛うじて意思疎通が可能であり、ある程度ではあるが異星遺物を人類の意向通りに稼働させることがも可能。

・【ザ・ウォール】を生み出したのも異星遺物の一つであり、〈アクシヲン三世〉のキャピタンはそれを【ウォール・メイカー】と呼称することにした。

・結果的に〈じんりゅう〉が【ザ・トーラス】と【ザ・ウォール】にて、オリジナルUVD以外の異星遺物二種に初遭遇したが、その過程で判明した事実を総合すると、異星遺物は太陽系誕生初期に太陽系に来訪し、太陽系を人類が誕生・進化することとなった現在の状態に変貌させたことになる。

 また、異星遺物とのコンタクト能力のあるサティの、異星遺物のAIの弁の主観を交えた翻訳によれば、異星遺物を生み出した存在は、この宇宙に知的生命体を誕生・繁栄させる為に、太陽系に異星遺物を送り込んだ……ということになる。

 あくまでサティの意訳のため、これが真実として正確かまでは不明。

 当然、なぜ異星遺物の創造者が、それを望んだのかもまた不明である。

・サティの推理によれば、〈じんりゅう〉クルーの【ANESYS】によるコンタクトに異星遺物が答えたのは、〈じんりゅう〉搭載のオリジナルUVD内の異星AIが、〈じんりゅう〉に搭載されて以降のクルーの経験値を蓄積した結果、〈じんりゅう〉クルーがコンタクトにたる存在として認めたからだとされる。

・また、知的生命を宇宙に繁栄させるためなのか、その目的達成の為に有用とされるありとあらゆる情報を蓄積する機能もあり、さらにコンピュータとして、人類の作るコンピュータをはるかに超える性能を有している為、人間の記憶思考、肉体の情報全てを記憶し保存することも可能なことが示唆されている。

・〈じんりゅう〉クルーの【ANESYS】によるコンタクト時は、異星遺物のAIは、心理カウンセラーや学校の教室の教壇に立つ教師、あるいはクルーの知人の姿をして現れた。

・現在の太陽系をとりまく状況を鑑みると、グォイドもまた異星遺物のAIへのコンタクトに成功し、ある程度は異星遺物の利用に成功したのだと推察される。

 つまり異星遺物は人類の敵にも味方にもなる存在なのである。

・また、まだ発見されていない異星遺物が太陽系内にはもちろん、外宇宙に多数存在する可能性がある。








【太陽系の建設者(コンストラクター)

・異星遺物を生み出した存在につけられた仮称。

・【ザ・トーラス】を巡るグォイドとの戦闘時に、黎明期の太陽系を、惑星間レールガンと化した木星を用いることで、現在の姿に変容させたことからそう名付けられた。

・太陽系の建設者(コンストラクター)がいつ、どこに存在していたのか? 今も存在しているのかは不明だが、少なくとも太陽系が誕生して間もない時代には異星遺物を太陽系に送り込んできたことから、それ以前には既に存在していたと思われる。

・理屈から言えば太陽系の建設者(コンストラクター)の行いが、地球を生命が発生可能な環境に変え、ひいては人類の誕生を促したことになる。








【ウォール・メイカー】

・【ザ・ウォール】を生み出していた異星遺物。

・全幅約30万キロ、全高は観測できる範囲で約2キロ、前後幅は約20キロ、平たくした環状物体。

・【ザ・ウォール】の(土星から見た)東端に存在していた。

・オリジナルUVDと同様、鏡のような銀色の表面をしている。

 また動力源も【ザ・ウォール】を生み出した規模から言って、他の異星遺物同様オリジナルUVD、あるいはそれと同質のものと思われる。

土星環リングを外縁部配備のグォイドの実体弾投射砲にて打ち出されたリングを形成している微小惑星を取り込み、オリジナルUVD同様の強大なUV出力により、それを材料にして、【ザ・ウォール】を形成させていると思われる。

 その際、材料として不要となったH2Oが霜となって【ザ・ウォール】の内側に降り積もる現象を起こした。

・状況からいって【ウォール・メイカー】に取り込まれたものは、それがなんであれ分解され【ザ・ウォール】の材料にされるものと思われる。

・他の異星遺物同様、人類で言うところのAIによって制御されており、コンタクトした存在に対し、AIが【ウォール・メイカー】を使用させるに足る存在と認めれば、グォイドであれ人類であれ、段階的に【ウォール・メイカー】の任意の使用が可能となる。

 よって数々の状況証拠から、【ザ・ウォール】はグォイドのとある目的を叶える為に、グォイドの要望に従って【ウォール・メイカー】が形成したのだと思われる。

・逆に言えば人類でも、コンタクトに成功すれば【ザ・ウォール】の形成と同レベルの所業を【ウォール・メイカー】に要望することも可能ということになる。

・【ザ・ウォール】内アウター《外側》ウォールに墜落した〈じんりゅう〉クルーは、数々の偶然の重なりにより、辛うじて【ウォール・メイカー】のAIのコンタクトに成功し、【ザ・ウォール】からの脱出と、【ザ・ウォール】の崩壊、そしてもう一つの願いを【ウォール・メイカー】に叶えてもらうことに成功した。

・【ザ・ウォール】を形成させていたことから【ウォール・メイカー】と名付けられはしたが、【ウォール・メイカー】の真の正体は超巨大かつ超高性能な立体造形機マテリアル・プリンターであり、材料と生み出すもののデータさえあれば、ありとあらゆるモノを作りだす機械である。

 つまり、【ザ・ウォール】はグォイドがそれを作ることを【ウォール・メイカー】に依頼した結果、たまたま生み出されたものであり、【ウォール・メイカー】自体は【ザ・ウォール】以外のものであっても条件さえ揃えば自在に生み出せると思われる。










【【ザ・ウォール】脱出作戦】

・【ザ・ウォール】内アウター(外側)ウォールに墜落した〈アクシヲン三世〉を、本来の任務に復帰させるべく、主にキャピタンによって構想・立案され、墜落以後の4年と半年間で準備していた。


▼フェイズ1、〈じんりゅう〉の残骸から〈アクシヲン三世〉へのオリジナルUVDの換装作業。


▼フェイズ2、〈アクシヲン三世〉の離陸。


▼フェイズ3、〈アクシヲン三世〉離陸後、襲撃が予測されるトータス(母艦)・グォイドとトゥルーパー(超小型)・グォイドグォイドへの対策。


▼フェイズ4、グォイド制宙空域たる土星圏からの脱出。


▼フェイズ5・【ウォール・メイカー】のAIとコンタクトし、助力を求める。


 ――の五つのフェイズからなる計画。

・フェイズ1は元々は航宙艦墓場墜なるSSDF航宙艦から、使用可能な人造UVDを回収し、〈アクシヲ

ン三世〉に搭載することで、〈アクシヲン三世〉の推力を復活させようとするフェイズであったが、航宙艦墓場内の残骸から使用可能な人造UVDは発見されず、そこへオリジナルUVDを搭載した〈じんりゅう〉が墜落してきたことから大いに事態が変わった。

・〈じんりゅう〉との遭遇により、【ザ・ウォール】脱出作戦は約5年の歳月を経てようやく成功の見込みが出てきたが、同時に〈アクシヲン三世〉の墜落現場の航宙艦墓場が、【ザ・ウォール】の東端にある【ウォール・メイカー】に達し、さらにトータスグォイドが襲来してきたことから、【ザ・ウォール】脱出作戦はオリジナルUVDの換装作業完了とほぼ同時に決行せねばならなくなった。

・フェイズ1の〈じんりゅう〉から〈アクシヲン三世〉へのオリジナルUVD換装は、〈アクシヲン三世〉の艦首防衛ユニットである〈びゃくりゅう〉の艦尾機関室にしか搭載不可能であったが、機関室のサイズがオリジナルUVDに対して大型であったことから、空間を埋めるステーの必要性があった。

 しかし急遽作戦の決行せねばならなくなったことから、〈じんりゅう〉クルーの不定形知的生命体サティに、急遽オリジナルUVDと機関室内部の隙間を埋めてもらうことで、無事オリジナルUVDを主機関として使用することが可能となった。

・フェイズ2の〈アクシヲン三世〉の離陸については、アウター《外側》ウォールに降り積もったH2Oの霜を燃料に、〈アクシヲン三世〉内のプラントで製造し、船体周囲の取り付けた200基もの燃焼推進式使い捨てロケットによって行われる予定であった。

・フェイズ3の〈アクシヲン三世〉離陸後に襲撃が予測されるトータス(母艦)・グォイドとトゥルーパー(超小型)・グォイドグォイドへの対策については、航宙艦墓場の残骸より回収したUV弾頭ミサイル数百発を用いる予定であった。

 フェイズ4、グォイド制宙空域たる土星圏からの脱出につては、有効な対策が立案できないまま作戦準備が進められていた。

 とはいえ、太陽系外へと向かう人類の航宙艦に対し、グォイドが追撃を行い、それが達成できる可能性は比較的低いと見積もられていた。

 フェイズ5・【ウォール・メイカー】のAIとコンタクトし、助力を求めるについては、【ANESYS】の亜種であるキャピタンによって試みられるも、失敗が続いていたが、〈じんりゅう〉クルーの遭遇と協力により、彼女達の行う【ANESYS】により無事達成された。







【バニシング・ポイント】

・アウター《外側》ウォール上の〈アクシヲン三世〉の墜落位置が、【ザ・ウォール】東端の【ウォール・メイカー】に達すると同時に、西方向から襲来してきたトータス《母艦》・グォイドとトゥルーパー《超小型》・グォイドが、〈アクシヲン三世〉到達するタイミングと位置のこと。

・当然ながら【バニシング・ポイント】到達前までに再発進せねば、〈アクシヲン三世〉を待っているのは破滅に他ならず、〈アクシヲン三世〉は〈じんりゅう〉搭載のオリジナルUVDを換装し次第、直ちに『【ザ・ウォール】脱出作戦』を決行せねばならなかった。






【無人ステルス昇電】

・【【ザ・ウォール】脱出作戦】フェイズ3、〈アクシヲン三世〉離陸後、襲撃が予測されるトータス《母艦》・グォイドとトゥルーパー(超小型)・グォイドへの対策の為、〈アクシヲン三世〉内で補修のうえ改修された昇電のこと。

・最大の特徴は、〈ケーキ&クレープ〉の製造レシピを元に、改良されたうえで〈アクシヲン三世〉内のプラントで製造された機体上面限定ステルス膜を備えていること。

 グォイドの慣性ステルス航法用のステルス膜や、それを元にノォバ・チーフが開発した〈ケーキ&クレープ〉が、無重力慣性航行

中にしか使用できないのに対し、新たに昇電に備えられたステルス膜は、〈アクシヲン三世〉のキャピタンによる改良と、材料問題の解決により、アウター《外側》ウォール上の疑似1G重力下を加減速していても使用が可能である。

 ただし、効果を発揮できるのはあくまで機体の上面のみであり、しかも低空飛行中が望ましい。

 これは機体下面を擦過するアウター《外側》ウォールの薄灰色の地面を、機体下部センサーで捉え、それを機体上面のステルス膜に投影するという基本原理が主な理由である。

 ともあれ、ごく短時間であれば、【ザ・ウォール】のグォイドを欺くことに問題は無かった。

・武装として対艦UV弾頭ミサイル6発を搭載している。

・また本機体を用いて行う予定のマニューバが、帰還が絶望的と予測されていたことから、遠隔リモートコントロールによる無人機使用に調整されている。








【対【ザ・ウォール】グォイド・マニューバ(戦術)

・『【ザ・ウォール】脱出作戦』フェイズ3、〈アクシヲン三世〉離陸後、襲撃が予測されるトータス(母艦)・グォイドとトゥルーパー(超小型)・グォイドとの戦闘に備え、あらかじめ立案されていた戦術行動計画。

・敵情報の一切ない初見での戦闘では、非常に対応の難しいトータス(母艦)・グォイドとそれが放つトゥルーパー(超小型)・グォイドであったが、逆に言えば初遭遇を乗り越えさえすれば、対処が不可能ではなかった。

 準備と実行には数々の困難がありはしたが、準【ANESYS】のキャピタンの情報処理能力をもってすれば、初遭遇時のデータを元に、いかにすればこれらのグォイドを倒せるのかを導き出すことは可能だったのである。

・マニューバは陽動、奇襲、本攻撃の三段階(フェイズ)に分かれている。


▼まずアウター(外側)ウォールよりの再離陸に成功した〈アクシヲン三世〉が、アウター(外側)ウォール上を低空飛行しつつ、後方より迫るトータス(母艦)・グォイドから放たれたトゥルーパー(超小型)・グォイドの襲撃を、あらかじめ航宙艦墓場より回収していたUV弾頭ミサイルで迎撃しつつ敵の注意を引き付ける。


▼次に密かに発艦させていた無人ステルス昇電を、〈アクシヲン三世〉後方より迫るトータス《母艦》・グォイドの四本の脚部の間に潜入させ、UV弾頭ミサイルでその脚部のうちの一つを攻撃。


アウター(外側)ウォール上を走行中のトータス(母艦)・グォイドは、それを可能にしている脚部の一つを破壊されたことで、大きくバランスを崩し、回転しつつ急減速を開始、それに対しその事態を見越していた〈アクシヲン三世〉が急減速し、同グォイドと並走。

 回転し、放ったトゥルーパー(超小型)・グォイド群を巻き取りながら横腹を見せていたトータス《母艦》・グォイドに対し、同グォイドの真横至近距離につけた〈アクシヲン三世〉が主砲UVキャノンで全力攻撃、トゥルーパー(超小型)・グォイドごとトータス(母艦)・グォイドを撃破する。


・このマニューバは、トータス(母艦)・グォイドが厳密には航宙艦というよりも、巨大な四本の脚部を用いて、【ザ・ウォール】内壁をホバー走行する巨大走行車両とでもいうべき存在であったが故に可能な戦術であった。

 〈アクシヲン三世〉は、トータス(母艦)・グォイドの脚部を破壊することで、疑似重力の働くアウター《外側》ウォール上に同グォイドを叩きつけ、主砲で留めを刺すと同時に、同グォイドと連結することでエネルギー供給と強大な破壊力を持つトゥルーパー(超小型)・グォイド群をまとめて同時に撃破したのである。

・マニューバは〈じんりゅう〉クルーの【ANESYS】による超高速情報処理能力での操艦で行われ、三段階のマニューバはおよそ10秒間という極めて短時間で実行し、決着した。

・【ザ・ウォール】の二種のグォイドの撃破成功により、【ウォール・メイカー】との【ANESYS】を用いたコンタクトで判明した【ウォール・メイカー】への要請権の順位が繰り上がり、【ANESYS】のアヴィティラは【ザ・ウォール】の崩壊と、もう一つの要請することが出来、それは受理されることとなった。





【グォイド増援光点群】

・太陽系黄道面・かつてUDOが観測された方向に、新たに観測された減速噴射と思しき無数の光点群のこと。

・光分析の結果、それは約30年前に太陽系に飛来した初期グォイド“UDO”の放っていた減速噴射光と同種のものであることが判明、状況から判断して太陽系に侵攻してきたグォイドの増援と思われることから【グォイド増援光点群】と呼称されることとなった。

・減速噴射光の分析の結果、シードピラーの総数に換算した場合約20万隻、体積で言えば月の約2倍もの規模のUDOが太陽系に迫っていることになる。

・初観測時の段階で光速の約20%から急速に減速中であり、約三か月で土星公転軌道に到着することになる。

・接近中の光点群が、どの程度の戦闘力を持つ艦で構成されているのかは不明だが、その到達までの残り時間と規模からいって、人類が対応を間に合わせることも不可能であれば、たとえ最大限の対応の準備ができたとしても、到底太刀打ち不可能なレベルの戦力差があると思われ、【グォイド増援光点群】が太陽系に到達することは、事実上、人類の滅亡と同義と思われる。

・これまで【ザ・ウォール】がその存在を覆い隠していたため、〈アクシヲン三世〉の働きにより【ザ・ウォール】が崩壊するまで、その存在を確認することは不可能であった。

 そのため、いつから太陽系に向け減速噴射光が向けられていたのかは不明である。

・これらの事実から判断して、【ザ・ウォール】は、人類に【グォイド増援光点群】の接近を認識させない為に、グォイドが【ウォール・メイカー】に依頼して生み出されたものと思われる。

・土星赤道下部の外宇宙側に建造されていた【ダーク・タワー】は、この【グォイド増援光点群】に対し、レーザー帆船の原理を用いて、減速を補助する為の巨大なレーザー砲であった。

 UVDがあれば無限の推進力が得られるが、宇宙で移動する為には加速時間と同じだけの減速時間が必要なことに変わりはない。しかし【ダークタワー】からの減速用レーザーを受け止め、自前の減速能力を上回る減速力を得れば、より短時間での移動が可能となるためである。

・確認は不可能だが、【グォイド増援光点群】の中には、【ダークタワー】より放たれたレーザーを受け止め、それを光点群を構成する各艦に分配し、減速推進力へと変換する機構が存在するものと思われる。

・グォイドは、土星に建造した【ダークタワー】を用いることで、人類がグォイドに対する戦力を整えるよりも先に、増援が到着するよう試みたのだと思われる。









【再生SSDF航宙艦艦隊】

・超巨大超高性能|マテリアル・プリンター《立体造形機》たる【ウォール・メイカー】によって、航宙艦墓場にあったグォイド土星本拠地殴りこみ艦隊・先遣部隊の〈アリゾナ〉級戦艦をはじめとした約100隻の艦の残骸が蘇ったもの。

・〈アクシヲン三世〉が【ザ・ウォール】の二種のグォイドを撃破したことにより、【ウォール・メイカー】への要請権の順位が繰り上がり、〈じんりゅう〉クルーの【ANESYS】のアヴィティラが、【ザ・ウォール】の崩壊と同時に『あなたのできる範囲で構わないから、どうか私達を助けて』と頼んだ結果、このような形で援助された。

・各艦のクルーまでは蘇っておらず、各艦は搭載コンピュータのAIによって操艦されている。

 これが【ウォール・メイカー】に人間を再生させる能力が無いからなのか? あるいは残骸内にあった遺体では再生が不可能だったからなのかは不明。

 また、全ての艦が完全状態で蘇っているだけでなく、墜落以前の戦闘で消費されたであろうUV弾頭ミサイルや艦載機までもが再生させられていた。

 これが【ウォール・メイカー】AIのいわゆるサービスなのかは不明。





【【ダークタワー】攻撃作戦】

・【グォイド増援光点群】の太陽系到達を阻止することは不可能だが、その減速をレーザー発信で補助している【ダークタワー】を破壊することで、太陽系で停止させずに“通過”させることは可能である……という観点から実行された作戦。

・フォセッタの発案では、〈アクシヲン三世〉単独で実行するはずであったが、【ウォール・メイカー】により蘇った再生SSDF航宙艦艦隊が加わった大艦隊で実行されることとなった。

・作戦要綱は、再生SSDF航宙艦艦隊のAIからの発案を元に、キャピタンなどが詳細を詰めて実行された。

・作戦は主に再生されたSSDF航宙艦艦隊、つまり、AIにより無人操艦されている航宙艦によって行われた。

 しかし実行された際のシチュエーションが、秒速1000キロで、崩壊した【ザ・ウォール】の破片と共に土星へと降下している最中という、極めて異例な状況であった為、AIにより自立行動する無人艦が、有人艦よりも対グォイド戦闘に優れている証左とは、一概には言えない。

・作戦は【ザ・ウォール】破片群と共に土星へと降下しながら、艦隊を二つの陽動部隊と【ダーク・タワー】攻撃部隊主力の三つに分けて行われた。

 まず陽動部隊第一波たる〈ペガサス〉級空母三隻が、艦隊後方から分離。

 土星大気圏突入前に、再生されていた艦載機を【ダークタワー】方向へ全機加速発艦させ、【ダークタワー】防御施設の位置を偵察すると同時に敵迎撃を陽動。

 陽動第一波からの敵迎撃施設位置情報を受けた残る艦隊航宙艦は、土星大気圏赤道上層に突入、赤道直下の大気を利用して強制減速しつつ、土星を四分の一周し【ダークタワー】へと進行。

 同時に、艦隊を大気表層を進む陽動部隊第二波と、その直下ガス雲深度12キロを進む攻撃部隊主力へと分割。

 【ダークタワー】基部、および土星リング外縁部に接地された実体弾投射砲などからの迎撃を、赤道大気表層を移動する陽動部隊第二波が引き付ける間に、攻撃部隊主力は陽動部隊第二波の直下を移動、【ダークタワー】への接近を試みる。

 これにより、【ダークタワー】防御施設の迎撃用実体弾投射砲、およびUV弾頭ミサイルを消費させ、攻撃部隊主力が【ダークタワー】に接敵した際に、迎撃不可能にさせようというのが、この作戦の主コンセプトである。

 これにより、攻撃部隊主力は【ダークタワー】接敵時に

もっとも警戒すべき、UV弾頭ミサイルと実体弾の攻撃をほぼ受けずにすんだ。が、完全にというわけではなかった。。






【再生〈じんりゅう〉】

・アウター《外側》ウォールに墜落し、【ウォール・メイカー】に取り込まれたはずの〈じんりゅう〉の残骸が、|マテリアル・プリンター《立体造形機》としての【ウォール・メイカー】の機能によって蘇った新たな〈じんりゅう〉。

・【ザ・ウォール】突入時、および【ザ・ウォール】内の二種のグォイドとの交戦により、船体右舷側UVシールド・コンバーター、艦尾上部の補助エンジン・ナセル二基、艦尾上部第三主砲塔などを喪失し、船内も侵入したトゥルーパー《超小型》・グォイド群により滅茶苦茶に破壊され、さらにアウター《外側》ウォール墜落時に船体表面構造物も見るも無残に破壊されたはずであったが、まるで地球圏・宇宙ステーション斗南での改装直後のように完璧な姿で蘇った。

 ただし、単に【ザ・ウォール】突入前の状態に再生されただけならば、再生されて然るべきなはずのUVシールド・コンバーターが再生されておらず、代わりに各ミサイル発射管と格納庫には、木星での戦闘で消費したはずのUV弾頭ミサイルが満載されていた。

 しかも主機関室には、〈アクシヲン三世〉に移したはずのオリジナルUVDが収まっていた。

 さらに船体のメインフレームとメイン・スラスター内部パーツの一部が、事実上破壊不可能なオリジナルUVDと同質物質に入れ替わっており、このため船体の中心部に轟沈不可避のUV弾頭ミサイルの直撃を受けても、メインフレームがダメージの船体奥への浸透を防いだ為、〈じんりゅう〉は船体表面に大穴を開けられはしたが、無事に窮地を乗り切ることができた。

 再生〈じんりゅう〉はこの事実を利用し、艦首からの体当たり戦法や、これまでのスラスターの耐久力の限界を超えた加速が行えるようになった。

・主機関室のオリジナルUVDの出自については、再生された〈じんりゅう〉が【ウォール・メイカー】から出てくるのと同時に、リング状となって縮小を続けていた【ウォール・メイカー】が消滅したことから、再生〈じんりゅう〉主機関室に収まっていたのは、【ウォール・メイカー】の主動力源として使われていたオリジナルUVDだったのではないかと推察されている。

 それ以外の再生後の〈じんりゅう〉が、再生前の〈じんりゅう〉に対していくつかの差異がある理由については、【ウォール・メイカー】のAIからのサービス、手心といった推察が成されてるが、それが真実を確認することは今のところできてはいない。

・艦内でトゥルーパー《超小型》・グォイドに破壊されたはずのエクスプリカやサティまでもが、そのパーソナリティふくめ、破壊前との差異が判別不可能なレベルで完璧に再生されていた。

・結果的に〈じんりゅう〉は、これまでに輪をかけて、人類の保有する航宙艦の中でも唯一無二のユニークな艦へと変貌したことになる。








【ピギーバック加速】

・航宙艦が、推力で劣る他の航宙艦を曳航する方法の一つ。

・【ダークタワー攻撃作戦】終了後の〈アクシヲン三世〉を、土星リング()外縁部を周回しつつ加速、土星の自転と公転の速度をプラスさせた上で、一気にグォイド制宙権を脱出し、〈マクガフィン恒星系〉へのコースに乗せ、再び本来の任務に復帰させる為に、〈じんりゅう〉他の残存再生SSDF航宙艦艦隊によって行われた。

・ただし、二隻の艦が縦に並び、前の艦が後方の艦を牽引しても曳航が可能な水上艦での曳航とは異なり、宇宙では前方の艦の噴射を牽引対象の艦が妨げてしまう為、その方式では加速はできず、また上下左右のいずれかに前の艦をずらして曳航を試みた場合、発生させた推力の方向が、牽引対象の航宙艦……つまり移動する物体の重心を貫けないため、その場で無様に回転してしまうことになる。

 そこで人類ではこうした問題に対し、加速対象の航宙艦に対し、二隻以上の航宙艦で挟みつつ曳航し、加速補助させることで解決していた。

 だがこのマニューバは、加速対象に対し、同等の推力を持つ艦が最低二隻以上は必要となる。

 【ダークタワー攻撃作戦】直後の段階で、再生SSDF航宙艦艦隊は、約10隻の艦が残っていたが、ピギーバック加速マニューバはそのままでは使えなかった。

 加速対象はもちろん〈アクシヲン三世〉だが、今回はその随伴艦として、残存した再生SSDF航宙艦艦隊も〈アクシヲン三世〉と同等の速度まで加速せねばなず、さらに残ったその艦は多種多様であったためだ。

 そこで再生〈じんりゅう〉、および残存再生SSDF航宙艦艦隊で、〈アクシヲン三世〉を両舷から挟むようにしてドッキング、それぞれの推力を結集することで、主機関がオリジナルUVDに換装されたとはいえ、全艦中で最も重量があり加速力の劣る〈アクシヲン三世〉を限界まで加速させることを可能にした。

・全長6キロの巨大恒星間移民船の右舷側に、800メートルの戦艦三隻をはじめ、巡洋艦四隻、駆逐艦五隻、随伴補給艦兼軽空母一隻が一塊となってドッキング。

 その一方、左舷側には全長350メートルの〈じんりゅう〉ただ一隻しかドッキングしていないため、その姿は、恐ろしく歪な塊となっている。

 この時、船体同士はこのようなイレギュラーな形でのドッキングは想定されていないため、スマートアンカーや、ワイヤーガン、ボー移乗用ディングチューブなど、使えるあらゆる手段で無理やり艦と艦とを繋げた。

 当然ながら重心位置は大きく偏り、推力のバランスも加速耐久限界も滅茶苦茶になっており、ピギーバック加速には支障をきたすはずであった。

 が、〈じんりゅう〉は、残骸から蘇りオリジナルUVDを再び主機関としているだけでなく、艦のメインフレームおよびメインスラスターの内部パーツがオリジナルUVD同質物質(マテリアル)に置き換わっていたため、メインスラスターの耐久性は大幅に向上しており、短時間であれば〈アクシヲン三世〉の反対側に束ねてドッキングされた再生SSDF航宙艦10数隻の全推力と同等の噴射を、単艦で行うことが可能であった。

 これにより、〈アクシヲン三世〉の両舷から均等に推力を噴射し、ピギーバック加速を行うことができた。

・それでも、歪な塊となったが故に滅茶苦茶となった重心バランスの問題が残るが、〈じんりゅう〉クルーによる【ANESYS】によって、全艦の推力をコントロールすることで、問題は解決された。

・加速行程が【ダークタワー攻撃作戦】直後の土星リング上という、敵本拠地のただ中で行われただけでなく、太陽系内での停止を断念し、通過を選択したことで加速に転じた【グォイド増援光点群】が、予想を超えた早さで土星圏に到達し、土星南半球に接触するという一大カタストロフの最中に実行された。









【マクガフィン恒星系】

・かに座方向のおよそ6.5光年先にあり、ハビタブルゾーン内に二つから三つの液状の水が存在する可能性のある岩石惑星を持つ恒星系。

・〈アクシヲン三世〉が実時間でたった400年程で行ける上に【グォイド増援光点群】の迫る方向とは90度ほど外れている為、同艦の新たなる目的地に選ばれた。

・しかし同恒星系は、比較的太陽系近傍にあり、確かに再生SSDF航宙艦艦隊からも観測もでき、恒星系データバンクにも記録されているにも関わらず、〈アクシヲン三世〉〈じんりゅう〉の両クルーらの記憶には存在しなかった。

 これは過去数年から十年もの間【ザ・ウォール】によって同恒星系が隠されており、内太陽系の人類がその存在を観測していなかったからであり、【ザ・ウォール】の崩壊によって存在が観測可能になったのと同時に、【ウォール・メイカー】の異星AI、もしくは〈アクシヲン三世〉に搭載された元〈じんりゅう〉のオリジナルUVD搭載の異星AIが、そのデータを艦のコンピュータに提供したからではないかと推測されている。

 つまり〈マクガフィン恒星系〉は、そう命名したのも〈アクシヲン三世〉の新たなる目的地に推薦し、誘導したのも、太陽系の建設者(コンストラクター)製の異星AIである可能性がある。

 これは太陽系の建設者(コンストラクター)が、宇宙に知的生命体を誕生させ、繁栄させようとしているからと推測されるが、それを確認することは事実上不可能である。

・実際の〈マクガフィン恒星〉は、観測データにあった6.5光年よりもはるかに遠くにあったにも関わらず、〈アクシヲン三世〉は意図せずして進路上にあった〈(仮称)ワープ・リング〉を通過したことにより、当初の予定よりも遥かに短い時間である58年で同恒星系への到着を果たした。







【(仮称)ワープ・リング】

・太陽系から〈マクガフィン恒星系〉へと向かう〈アクシヲン三世〉の進路上にあった異星遺物。

・オリジナルUVDらしき無数の円柱が連結してできた、直径10万キロほどの巨大なリング状の物体。

・〈アクシヲン三世〉が進路上に発見した頃には回避不能であり、否応もなく通過したところ、〈マクガフィン恒星系〉到着まであと58年の位置まで一気に移動を果たしていた。

 移動距離と所要時間を鑑みると、〈アクシヲン三世〉は明らかに光速を超えたスピードで移動を果たしたとしか考えられず、状況から考えて、リング状異星遺物はいわゆるワープを可能にする物体であったと推測され、〈(仮称)ワープ・リング〉と呼称することとなった。

・また太陽系から観測していた〈マクガフィン恒星系〉は、〈(仮称)ワープ・リング〉によって拡大していた姿であったと思われ、ゆえに実際の〈マクガフィン恒星系〉は元の観測データよりもはるかに遠くにあった可能性が高くなった。

・諸々の〈(仮称)ワープ・リング〉に関する事実は、通過したのがあまりにも一瞬であり、再観測も事実上不可能であった。

 また、すでに内太陽系から遠く離れている為、人類に『〈マクガフィン恒星系〉と太陽系の間に巨大リング状異星遺物がある』『

その異星遺物がワープを可能にすること、この宇宙ではワープが可能である』という事実を伝えることも事実上不可能であった。

・〈(仮称)ワープ・リング〉の発見は、この宇宙の他の場所にも同じような〈(仮称)ワープ・リング〉が存在し、光速を超えた短時間で恒星間を移動することが出来る可能性を示唆している。









【マクガフィンⅤ】

・〈マクガフィン恒星系〉のハビタブルゾーンにあった二つの惑星のうち、〈アクシヲン三世〉が新たな人類の故郷とすることを決定したマクガフィン構成系第五惑星。

 ただちに、(スィー)‐ヴィム(セミ・フォンノイマン・マシン)群を用いたテラフォーミングが開始された。

・地球より重い惑星だが、自転速度の関係から、赤道直下であれば約1Gの重力となる。

・氷に包まれた惑星であり、本来であれば、テラフォーミングを進めても人類が補助無しで生存できる環境にできるのは、最短でも数百年後となるはずであった。

 が、同恒星系第六惑星の公転軌道の外側で、新たな【ウォール・メイカー】らしき直径約10キロの銀色のドーナツ状物体を発見、異星遺物内のAIとのコンタクトに成功し、同物体を巨大な凹面鏡に変化させ、それを用いて恒星マクガフィンの光を収束反射することで、テラフォーミングを大いに短縮させ、約半世紀で表面の氷を解かすことに成功した。

・〈マクガフィン歴55年〉、フォセッタ達は〈マクガフィンⅤ〉赤道直下にあった弓状列島に、初の永続的拠点を建設し、本格的な入植を開始した。







【アキツ島ドームシティ】

・〈マクガフィンⅤ〉の赤道直下の弓状列島に建設した入植前哨基地のこと。

・最初に建設された直径300mの1気圧ドームを拠点に、複数のドームが随時建設され続けている。

・建設材料の8割が、(スィー)‐ヴィム(セミ・フォンノイマン・マシン)群を用いて調達された〈マクガフィンⅤ〉で産出した資源で賄われている。








【ユリノ・ビーチ】

・〈アキツ島ドームシティ〉内に作られた人工の砂浜。

・フォセッタの個人的要望によって作られたが、〈マクガフィンⅤ〉へ入植することになる子供たちの、外世界での活動の練習の場という名目が後から考えだされた。

・〈アクシヲン・ビーチ〉と異なり、周囲がホログラムで覆われているわけでは無い為、目に見える全てが本物である。

・実質的に、フォセッタと子供たちの遊び場となった。









【レイジロ】

・〈アクシヲン三世〉で運ばれた受精卵から、〈マクガフィンⅤ〉にて培養され、誕生した男子児童の一人。

・本名・ノォバ=秋津洲レイジロ。

・遺伝子的に、秋津洲レイカと、その夫、ノォバ・ジュウシロウとの息子である。

・フォセッタは、五年と半年前、【ゴリョウカク集団(クラスター)】内から発進する際に初代〈じんりゅう〉が命がけで〈アクシヲン三世〉を守ってくれたことはもちろん、【メリクリウス作戦】を終えた二代目〈じんりゅう〉が土星へと向かい、【ザ・ウォール】に墜落したことも、その際にオリジナルUVDを投棄するΩプロトコルに失敗したことも、そこで〈じんりゅう〉クルーが先に墜落していた〈アクシヲン三世〉を発見し、紆余曲折を経て【ザ・ウォール】から飛び立ち、〈マクガフィンⅤ〉への旅を再開したことも全て、二代目〈じんりゅう〉から、〈アクシヲン三世〉に換装されたオリジナルUVDに保存されていると思しき秋津洲レイカの人格が、息子を守る為に仕向けたことなのではないか? と推測した。

 が、それを確認する術は無かった。




 というわけで恒例(?)の用語集です。

 いざ書き始めてみると、なかなか難儀しております。

 エピソードが進む度に新たな用語を増やすことが、いかに作者の首を絞めることになるかのか……今更気づいたところです。


 まだまだ載せていない用語がありますので、随時追加していきたいと思います。

 

 そしてもしよろしければ、感想アイディアご指摘リクエストご質問、EP5への期待など頂けると幸いです。

 

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