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氷の女王  作者: 深海
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  なみだ

「風、止まらないね」

「なんだか苦しそう」

「なんかこわいな」

 


 風の音なんてこわくない。

 そびえたつ岩壁も。黒い衣の影も。


 だって、目を閉じれば、見えてくる。

 果てなきましろの、氷の鏡面。

 動かぬ水平線は、蒼き空と溶け合って、

 こおこおゆらゆら、つめたい炎をあげている。


 吹雪はぴたりと止んでいて。

 空には雲ひとつなくて。

 さえぎるものは、なにもない。 


 そう。邪魔なものは、ひとつもない。

 地平線の彼方まで。なにも。なにも。なにも――


 

  

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