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3.訓練とかヤンデレとか……

日常シーンが暇だったので、ヤンデレ入れました!

後悔はしてない!

とりあえず、タグにヤンデレを追加します。

明日も投稿するので、良ければ見てください。



「午前は、主に基礎体力の向上。そして昼休憩を挟んでから異能の訓練に入ることにする。とりあえず一時間目は適当に2人組になって格闘術の訓練をしろ!二時間目と三時間目は私が考えたメニューをこなしてもらう。良いな?では、解散!」


当然だが、異能者にとってただ異能が強ければいいという訳ではない。

そこにはその異能にあった体術も必要になってくる。

いくら己の異能に自信があるといえども、敵もまた異能者。

どんな攻撃をしてくるかはわからないのだ。

その不測の事態に備える上でも、出来るだけ身体を鍛えておくに越したことはない。


ただ、ここまで武術に重きを置いているのは帝国有数の兵士養成所であるこの高校を入れても後2、3校といったところだろうけど……。


俺がぼんやりとそう考えていると、桐崎たちから会話が聞こえてきた。


「東陽くん、できれば私の格闘術を見て欲しいのですが……」


「おー、なんか新しい技術でも取り入れたのか?」


「ええ、ちょっと古い文献に載ってたものなんですけど……貴方にこれが有用であるかどうかを見てもらいたくて……」


「わかった。じゃあ、明里は紫乃と組んでくれ」


「えー、私もトウヨウと組みたかったんだよ?」


「仕方ないだろ?翠が見てくれって言うんだから……試験前の微調整として必要なことだろ?」


「むー、そうだけどさぁ〜……(スイちゃん、ズルいよ!)」


「すいません、お手数をおかけして……(ふふっ、これも戦略の一つですよ)」


「別にこのくらい大したことないさ。もしかしたら、その新しい技術が俺にも使えるかもしれないし、どんなものか見てみたいからな。ーーという訳で、紫乃は明里と組んでくれ」


いや、何がという訳で、何だよ?

俺はまだ組むと入ってないんだけど?


俺がそう言い募ろうとするも、


「もー、しょがないなぁ〜……シノー、あっちで練習しよ?」


ぽよんっ。


……。


「……そうだな。試験前に清水さんの新技を見てしまうのも悪いしな。あっちのグラウンドでするか」


「りょーかい。じゃあ、行こっか?」


そう言ってゆさゆさと何かを揺らす新稲を前に、俺はただただ壊れた人形のように上下に首を振ることしか出来なかった。


……いや、別に巨乳に負けた訳じゃないよ?

ただ、清水の練習の邪魔をするのは悪いかなー、なんて思っただけだよ?

ホントだよ?


と、脳内で自己弁護をしながらゆさゆさと揺れている新稲の胸を楽しんだ。





「では、今から異能の訓練に入る。各自系統別の訓練室に向かい2人組になるように。細かい指示はそこにいる先生が出してくれるはずだ」


午後。

担任の特別メニューを行ってヘトヘトになった俺たちは、昼休憩を挟んで若干の疲れを癒した後、異能の訓練に入ることになった。


通常、異能の訓練前にこんなバテるような運動をさせるのは効率的ではないのだが……。

担任曰く、


「最悪のコンディションでも異能を扱うことが出来なければ意味がない」


とのこと。

確かに、理にかなってはいる気がする……と心のどこかで思ってしまったため、あまり担任を責められないのがツライ所だ。


さて、余談はこれぐらいにしてそろそろ自分の訓練室に移動するとしよう。


もうここまでの話の流れで理解した方も多いとは思うが……念のため。


異能には、それぞれ系統がある。

まぁ、と言っても個々人それぞれが違う力を使っているので、はっきりと同じ能力者がいるというのはあまりないことではあるが……。

それでも、一応の区別として異能に系統を置いた。


系統は、創造系、支配系、変質系、付与系、強化系、そしてそれ以外の系統の計六つである。

更に、この系統の中にも区分があったりするので実際の種類はもっと多いことになるが、それはまた後日にでも語ることにしよう。


俺は異能の専門家というわけでもないので、ここではざっとした説明だけ行う。


創造系。

何か物質を作り出す能力。

炎を出したり、氷を出したり……。

一番オーソドックスなタイプと言える。


支配系。

何を支配するかはその人によって千差万別だが……。

とにかく何かを支配する能力。

風とか地面とかの物質は勿論のこと、中には精神を支配出来る奴もいるとか……。

俺としてはあまり戦いたくないタイプの能力である。


変質系。

端的に言えば、AをBに変える能力。

火を水に変えたり、空気を猛毒に変えたり……。

使い方によっては非常に厄介な敵になるだろう。

何かと奇抜な力を持つ者が多い。


付与系。

物に何かの特性を加える能力。

剣を伸縮自在にしたり、靴で空を歩けるようにしたり出来る。

コツコツ強くなるタイプ。


強化系。

自己身体能力の強化。

以上!


それ以外の能力。

いや、知らねえよ。

聞いたこともないし見たこともない。

一応、現存していると風の噂で耳に入ってくる程度。

実際にこの目で会ったことはない。


というわけで、これが俺が現段階で知っている異能の系統である。

もしかしたら、今後の能力者の変異次第では系統の数が減ったり増えたりするかもしれないが……少なくとも今の俺には関係ない話だよな。


そう考えて俺は、自身の割り振られた訓練室へと向かった。





桐崎たちはとにかく目立つ。

ルックス、学力、身体能力、そして異能力……。

そのどれもが卓越しているが故の周りからの畏怖と称賛を纏っていると言えば良いのか。

とりあえずは、優秀すぎる人材として、学年で……否もっと言えば学校全体で、それも教師を含めた上で、誰彼構わず一目置かれた存在となっている。

何故、こんなに出来る奴が生徒会に立候補しないのか?と疑問視されるぐらいに……。


さて、そんな出来る集団の中に一人、学力、身体能力、異能力(ルックスは悪いと思いたくない……)が特に優れた訳でもない、凡人が居たとする。


果たして、その人は一体周りからどんな扱いを受けると思う……?


答えがこれだ。


ガヤガヤ、ワァーワァー……。


クラスメイト達が皆2人組を作り、二人でもしくはそれ以上の人数で駄弁っている中で、ぽつんと一人。

俺は誰にも話しかけられずに居た。


……別に俺はコミュ障という訳ではない。

これでも結構人と話すのが好きな方だ。


だが……。


『あのさ、ちょっと俺と組んでくれないか?』


『えっ……?』


と、こんな明らさまに嫌な顔をされても話しかけられるほど俺は面の皮は厚くない。

というか、端的に言って泣きそうだった。


とは言っても、泣いていても始まらない。

とにかく組む相手を探さなければ……。

今日は自習だから良いが、明日以降どうなるかはわからない。

二人じゃないとこなせないような訓練内容が来たら、俺は即詰みだ。


……幸い俺が所属している付与系は偶数人だ。

だから誰か一人ぐらい売れ残りがいるはず。

勿論、そいつが先生と組んでいたら流石に手の打ちようがないが……。

いや、でも先生と組みたい奴なんていないだろ?な?居ないよな?(願望)


なんてそんなことを考えながら辺りを散策していると、一人発見した。

そいつは、女子専用の運動服を見に纏い、体操座りの姿勢のまま何事かをブツブツと呟いていた。


……端的に言って、ヤバイ奴だった。


一瞬、話しかけるどころか近付くことすら躊躇ってしまうものの、最早彼女しか組んでくれる奴はいないだろう。


何回か辺りを見回し、他に残っている奴がいないか確認してから、再度彼女を見た。


「〜〜〜〜………………」


何を話しているのか、この距離では聞こえないが……。

少なくとも体操座りのまま土弄りに没頭している彼女の陰鬱さは十分に伝わってくる距離。


俺は一歩ずつ土を踏みしめるように進み、そして会話が可能な距離ギリギリに来たところで話しかけた。


「え、えっと〜……あの、さ。出来ればいいんだけど、さ。俺と……組んでくれないか?」


「…………」


俺がそう尋ねると、彼女は頭をゆっくりと上げて沈黙した。


上げられた彼女の顔は、意外なことにも結構綺麗だった。

というのも、ここまで残ってきたわけだしこいつも相当な問題を抱えているのだろうと思っていたため、顔立ちもそんなに良くないだろう、と勝手にそう判断していたからである。


だから、そういう意味では意外だった。


だが、逆に言えばそれ以上に怖い顔だった。


何と言えばいいだろうか、こう綺麗すぎるが故の怖さ、というか……。


おかっぱに切り揃え、丁寧にケアしているのか艶やかな色合いを放つ黒髪。

口元も何かリップでも塗っているのか、綺麗な薄桃色をしており男の劣情を誘っている。


……が。

それを全て台無しにさせているのが、この怖すぎる瞳である。

黒髪と同じく真っ黒な色彩をしている瞳孔は百物語出てくる日本の人形のような形容をしており、とても直視できない。

しかも、目が大きいためかその瞳孔もガン開きになっておりどう見てもメンヘラにしか見えない面立ちをしている。

普通、女友達だった奴がいきなり刺してきても、「どうしてなんだ?」と疑問が頭を過るが、こいつに刺されても、「ああ、なるほどね……」と納得できてしまうくらいにメンヘラに見える。


というか、こいつメンヘラだろ?

絶対そうだろ?

絶対一人か二人は人殺してるだろ?


……まさかテロ組織『ノア』に所属している俺がビビることになろうとは……。

というか、沈黙長くない?

なに、断る気なのか?

お前、そんなんじゃ誰とも組めねぇぞ?


……いや、よくよく考えたら先生いるしな。

もうこの際こいつは諦めて先生と組ませてもらうか?

超恥ずかしいけど……でも生命の危機を感じさせる奴よりかはマシ。

随分とマシだ。


そう思って彼女の目から視線を外そうとすると、


「……………怖くないの?」


小さな声でそう尋ねられた。


……え?今怖くないのかって言った?

うん、めちゃくちゃこえーよ、お前!

だって胸がそれなりにあってプロポーションも悪くないのに、俺がその魅惑の運動服姿に目も向けられないくらいにお前の目を警戒しているからな。


と、そう思ったが流石に初対面でそれは失礼だと思い直して会話を続ける。


「怖いって何言ってんの?俺は今から一緒に練習しませんか?って誘ってるだけなのに、何で怖がる必要があるんだよ?」


「……でも………みんな、わたしの事………怖がるし………」


何だろう、こいつの絶妙な発言の間。

何言われるのかわからなくてドキドキするっ。


しかしまぁ、こいつもこいつで別に気にしていない訳ではないんだな、その目。

いや、普通に考えればその恐怖を与える目がコンプレックスじゃないわけないか。

何だ、この子も普通の女の子じゃないか。


なんて、そんなことを考えてしまうと、急に彼女が可哀想に見えてきた。


だからだろうか、俺は柄にもなくこんな行動を取ってしまう。


「んなわけあるかよ!お前、どんだけ引っ込み思案なんだよ?フツーに見てたら、お前なんかただの可愛い女の子じゃんか」


「えっ………かわいい?」


「うん、スッゲー可愛いよ!俺だったら会った瞬間にプロポーズしたいくらいに、可愛い!」


「そ、そんな………っ」


ボシュッ。


と、煙が吹き出たような音が幻聴するくらい彼女は顔を赤らめて手をわたわたさせる。


おおっ……確かにこうやって照れさせてみると、彼女は結構可愛いのかもしれない。

グッジョブ!俺の発言!


そう思って調子に乗っていた俺だが、その数秒後に俺はこんなことを言ってしまったことを後悔した。

何故ならーーー


「う、うん………で、でも………君がそこまで言うなら………………ぷ、プロポーズ………受けても、イイよ?」


「……へ?」


「そう言えば………名前………」


ここで俺が名前を言わなければまだ取り返しがついたのかもしれないが……。

俺は上目遣いで見てくる彼女の目が怖くて、ついつい言ってしまう。


「天雷、紫乃……」


「そっかぁ………しのくん、かぁ………えへへ、よろしくね………しのくん?」


何をよろしくして欲しいのか、目的語がはっきりしていなくても既に俺は理解していた。

だって、この感じは……。


「わたしの、名前は………黒沼ユリ………これから、よろしくねーーー」


「……」


「ーーー旦那さま」


耳元でそう囁かれ、俺はその場でへたり込みそうになるくらいの恐怖を感じた。


ヤバイ……マジで、取り返しのつかない状態になったぞ。

まさか、メンヘラと婚約するだなんて……。


俺は訓練のことに集中することで現実逃避を始めた。





ブクマ、ポイント、ジャンジャンお願いします!

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