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2.運動服



はぁー、しんどい。


結局、昨日は家に帰れたのが午前5時。


さすがにこの時間から二度寝するというわけにもいかなかったので、朝食をちゃっちゃと作り終えると、飯をかっくらってシャワーを浴び、そのまま学校に登校。


着いた時刻は6時半だった。


凄いよな、こんな早い時間から空いているなんて……。

8時半ぐらいからしか診察をしない医者とは大違いだ。


と、偏見も甚だしいことを考えながら俺は机に突っ伏して就寝。


俺が眠いということを察してくれたのか、朝に桐崎たちが俺に声をかけることはなかった。

そういう気配りができる所、嫌いじゃないです……。






「いよいよ来週から2年生としての最初の実習異能試験が開催される。よって、今日から一週間は異能の実習のみに授業が割り振られるようになった。ここでの試験結果が今後の進路を決めることになるかもしれないから、皆気を引き締めて取り組むように。では、各自更衣室で運動服に着替えたら訓練室4に来るように」


そう言って担任は教室から出た。


すると、その瞬間一斉に生徒たちが話し始める。

当然、俺や桐崎たちも例外ではない。


「やー、やっとこの時期がやって来たな!異能試験!めちゃくちゃ楽しみにしてたんだよな!」


「そうか?俺は能力がショボいからあんまり気が進まないんだが……」


「何言ってんだよ!来週の試験で、俺たちがどれだけ成長したのかを測れる良い機会なんだ。楽しまなきゃ損だろ?」


「それなー!私も試験のためにちょー特訓してたんだもん!はやく試験にならないかなって楽しみだよね!」


「そんなに興奮していますと、試験前に体力が尽きてしまいますよ?……まぁかくいう私も明里さんほどではないですが、来週を楽しみにはしてますけどね……」


そう言ってリア充三人組は笑みを浮かべる。


この学校、否今の世代では異能の強力さは一種のステータスになりつつある。


それこそ西暦が終わったすぐ後ぐらいは、能力の程度で優遇の差が出るのは人種差別だの何だのと喚いている集団がいたが、それもすっかりと鳴りを潜めてしまった。


今の時代、世間体がどうのと言うよりも先に、やはり強い能力を保持している方が良いという意見が大半だ。

自衛は勿論、帝国軍のエリートコースも勝ち取れるし、その他諸々の特典も付いてくる。


やはり、この国では延いてはこの世界では能力至上主義を掲げてしまうのは仕方のないことだろう。


リア充三人組の能力はB+。

それぞれが既に正規兵として戦える実力を十分に持っている。

まさしく俺もしくは他生徒の憧れの的といった所だ。


……俺?

俺は表の能力でC−といった所だろう。

『ノア』で使っている能力だったら別だが……。

生憎とアレは既に帝国軍に知れ渡ってしまっている。

一度でもこっちで使おうものなら紫電が誰なのかが瞬時に露見するだろう。


そういう危険性があって俺は力をセーブして戦わないといけないと言うのに……。


「今度はこんなのを使ってみるのも良いかもな!?」


「そうですね、東陽くんの能力も可能でしょう」


「あー、ならさ!いっそのことこうしちゃうのはどうかな!?」


「それ、良いな!」


ホント、楽しそうで良いよなぁ……。

俺は気楽に笑っていられるこいつらを少し羨ましげな目で見ていた。





運動服は、軍から支給された最も運動のし易い、訓練用の服と言われている。

敏捷性、柔軟性、耐久性……。

その他諸々の生徒の身体能力の平均値を割り出して作られるそれは、最早芸術の域に達している。

おそらく軍の開発部がそのあたりに妥協を許さなかったのだろう。

そのため、男女によってデザインが異なっている。


まずは女子の運動服が見ていこう。


上は、肩あたりでバッサリと切った短めのジャケットを羽織り、その下に薄いアーダーシャツを着ている。

ジャケットはかなり短く設定されているため、ほとんど女子生徒の上半身を覆っているのはアンダーシャツのみということになるのだが……。


この生地が素晴らしく薄い!


それはもう薄すぎてヘソとか鎖骨とか目を凝らせば見えてしまうのではないか、というレベルだし、たまにラッキー……じゃなかった、少し不幸な肩は乳首が浮き出ている人もいるレベルだ。


端的に言って遊女が着ててもおかしくないレベルのエロ衣装だ。


しかし、これだけでは開発部は終わらない。

下半身にも工夫を凝らしている。


まずズボンはジャケットと同じく短めのパンツ。

ブルマより少し長めの短パンである。


更にその下に黒いスパッツを短パンから出す形ではいている。

このスパッツの生地が何というか、あのニーソに似た艶めかしさを体現している気がする。

当然短パンだけの方が肌面積は増えるのだが……。


しかし……しかしだ!


そんな露出するだけのファッションに何の意味がある?

それならば全裸の方がまだマシというものだ。


と言っても、そんな全裸で訓練させるなんて精神的な意味でも効率的な意味でもあり得ないことではあるのだが……。


まぁ、とにかくここまで長々と語ったお陰で女子生徒の運動服がいかに優れたデザインをしたかは理解できたかと思う。


……ん?男子の運動服?

ただの上下ジャージだけど?


男の着飾っている姿なんて誰得な展開だろ?

開発部もそう思ってほとんど男子の運動服には金をつぎ込んでいないらしい。


俺は開発部の連中に変なシンパシーを感じながら訓練室4へと向かった。







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