第7話 戦 闘 ~いつも心に制服を~
7話です。毎週水曜日に投稿できればと思ってます。
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自衛隊は自衛隊法に基づいて武器を使う。自らの意思や思想で武器を使う事は無い。国や国民、そして自分自身を守る為だけに武器の使用が許されている。
やらなければ、やられる。だからこそ、武器を使う。
それだけである。
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(ここは日本じゃない、何が起こるか分からない。相手を殺す気でやらなきゃ、殺されるのは自分だ……。)
闘技場に向かいながらも庄野は不安を抱えていた。アルフは落ち着ちを取り戻し走りながら説明をした。
「庄野さん、いいかね。闘技会は『何でもアリ』だからね。降参と言うか場外へ出た場合が敗北条件ではあるけど……そんな生易しくないね。殺すか殺されるか、だからね。
……あの、その顔に塗ってるのは何なのかね?」
「ドーランです。」
「……その……顔に塗装すると、何か能力が上がるのかね?」
「いえ、相手から見えにくくなります。」
「……そうかね(こりゃあ、死んだね)。」
闘技場に入ると、怒号なのか歓声なのか分からないほど騒ぎになっており、フィールド内では風が吹いてもないのに砂塵が舞っている。庄野とアルフは特等席で涙を流す女性の元に走った。
『「姫様!」』
「うぅっ、ひっく、うぇぇ、ひっく、嫌ぁ。やめさせてぇ……もう……誰も……さないで。おねが……、ひっく。
あ……てつや様……ッ!お願い……たすけてぇ……!」
庄野は闘技場に目をやると、砂塵が止み、その姿を表した。
(ウッ……酷い。)
闘技場内は人だったものが外壁に打ち付けられ、中央には赤いマントを翻しながら高笑いしている男、その横には3m程の赤い竜が口から火の弾を吐き出し他の参加者を蹂躙していた。
「あっはっはっは!燃えろ!消し飛べ!やれ!レッドドラゴン!はっはぁ!……ん?」
「ひっ、やめてくれ!降参だ!頼むッ……場外に出してくれ。間違って入ってしまって……。」
「そうか、観客席に戻してやろう。レッドドラゴン、彼を掴んでやれ。」
「あ、ありがとう。助かっ……え?あ、……ぎゃぁぁぁぁ……!な、なん……。」
「あっはっはっは!馬鹿が、掴んで『殺れ』と命令したんだ!何が『あ、ありがとう』だ。間抜けがっ!」
レッドドラゴンが手を放すと、その手の平はドラゴンの地肌の赤色とは別の鮮血がベットリと残っている。滴り握り潰されたものはドサッと地面に落ち、砂の中に消えた。
プチン。
惨劇の様子を見て泣き叫ぶサクラ姫の傍らで庄野の頭の中から音がした。
「アルフさん。防弾チョッキと89式小銃を置いてくので持っててください。」
「おい、庄野さん!無謀っ……聞いてないね。」
アルフの止を静止を聞かず庄野は場内に立った
「あん?何だお前……おっ?自衛隊か?使い魔3匹!良いねぇ!はっはぁ!」
(……サリアン王国の異界人のトップ。人の命の重みも理解してないような極悪人で助かる。そういう奴の方が、遠慮しなくていいからな。
相手を見下す傲慢さ、機能性より見た目重視の格好、戦闘は使い魔任せ。勝機は……ある。)
「何か言い返せねぇのかよ、カスが。やれ、レッドドラゴン。」
「円になって散れッ!隠蔽ッ!」
庄野が指示をすると、コピードールはそそくさと逃げ惑い、地面の中に隠れる。飛んでくる火の玉を姿勢を低くしたまま横っ飛びで避けながら、庄野は男を中心に走り回り始めた。
「逃げるだけかよ!やれぇ!」
火の玉が何発も庄野に飛んでいくが当たらない。
「なんっで!当たらないんだよぉ!糞がぁ!」
「お前、そんな命令でよくやれてるな。指示されるドラゴンが可哀想だ。」
「は?何言って……。」
「ななよん!4時方向!きゅうまる!10時方向!。」
庄野の命令で砂の中に隠れていたコピードール達が男に向かって走り出す。一匹は男の左正面から、もう一匹はその反対から男に向かって走っていき、同時に庄野が正面から突っ込んでいく。
「左!違う、正面から!ええと……後ろを守れ!いや、あいつだ!あいつから、自衛隊からやるんだ!」
「ひとまる!飛べ!」「キュッ!」
男の足元の砂の中から一匹のコピードールが顔面に体当たりする。一瞬の隙に庄野は男の左手を下に引きながら、右手を男の左脇の下に入れ込み、引き込みながら投げ飛ばし、直様ナイフ構え、男の喉元に当てた。
(状況判断不十分、新隊員の方がまだマシだな。さて……。)
「わあぁぁぁ!た、助けて。殺さないで……。」
「そうやって命乞いをした人間を何人殺した?異世界だからって何しても許されるわけが無い。そうだろ?」
「でも、やれって言われて……だから!」
「そんなものは理由にならない。さっきだって、1人殺さないで場外に出せばよかっただろ?なぜやらなかった?」
「何でって……その……。」
「答えられないか。じゃあ、答える必要はない。
お前も、死ね。」
ナイフが高く振り上げられると、遠くから少女の叫び声が響き渡った。
「だめぇ!!!……お願い、もう…。うわぁぁぁん!」
(……。)
庄野はナイフを納めた。
「え、何で……?」
「俺は前の世界では自衛隊にいた。今は、サクラ姫の騎士としてここにいる。騎士として何をすれば良いか……はっきり言ってわからない。だが、彼女の泣く顔を見たくない、そう思った。だから、殺すのを止めた。姫様にはずっと笑っていて欲しい。姫様の笑顔を守りたい。悲しい思いをさせたくない。その為に、ここにいようと思った。それだけだ。
姫様はお前を許したが俺はお前を許さない。2度と彼女の前に出てくるな。」
「……はい。」
結果、闘技場での勝敗がつかなかったため婚約の話は無くなった。サクラ姫も無事に西の都に戻ってきた。
(騎士という立場になっても結局俺は自衛官だ。誰かのために在ろうという姿勢は変わらない。いつも心に制服を……か。)
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「いつも心に制服を」
たとえ私服、裸体であっても貴方は自衛官でありその心には制服を着ている時と同じようにあるべきという考え方
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