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尚、士気については旺盛であります!  作者: 固太 陽
第一章
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第41話 問 題 ~現状とあるべき姿とこれからと~

「『問題』って聞いて何を思い浮かべる?テストの問い、目の前の障害・・・解釈によって様々だ。だが、考えなくちゃいけないのは何が問題なのか、それを解決するために何が必要なのか、だ。例えば、ここに交通事故の多い道路がある。悪いのは信号なのか?交通量なのか?運転手の技量なのか?解決方法を誤るといつまでたっても解決はしない!だからこそ・・・。」











(・・・。)




庄野の目の前にはスライムが6匹。

プルプルと縦横無尽に動いている。




拳銃を構える。

距離はそう遠くない。





9発の拳銃弾を発射する。











9回の破裂音の後、スライムはただの水となった。








「ほぉー。お見事だねぇ。ちょっと前まではスライム一匹倒せるかどうかだったのにね、もう簡単に倒せるね。」

「いえ、3発外しました。まだまだです。」



「ほっ。熱心だねぇ。ワシはやることがあるから先に戻るからね。」

「はい、ありがとうございました。」





(・・・スライムの核に当てられるようにはなった。しかしながら、まだ外してる弾がある以上、もっと鍛えないといけない。理想はもっと上だ。これからの事を考えるためにもまずは現状を確認しよう。)




庄野は近接格闘の構えをとりシャドーを始める。



(左手を動かすことは問題ないが、ほとんど力が入らない、威力はない。右手、両足は変化無し。左手は防御にしか使えない。)






胸元にぶら下げているナイフを構える。



(ナイフ戦になるほど接近できる相手がいれば使用できる。魔物の中には打撃より斬擊が有効なものもいるらしいが・・・魔法を使う相手には不向きどころか玩具同然だろう。使い所を見誤らないようにしなければならない。)








腰元のマチェットをすらりと抜く。



(訓練で山に入るときに私物で持っていってよく怒られていた。だが、少し長い草やちょっとした木を切ったり、体格のある動物を()()ときはこっちの方が役に立つ事がある。人に向けて使うのは気が引けるが・・・。)







背中に背負っている89式小銃を構える。



(左腕が・・・もう少し力が入れば・・・。上手く構えられないな。脚使用寝撃ちなら左手の負担も少なく撃てるが、そんな余裕があるのか疑問だ。瞬時に間を詰めてくる可能性がある相手に伏せた姿勢ではリスクが高い。何より魔法で場所が特定される。伏せて撃つ理由が無い。)









腰元のマチェットの反対にあるエンピに触れる。



(エンピは・・・まぁ、良いだろう。塹壕戦になったら銃やナイフより使うだろうが、まず掩体を作ることが無いだろう。)









「ふぅ・・・。」


大きなため息と同時に腰を下ろす。被っている鉄帽の上に手を置き視線を落とす。



(現状はこんな感じか。・・・結論としては左腕をどうにかするのが最速だが、実行の可能度で考えれば拳銃、ナイフ、マチェットで戦う術を見出だすしかない、そんな所か。)




思考を張り巡らしている庄野の目の前に独りの女性が歩み寄る。




(姫様?どうしたんだ・・・?)




「調子はいかがですか?」

「スライムがやっと倒せるようになった所です。」




サクラは嬉しそうに笑う。



「そんな事無いですよ?魔法無しでスライムを倒すのは熟練の剣士や戦士でも難しいです。『私の騎士はスライムを魔法無しで倒せる』と自慢ができます。誇りに思ってください。」

「・・・ありがとうございます。」



(出逢ったときと変わらない優しさだ。いつまでも変わらないでほしい・・・。あ、そうだ。姫様なら今回の騒動について何か知っているかもしれない。)




「・・・あの、姫様。今回の対魔王軍編成が出来なくなった経緯について何か知ってますか?」




「ソーラとガラが急に断った、と聞いてます。理由は分からないです。てつや様は何か心当たりが?」

「何となくですが、今回の災害に支援を出さなかった事だと思います。」





「それが原因になるんですか?」

「今回の一件で信頼を失ったのではないかと。『何かあってもサリアンは手を貸してくれない』という印象を持たれてしまったら同盟どころの話ではないですから。」




「でも、サリアンも被害を受けています、魔王軍がいつ攻撃を仕掛けてくるかどうか分からなかったから仕方ないと思うんです。」

「特に被害の大きかったソーラ側からすれば『見捨てられた』と思われても仕方ないです。それに魔王襲撃のタイミングは・・・(あぁ、そうか。この国には・・・そこが問題なのか)。」



「・・・てつや様?」




(・・・魔王軍の主力はまだ来ない。向こうはこの世界から冷遇された寄せ集めの異界人で構成された、所謂即席の編成部隊だ。統率が十分に図れないまま迂闊に攻めてくるほど杉村(あいつ)もバカじゃない。来るとしたら・・・斥候、若しくはこちらの出方を確認するための威力偵察・・・待て、もしかすると対魔王軍編成が中止になったことを知っている可能性もある。そう考えると・・・。)






「あの・・・てつや様?」

「・・・あ、すみません。魔王軍がいつ攻撃してくるか、ですが・・・。」















二人が話をしていると馬車が庄野達の方へ向かってくる。




馬車が止まると見慣れた少女が降りて話しかけてくる。




「サクラちゃん、お久しぶりね。おにーさんも数日ぶりかしら?」

「カエデ女王、お久しぶりです。」




サクラと庄野は頭を下げる。




「そんなかしこまらないで良いわ、例の話をしましょう。」

「はい、中へ行きましょう。」

(例の話?何だ・・・?)






屋敷の広間に集まったのは庄野、サクラ、アルフ、そしてカエデ。

話がある、と足を運んだカエデ本人から話題も出ず、それに疑問を抱きつつ誰も口を開かない。





その緊張に耐えられず口を開いたのは庄野から。





「あの・・・用件は?」

「もう少し待って。あと二人来るから。」





数分後、ガチャリとドアを開けたのはガラ王、その後ろにはデルがいる。



「久しぶりダな。強き異界人。」

「・・・。」

デルは一言も発する事なく席についた。



「揃ったわね。今回のこの場は私から持ち出したから私が仕切るわよ?」

「うむ。もんダいない。」

「・・・あぁ。」

(うーん、この面子で話し合う内容・・・さしずめ、)




「対魔王軍編成に関して、どうするか改めて話し合いましょう。」

(・・・だろうな。さて、どう話を切り出してくるのか・・・。)





カエデの話を遮るようにデルが割り込む。





「待って頂きたい。今回のソーラとガラがサリアンから話を出した対魔王軍編成の話を承諾しなかった一件を無かったことにして話を進めるのは何か理由が?」

「・・・あなたがそれを言う?大アリよ・・・全く。」





「私が、何かしましたか?」

「はぁ・・・デル、本気で言ってる?」



呆れて机に肘をつきながら頭を抱えるカエデの横からガラ王が話し始める。




「デル。お前はこの異界人ヲ敵の大将ト同じ服を着テいるトいう理由デ敵ト見なしタ。そしテ今回の対魔王軍の編成に入れなかっタ。それは国を守る人間トしテ、この世界で最も許されなイ行為だ。」





デルは激昂する。

「許されない、だと・・・?ふざけるな!!私はこの国を守るために!この国のために戦っている!たとえ剣を構え戦場を駆ける事が叶わぬとも、私は戦っている!!正義のために!いいか、こいつの仲間は魔王なんだ!!こいつは魔王の仲間だ!そうだろう?!」







「はぁ・・・それが()()なのよ。」

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