013 ポリコレ生活
久々の更新デス
「主人様。とある世界にて、ある活動がお盛んらしいです」
「へぇ……」
言い方っ! 微妙に丁寧語になってないから! とは思っても、突然、そんなことを言いだしたティナに気のない返事をしてしまう私。
だって仕方ないじゃないですか! 女王のお仕事が忙しいのもありますけど、私の管理する世界って変なのが多いのですよ、変なのが!
どうせまた奇妙な世界の住人が変なことを言いだして、変なことをしているに決まっています!(偏見)
「それで? どこの世界?」
「確か。〝チタマ〟だとか」
「ちたま……」
なんかどこかの漫画でそんな呼び名を聞いたような気もしますが、もしかして私がよく知っている世界ですか? 面倒くさがって恩坐くんに任せず聞いてみるものですね。少しだけ興味が湧いてきました。
「それである活動とは?」
「どうやら〝ポリコレ〟というものらしいです」
「ほほぉ?」
最近流行の奴ですね! この国でもワカメを食べ過ぎて緑色になったあげく海に帰ってしまった人の人権を求めて関係のない人が声をあげていました。
もちろん、私は優しい女王様なので、その人たちの家にもワカメを送ってあげましたので、今頃はみんな一緒に海で幸せに暮らしているでしょう。
そういう話なら一度行ってみましょうか。
「では、ティナ。伴をしてちょうだい」
「かしこまりました、主人様」
女王とメイド長が二人で出かけるとか、うちの旦那に叱られそうな気もしますが、なぁに、我が儘は今に始まったことではないので大丈夫でしょう。(外道)
「やってまいりました、とある世界です」
「うん、そうね」
誰に説明しているの? 移動はティナの亜空間転移で一瞬だったから、特に感慨もなくて言うこともないからいいのですけど。
それにしても、ここがメリケンの国ですか? 柚子だったときも身体が弱かったので映像でしか知らない国ですが、こんな国でしたっけ?
「なぁんか、人工物っぽくない?」
「わたくしには良く分かりませんね」
たぶん、どっかの大都市で、色々な人種の人がいますし、光景も映像で見た頃から時間も経過しているので変化はあると思いますが、なんか妙に人工物っぽいのです。
それはまぁいいのですが、どこでポリコレが? 皆さん仲良くなされていやがるように見えますが?
「それではあの方に聞いてみましょう」
私の疑問に即座に動いてくれたティナが、通行人の黒人男性に突撃インタビューをかましてくれました。
「ヤァ! 奇妙な格好をしているな、お嬢ちゃん!」
やけに陽気なその男性は、いきなり私たちの服装を貶してくる。ドレスとメイド服ですから仕方ありませんね。
「ポリコレについて、あなたはどう思いますか?」
「よく聞いてくれた! これを見てくれ! この靴も、バッグも、シャツもそうなんだぜ! 新しくテントも購入したから、これでどこでも寝られるぜ! 家の寝具もそうなんだけどなっ、hahaha! 良かったらうちに来て――」
「はい、ありがとうございました」
血走った目付きで迫ってくる男性の顔面を鷲掴みにしたティナが、彼を裏路地に放り投げて黙らせる。
「まったく、お盛んですね」
「…………」
はて? ポリコレは? 聞いた方が悪かったのでしょうか? 私の怪訝そうな表情に気づいたティナが次に声を掛けたのは白人の女性でした。
「マァ! なんて酷い格好をしているの!? 今時、チタマで絹や綿の服を着るなんて何を考えているのかしら! 私のポリコレを見てちょうだい! このパンプスもスーツも下着もみんな私のポリエステル――」
「はい、ありがとうございました」
突然血走った目で詰め寄ってくる女性の顔面を鷲掴みにしたティナが、彼女をゴミ箱に突っ込んだ。
え? ちょっと待って。彼らの持ち物って全部……。
「ポリエステルコレクションじゃねぇかっ!」
「さようでございますね」
ポリコレってそっちかよ! どうやらこの世界では天然素材を使うことが悪であり、ポリエステル製品を集めて使うことが正義らしいのです。しかもこの世界の名前って本当に〝チタマ〟かよ! 知ってる世界じゃなかったよ!
まぁいいでしょう。別にポリエステル製品を使うことは悪くありません。
ですが、天然素材を悪とする風潮に度が過ぎると、精霊がへそを曲げてしまいますので、適度に折り合いが必要です。
自然と科学の融合……それこそが正しい道なのではないでしょうか。
「では、心優しき女神として、ほんの少し導いてあげましょう」
「とても素晴らしいことでございます」
そんなわけで! 私たちはポリエステル製品を作る工場へ見学に参りました。
「hahaha! そんな絹なんて着ている頭の悪い君たちに、私の素晴らしいポリエステルを見せてあげよう!」
「ええ、とても素晴らしいですわね」(ビキビキ)
すんなりと見学を許された私たち。そこでこっそりと原材料の中にティナが黒い粒を撒くことに成功しました。
「これで自然の素晴らしさを理解できるでしょうか」
「とても喜んでくださると思います」
そうして〝黒い粒〟を取り込んだポリエステル素材は、ほんのちょっぴり緑色っぽくなりましたが、チタマの人々の生活に浸透してきました。
善いことをいたしましたわ!
私たちは城があるアトラへ戻り、数日後、仕事を押しつけ……していた凜涅が顰めっ面で現れた。
「あら、どうかなさったの?」
「とある世界の精霊から苦情が来ているのだが……」
どうやらとある世界で、緑色になった服を着た人たちが、何故か徐々に肌まで緑色になり、次々と海へ帰っていく事案が発生しているのだとか……。
「このままだと人間がすべて海棲人類になると言うのだが、ユールシア……」
何故かジト目で見てくる凜涅に私は軽く息を吐くと、窓から遠くを見つめる。
「不幸な事件でしたね」
そのあと凜涅からデコピンもらって、下級悪魔百万体を率いて駆除をする羽目になりました。
幸せそうだったのに!
またワカメオチ!
そんなわけで悪魔公女5巻が12月26日発売です!
もう手に入れられている方もいるかと思いますが、通販だと本日届くかと思います。
乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル9、本編完結章は1月15日発売なので、そちらもよろしくお願いします。
活動報告に表紙も載せています!





