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悪魔公女Ⅱ ~ゆるふわアクマ旅情~【書籍化&コミカライズ】  作者: 春の日びより
【――ユルユル日記――】

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012 精霊に感謝を!

通常運転



「いえもぉ、本当にどうしたらいいのやら……」

「はぁ……」

 ユールシアでございます。

 本日は私の管理する世界の一つにお邪魔しております。

 ほら、私って? これでも邪……女神様とか呼ばれておりますので? 管轄の世界が困っていないかとか? 色々やらないといけないのですよ。

 べ、別に女王の仕事がめんどくさいとか息抜きに来たんじゃないんだからね!

 それでお邪魔した世界に到着した瞬間に、この世界を管轄する女神ちゃんに捕まって延々と愚痴を聞かされているのです。


 かれこれ三日間ほどぶっ通しで聞かされた愚痴を要約しますと、この世界に知的生物が生まれてしばらくは上手くいっていたそうですが、文明が出来てから自然への感謝が薄くなって、それを〝上〟に訴えたところ、その使者が来て文明を滅ぼそうとしたところで慌てて辞退したそうです。

 ……そのときの担当者ってシルベルタルよね?

 自分が来るのが面倒だから配下の大悪魔にでもやらせたのでしょうが、生粋の大悪魔だと手っ取り早くリセットしようとするかもしれませんね。


「大変だったのですよ! 神託のような形でなんとか精霊への感謝と、自然への敬意を呼び戻そうと何百年も――」

「へぇ……」

 やべ。また愚痴が始まった。

 この子、金髪巻き毛のロリなのに、目がイッちゃって怖いのよ……。


 まぁとにかく、この世界も他の世界と同様に、シルベルタルの趣味全開で地球型人類の種を蒔いて、中世様式の文化を与えられた世界ですね。

 上は頼れないと悟って女神ちゃんが一人で頑張ってはみたのですが、結局として精霊への敬意も感謝も増えることなく、女神ちゃんが口うるさく小姑のように神託を送り続けたことで、女神ちゃんへの信仰も薄れ始めているんだとか。

 もう、どうしようもない。このままだと科学文明だけが発達した、世界のリソースを食い潰すだけの、ゆっくりとした滅びを待つだけになっていたところで……

「そこに! 主神様が来てくださったのです! これでももう安心ですわ! 千年間の私の苦労も報われるのです! 報われますよね!? ですよね!?」

「……あ、はい」

 だから目が怖ぇんですよ! あなた慈愛の女神なんでしょ!?


 仕方ありません。せっかくサボ……視察に来たのですから、やれるところまでやってみましょう!

 精霊たちは魔力を潤滑油や血液のように世界へ巡らし、躍り食いしても美味しい素晴らしい存在なので、それを蔑ろにするとは許せません!

 しかし、力の弱くなった今の精霊では感謝されるほどの力がありません。なので、人間たちに自分たちで恩恵を得ることの大変さを教えることが重要だと考えました。


 Case.1 大地の精霊

 大地の精霊力が弱くなった結果、土地が痩せてきていますね。

 これまでは適当に祈るだけで豊穣が約束されていましたが、感謝がなくなり、精霊力が弱まったことで作物の収穫量が減り、周囲の森を切り開いて畑を増やしたことで、精霊力がさらに減る悪循環。

 そこで私は貴族のお嬢様の振りをして、村人たちに大地の恩恵を得る大変さを教えてあげることにしました。

 取り出したる大量のワカメ。私の呼びかけに応じて自発的に集まってくれたワカメを燃やして灰にすることで、それを肥料にするのです!

 燃やすときに悲鳴が聞こえたのは気のせいです。ワカメに意思なんてあるはずないでしょ!

 村人たちはワカメを集めるのは大変だと文句を言いますが、今まではそれを精霊はやってくれていたのですよ! 感謝しなさいと言って、私は颯爽と去って行ったのです。   


 Case.2 風の精霊

 風が吹かないと空気が淀んで、健康にも良くありません。植物が実をつけるのにも風がないと受粉は虫に頼るだけになっていまいますし、虫では運べないものもあるのですよ。

 それを山に住む人たちに教えて、風を吹かせる大変さを知ってもらいました。

 この世界にはまだ魔法が残っていたので、それを使える人たちに大きな風を起こしてもらいました。

『――この世界の人間にも涙を流して喜んでもらうですっ――』

 はっ! あれはスギ花粉ちゃん!?

 いえ、きっと気のせいで、たぶん幻聴です。

 とにかくこれで人間も風の大切さを分かったことでしょう。

 ああ……黄色い粉が飛んでいく。


 Case.3 水の精霊

 水の精霊力が弱まったことで、単純に降雨量が減っているみたいです。

 雨が降らないの?

 なら、降らせればいいじゃない。(ででん)

 そこでこの私がこの世界の錬金術師たちに、ヨウ化銀とアセトンを燃やして……だっけ? やり方を教えてあげたら、とても感謝されました。

 ……ん? この雨、本当に大丈夫?

 精霊力が欠片も感じられないけど……。

 まあ! 大丈夫でしょう!

 これで水の精霊の大変さも分かりましたか?


 Case.4 炎の精霊

 これは他とは逆に、他の精霊が弱くなったことで火の精霊力だけが強くなり、砂漠化が進んでいるのですね。

 それなら簡単です。火の精霊力を弱めてやればいいのです。

 皆さん、これまでの集大成ですよ!

 ワカメの肥料を撒き、大量の雨を降らせて……

『――この世界もスギでいっぱいにして人間に喜んでもらうですっ――』

 はっ! また幻聴が!?

 ……まぁいいでしょう。これでこの広大な砂漠も、一部の妖精のおかげで森へ変わっていくのでしょう。

 そうして私は、この世界の人間に大切なことを伝えて、この世界から去りました。

 とても善いことをしましたわ!


   ***


「あら、ノア。どうしたの?」

「主人様……とある世界のことでご報告がございます」


 サボっていたところを青フェレットの悪魔ローズに捕まって仕事をしていると、現れた執事悪魔のノアがそんなことを言ってきました。

 ほぉほぉ? この前行った世界じゃないですか。

「なんでも、その世界では燃やした海産物による塩害で作物に被害が出て、人工降雨で他所から雨を奪い合うことで戦争に発展し、人工降雨の薬品乱用によって大地が涸れ、唯一大量に発生した杉の花粉で人間に健康被害が起こり、原因不明の気温低下の影響で冷害が発生し、精霊がほとんど消えた現地の女神が包丁を持って顕現して『金色の主神はどこだ』と暴れ回って、恐れられているそうです」

「へ、へぇ……」

 淡々としたノアの説明にローズが冷ややかな目を私へ向ける。

「どうやら主人様に対して不遜とも思える言動をしているとのことで、討伐隊を差し向けたく……」

「いえ! 彼女はそっとしておいてあげて!」

「……かしこまりました」


 あの女神ちゃんもちょっと病んでいたみたいだから、仕方ありませんよね!

 結果的に精霊はいなくなったのかもしれませんが、慈愛の女神から怒りの荒神にランクアップしたことで、侮られなくなったよ、やったね!

 ……やはり、世界の管理は難しいですね。




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5/31 書籍『悪魔公女4』が発売になります!

6/15 コミカライズ『乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル五巻』

6/20 書籍『乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル8』続々発刊予定です。

皆様ヨロシクお願いします!

活動報告で表紙も公開しておりますので、そちらもご覧ください。 

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― 新着の感想 ―
また野生の大原部長が発生してるw
まさかのスギ花粉ちゃん再登場! でも人類は自業自得だから仕方ないね。 女神様は………ランクアップしたから良し!
[良い点] 更新されてて嬉しい! 今回も期待通りに酷い結末でホント好き! 人類の自業自得感があるのも良いですね
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