009 ウサギさんの怪
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
「主人様、うさぎ年にございます」
「へぇ……」
唐突に放たれたメイド長の言葉に私は生返事を返す。
どこかで聞いたことがあるわね。確か、地球あたりの風習だったかしら?
……時間の感覚がなくなると厄介ね。記憶力がやばいわ。どこかの異世界にふらりと遊び……いえ、視察に行って、気付いたら百年くらい経ってて、やべぇと思って帰ってみても、このアトラでは数日しか経っていなかった……なんてよくあるもの。
まぁ、うちの執事長がその辺りを管理してくれているから、問題ないのだけど……。
「あれ? 他のみんなは?」
「凜涅様と年始の挨拶回りに出向いております」
「え……」
ちょっと待って。私は行かなくて良いの?
「魔界やら奈落ですので、問題ないかと」
「へぇ……」
それ、敵対戦力を潰しに行っているだけなんじゃ……。
「それより主人様、うさぎ年にございます」
「そうね」
よく分かってないけど、どうしましょ? 確か一年ごとに動物を生け贄に捧げてモチを召喚する儀式だったかしら?
あの世界出身の恩坐君や新しく大悪魔になった子とかに色々聞きたかったけど、いないなら仕方ない。
「それで……うさぎ年がどうしたの?」
ティナが皆が居ない時を見計らって何か言い出したときは、良くないことを考えているに決まっている。(偏見)
あらためて向き合って訊ねてみると、ティナは最近お気に入りの異世界に繋がったタブレットを見ながら、ドヤ顔で(薄い)胸を張る。
「わたくしが調べましたところ、なんでも、とある世界でうさぎ年の特別なイベントがあると聞いております」
「へぇ……」(三回目)
あれって何かイベントとかあったかしら……? ただ、今年はうさぎ年だねぇ……って言うだけの季節の風物詩だった気がしたけど、私があの世界も久しぶりだから何か新しいことが始まっているのかもしれないわ。
「まぁ、そんなわけで」
どんな訳だよ。
「少々お出掛けしてみませんか?」
「……まぁいいけど」
仕方ないから今回はうちのメイド長にお付き合いしましょう。もしかしたら、美味しいウサギ汁とか振る舞われているのではないかしら?
「主人様が食されるのですか?」
「食べるわけ無いでしょ」
知らない人が作った物なんて味がしないから!
そんなわけで……
「……は?」
そのウサギ汁イベント会場のある世界に転移してみたのだけど……どうなっているのかしら?
なんか高層ビル群とか高架道路とかある見覚えのある感じなのだけど、何故か全部壊れて廃墟になっていました。
「地球……?」
「はて? そんな名前でしたか?」
違うんかい。いや、合っていても困るんだけど。
「それより主人様、あれが今年の干支、ウサギです」
どどんっ!
ティナが指し示すほうに顔を向けると、廃墟になったビル群の向こうから高層ビルを遙かに超える大きさのウサギがビルを壊しながら迫ってくるではありませんか。
「ウサギ……」
「現地の人たちが攻撃を始めましたね」
どこにいたのか、超巨大ウサギに向かってヒャッハーな格好をした人間たちが武器を持って向かっていきました。
これがうさぎ年のイベントっ!
「んな訳あるかっ!」
「さあ、我々も向かいましょう、主人様」
「あ、はい」
どうやらこの世界では各年ごとに干支の動物が襲ってくるらしく、それを倒すのが風物詩のようです。
それよりその倒壊した高層ビルはどうやって建てたの? 毎年同じ物建ててんの?
その後も次々と現れる超巨大ウサギを現地の人たちと一緒に倒して、皆さんと一緒にウサギ汁をいただきました。
この世界ではこのイベントで一年分の食料を得るようです。
すっげぇやばい世界だな。
『今回の優勝は飛び入り参加のユールシア姫ですっ!!』
『うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』
あ、どもども。
そのあと私たちは最多撃退をしたことで優勝し、めでたく私を崇める宗教も出来たらしい。
人間とは……強い生物ですね。
貰ったこの二千トンのお肉、どうしましょ?
次回は書籍2巻の発売に合わせてでしょうか。
活動報告で紹介したのですけど、まだ書影が公開されてないので勝手に載せられないのです。
そんな訳で……
コミカライズ1巻が1月6日に発売されます!
気の早い本屋さんだと初売りで買えるかも?
そして……書籍第2巻も2月2日に発売されます!
こちらも気の早い本屋さんだと1月末には売っていると思いますので、探してみてくださいね!
今回のカラー口絵はミレーヌちゃんと四従者なので一見の価値あり!
メロンブックス様で予約する書き下ろし小冊子が憑いてきますよ!
乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル共々よろしくお願いします。





