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悪魔公女Ⅱ ~ゆるふわアクマ旅情~【書籍化&コミカライズ】  作者: 春の日びより
第三部 第三章・教国への道【旅路編】

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3-23 狂気の戦場 エピローグ

本日三話目です。ご注意ください。

第三章のラストになります。かなり短めです。





 …

 …

 ……

 ………

 …………

 …………………

 ………………………………

 ………………………………………………………


 深く深く、淀んだ沼のような中を、小さな光がゆっくりと墜ちていく。

 その小さな光の中から小さな『核』が生まれ、細胞分裂を繰り返すように胎児の姿となり、赤子の姿になるとふわりと金色の光が煌めく。

 わずかに目を開く、薄桃がかった金色の瞳。

 ゆっくりと淀みの中を墜ちていく赤子がさらに大きくなると、四~五歳ほどの愛らしい幼女の姿となり、その身をゴシック風の黒いドレスが包み込む。


 ――トン。

 淀みの底……腐った大地のような場所に降り立つと、幼女は肩辺りで切り揃えた輝くような金髪を紅葉のような手で掻き上げ、幼女――ユールシアは盛大な溜息を漏らした。


「あ~~、ちぬかとおもったっ!」


 うん。まだ再生したばっかりで舌が回らない。

 身体はやけにちっちゃくなったけど、人属性の依り代や、自我だけでなく魂も再生した完全復活です。


 どういう事かと申しますと、シルベルタルから魔力のストックを学んだので、戦闘中にちょこちょこ、簡易亜空間を創って魔力の半分を移しておいた。

 最後の最後……本当に油断させた時の切り札にしようと思ってたんだけど、まさか、精霊王を出してくるなんて反則でしょ……。

 そんな訳であっさり滅ぼされちゃった訳なんだけど、悪運が強いのか日頃の行いが良かったのか、【真の魔王】の因子を使う時、汚染されない為に自我を一時的にその簡易亜空間に移していた。

 最後の一瞬、それらを、見せかけの攻撃として放った“針”の影に忍ばせて地面に落とした。そこそこ魔力を込めたけど、疑われてないかちょっとドキドキ。

 まぁ、普通はそんな事を出来ても、攻撃の余波に巻き込まれて消滅するけどね……。その後に、消滅しそうになる自我を魔力と根性で押し留め、飛び散った魂が拡散する前に再構成して『核』を生成し、紛れ込んでいた髪の毛や血に、全力【再生】の神聖魔法を掛け続けて、ようやく何とか、ギリギリ復活できました。

 悪魔同士の戦いは存在の削りあいだから、通常は自我も消えるので必死でしたよ。自我だけ上手く残せても完全復活まで数千年は掛かるだろうし、今の状態まで進化できる保証もないしね。

 いやはや、もう一度やれって言われても出来ないですよ。多分、復活できたのは、とんでもない偶然の賜物です。


 ……でも全部が『偶然』ってこともないか。

 あの時――光の精霊王が私を焼き尽くそうとした時、光が意図的に流れてあの空間の底に穴を開けていた。

 開いたのはほんの一瞬。シルベルタルすらも気付かなかった刹那の間に、私の残滓だけが墜ちたからこそ私は復活する機会を得られた。

 光の精霊王……何を考えてシルベルタルに従っているのか。


「……ここってどこ?」


 まだシルベルタルの固有亜空間の中? それとも魔界にまで墜とされちゃったのかと思ったけど、何か様子が違う?


〈――ここは、――の底だよ〉


「……え?」

 聞こえてきた“声”に辺りを見回すと、ちっちゃい私のさらに下。足下にプルプル震えるスライムのような、藍色の悪魔の幼生体がいた。

「………」

〈あ、やめて、つつかないで、やめなさいよっ〉

 懐から取り出したタコスルメの脚でつついていると、怒られた。普通はこんな幼生体がまともにお話なんて出来ないはずなんだけど……。

 でも、この口調とこの色って、どこかで……

「――あ、もしかしてローズ?」

〈そうよっ、どうしてわからないのよっ〉


 分かるかよ。それにしても元気だな……。

 ローズが言うには悪魔の核を抜かれちゃったけど、その後すぐに本体が戦闘に巻き込まれて消滅したのが逆に運が良かったらしく、核のほうに自我が残ったとか。

 それで全ての力は失ったけど、ここに墜ちたことで悪魔の幼生体として復活できたそうです。

 それにしても会話しづらいな……声は聞こえるけど、幼生体の力が弱すぎて時々聞こえなくなる。

 仕方ないなぁ……

 なけなしの魔力をローズに分け与えて、下級悪魔程度まで一気に進化させる。


 ポンッ。

『えっ!?』

 てっきり子猿かと思ったら、ローズは藍色のフェレットみたいな小動物に進化した。

 ローズは自分の身体にわたわたと触れて、私の視線に気付くとプイッと顔を背ける。

『べ、別に喜んでなんかいないから、勘違いしないでよねっ』

「はいはい、それでローズ。ここってどこ?」

 ローズは私にまた顔を向けて、ゆっくりと口を開く。

『多分……だけど、シルベルタル様から聞いただけだから私も良く知らないけど、ここって――』


 悪魔でも認識出来ない魔界の底。悪魔が発生する淀みが湧き上がる元の場所。

 罪深き魂が世界に還元されることもなく、ただ苦しみ、腐り、崩壊し、悪魔の元として再構成される場所――それは。


『……【奈落(アビス)】…よ』



 

ユールシアは奈落に落ちて、従者達は勝手に暴れ回り、リンネは大変です。

恩坐とギアスは、逃げ回りながら反撃の機会を窺っています。


第四章は【奈落編】になりますが、文章量によっては変わるかもしれません。


以前告知しましたが、少々間を空かせていただいて、第二章や三章の気に入らなかった部分の修正を行います。ご了承くださいませ。


その前に……以前から書きたかった【戦闘力一覧表】を書きたいと思います。

人間種一般人から悪魔公クラスまでの、ネタバレしない程度での戦闘力一覧表です。

こちらは数日中に投稿します。


次回、【総合戦闘力一覧表】


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― 新着の感想 ―
奈落………もうその言葉だけで中二心が刺激されるね! でも、ユルさまがここにいる間中、リンネはひたすら狂乱さんとバトっているんだろうか? 教国、終わったな。
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