第6話:バイオハザード発生! 突発的『子ども発熱』と緊急隔離
作戦開始時刻、月曜日午前0715(マルナナヒトゴー)。
一週間の始まりを告げる、月曜日の朝。
要人二人(長男5歳&長女3歳)の登園に向け、 我が司令部は
分単位の出撃準備(朝の支度)を進めていた。
だが、朝食のパンをかじっていた長男の手が、
不自然に止まっていることに私は気づいた。
(……ん? 動作の応答速度が低下している……?)
いつもならマシンガンのように喋り散らかす長男が、
ぼーっと壁の一点を見つめている。
顔にはうっすらと赤みが差し、呼吸が心なしか荒い。
嫌な予感が脳裏をよぎる。
私は瞬時に胸ポケットから非接触型体温計(レーザー測定器)を抜き出し、
長男の額へ向けてトリガーを引いた。
ピッ――。
デジタル液晶に表示された数値は、 衝撃の『38.5℃』!
「――バイオハザード(突発的発熱)発生!!!」
脳内で最大級の警報アラート(レベル5)が鳴り響く!
「ママぁ……なんか、頭がポッポする……」
「焦るな要人! 落ち着いて横になるのだ!」
月曜日の朝という最悪のタイミングで引き起こされた感染症リスク。
これにより、今日の私のスケジュール(買い物、掃除、束の間のソロタイム)
は すべて白紙撤回となることが確定した。
だが、熟練の司令官(主婦)に落胆している暇などない。
ここからの初動対応(初期消火)が、我が国の明暗を分けるのだ!
「……これより、医療リソース確保および二次感染防止作戦を開始する!」
まず立ちはだかる最初の難関。
それは、地域の小児科(野戦病院)における『オンライン予約争奪戦』だ!
予約開始時刻は午前0800(マルハチマルマル)ジャスト。
この数分間で、地域中の母親(司令官)たちが一斉に回線へ集中する。
コンマ数秒の遅れが、2時間待ちという地獄の待合室拘束を意味するのだ!
「時報、確認。……マルナナゴーキュウ(07:59)……58、59……今よ!」
スマホの画面を神速のダブルタップ!
指先から火花が散るような超絶連打を繰り出す!
『予約が完了しました。受付番号:3番』
「……よし! 最前列の診療枠を確保!」
第1ミッションクリア。
続いて第2ミッション、家庭内における『絶対隔離壁の構築』である!
熱を出した長男をリビングのソファへ隔離し、 消毒液を
全域に散布。
そして、まだ状況を理解していない長女(3歳)に対し、
厳重な立ち入り禁止命令を発令する。
「メイ、お兄ちゃんには近寄ってはいけません。
見えない敵が潜伏しています」
「おにいちゃん、あそぼーよー!」
「ダメよ! 接触は厳重に禁じられています!」
突撃を試みる長女を抱え上げ、遠ざける。 病気の子どもを看病しながら、
健康な妹を遠ざけるという 過酷な二正面作戦!
午前0900(マルキュウマルマル)。
小児科での受診を終え、処方された解熱座薬を手に帰宅。
ここからが最大の難所、『座薬投与作戦』だ!
異物を察知した長男が、全力で抵抗を開始する!
「いやだー! おしり痛いの嫌だー!」
「暴れるな要人! これはあなたの体温を低下させ、
体内の兵士たちを支援するための緊急補給(薬)よ!」
暴れる長男をバスタオルで巻き上げ(拘束)、 一瞬の隙を突いて座薬を挿入!
「……ぬぁぁぁぁぁっ! 挿入完了!!」
「うわぁぁぁん!」
泣き叫ぶ長男を優しく抱きしめ、背中をトントンと叩く。
「よく耐えたわね、リク。これで熱は下がります。 ……よく頑張ったわ」
薬の効果か、しばらくすると長男は穏やかな寝息を立て始めた。
冷えピタを貼り直した長男の寝顔を見つめ、 私は深く、長く息を吐き出した。
予定はすべて狂い、体力も大幅に削られた。
しかし、我が家の防衛ラインは今作戦も完璧に持ちこたえたのだ。
「……さて、今のうちに長女の昼食を用意するとしようかしら」
戦い続ける司令官の休日は、まだまだ遠い――。
(第1章 第6話 終わり)
お読みいただき、ありがとうございます
月曜日の朝という最悪のタイミングで発生する「子どもの突発的な発熱」と、
それに伴う小児科の予約争奪戦、兄妹間の隔離、
そして座薬投与の攻防戦を描いてみました。
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