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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
第二章:未確定領域 ― 選択の連鎖

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間話:断片の夢《クロエ視点》

静かだった。


音もない。


光もない。


ただ、曖昧な“何か”の中にいる。


「……ここ」


クロエは、立っている。


感覚はある。


だが、現実ではないと分かる。


足元が、揺れている。


境界が、曖昧だ。


「……夢、か」


そう呟いた瞬間。


風が吹く。


どこからともなく。


白い光が、流れる。


柔らかい。


どこか、懐かしい。


「……」


クロエは、そちらを見る。


そこに――


誰かがいる。


白い輪郭。


はっきりとは見えない。


だが。


「……知ってる」


自然に、言葉が出る。


その存在も、こちらを見ている。


距離は、近い。


いや――


“近すぎる”。


境界が、曖昧になる。


クロエの黒が、わずかに揺れる。


白い光が、重なる。


混ざるわけではない。


だが。


“分かれている感じがしない”。


その瞬間。


背後で、何かが軋む。


クロエが振り向く。


黒翼が、揺れている。


だが――


その中に。


一本だけ。


白い羽根が、混じっている。


「……は?」


理解が、追いつかない。


次の瞬間。


白い側でも、同じことが起きる。


白い光の中に。


黒い影が、一筋だけ走る。


対称。


鏡のように。


「……なんで」


問いが、漏れる。


答えはない。


だが。


その“ズレ”が、何かを示している。


クロエは、ゆっくりと視線を戻す。


白い存在。


そして、自分。


境界が、さらに曖昧になる。


「……同じ、か」


言葉にした瞬間。


世界が揺れる。


白と黒が、重なる。


今度は一瞬じゃない。


ほんの僅かに長く。


翼が、完全に重なる。


黒の中に白があり。


白の中に黒がある。


“別れているはずのもの”が。


一つの形を取る。


「――っ」


胸の奥が、強く鳴る。


懐かしい。


それでいて。


痛い。


次の瞬間。


引き裂かれる。


無理やりに。


元の形へと。


「っ……!」


クロエが息を飲む。


黒翼に戻る。


だが。


さっきの白い羽根の感触が、残っている。


消えない。


白い存在も、揺れている。


輪郭が崩れ始める。


消える。


ゆっくりと。


「待っ――」


手を伸ばす。


届かない。


だが、その瞬間。


声が、重なる。


はっきりとは聞こえない。


それでも。


確かに。


“選ぶ”


その一言だけが、残る。


光が消える。


闇も消える。


何もかもが、薄れていく。


クロエが、最後に呟く。


「……また、か」


その言葉の意味は、自分でも分からない。


だが。


どこかで、知っている気がした。



意識が、浮上する。


遠くで、誰かの声がする。


温もりがある。


現実が、戻ってくる。


クロエは、ゆっくりと目を開ける。


「……今の、は」


答えはない。


だが。


胸の奥に、確かに残っている。


白い感覚。


黒の中の白。


そして――


“選ぶ”という言葉。


クロエは、ゆっくりと息を吐く。


「……まぁ、いいか」


小さく呟く。


だが、その瞳は。


ほんのわずかに、揺れていた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


これは、クロエの中に残る“断片”の話。

記憶か、夢か、それとも――もっと別の何か。


はっきりとした答えは、まだありません。

けれど確かに、“選ぶ”という感覚だけは残っています。


その意味が何を示すのかは、これから少しずつ明らかになります。


物語は、まだ続きます。


少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

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