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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
第二章:未確定領域 ― 選択の連鎖

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間話:観測者の選択《セレナ視点》

静かだった。


だが、それは安定ではない。

崩壊の手前の静寂。


クロエの隣に立ちながら、

セレナはそれを理解していた。


「……制御率、不安定」


エルの声。


淡々としている。

だが、その内容は明確に危険を示している。


クロエは、前を見ている。

戦いの中にいる。


だが――


「……深すぎる」


セレナは、小さく呟く。


あの力。


終焉でもない。

未確定でもない。


“その先”。


理解できない領域。

だが、感じる。


あれは――


一歩間違えれば、“すべてを消す”。


敵も。

味方も。

世界も。


「……」


視線を落とす。


自分の手。

わずかに、震えている。


怖いのか。


その問いに、答えはすぐに出た。


「違う」


恐れているのは、力じゃない。


クロエが、“戻れなくなること”。


それだけだ。


「……エル」


呼ぶ。


「このまま戦闘を継続した場合」


一瞬の間。

そして、答え。


「クロエの存在崩壊確率、上昇」


「最悪の場合――」


言葉は続かない。

だが、十分だった。


セレナは、前を見る。


クロエの背中。


少しだけ、遠い。

さっきまでよりも。

確実に。


「……選ぶ」


小さく、呟く。


それは確認ではない。

決定だ。


クロエを、止めるか。

それとも――信じるか。


答えは、すでに出ている。


「止めない」


エルが反応する。


「……理由を確認」


セレナは、迷わない。


「止めれば、ここで終わる」


クロエだけじゃない。

すべてが。


アウラも。

外側も。

この世界も。


「だから」


一歩、踏み出す。


クロエの隣へ。


「支える」


それが、自分の役割。


観測者ではない。

“選ぶ側”として。


エルが静かに言う。


「……了解」


「未確定補助、最適化」


セレナは、クロエを見る。


オッドアイ。

揺れている。


だが――消えてはいない。


「……戻ってこい」


声に出す。


小さく。

だが、確かに。


クロエの動きが、わずかに変わる。


ほんの僅か。

それだけで、十分だった。


セレナは理解する。


「……届いてる」


完全じゃない。

それでも。


繋がっている。


なら。


やることは一つ。


「外させない」


未来を、固定する。


クロエの攻撃が、通る未来。

クロエが、戻る未来。


その二つを、同時に選ぶ。


負荷が、かかる。

だが、関係ない。


「――選択固定」


光が、強くなる。


今までとは違う。

観測ではない。


“介入”。


エルが解析する。


「選択干渉、拡張確認」


「……限界値を超過」


セレナは、止めない。


クロエの隣に立つ。

同じ方向を見る。


「一人じゃない」


小さく、呟く。


その言葉は。


クロエに向けたものか。

それとも――自分自身か。


もう、区別はつかなかった。


前方で。


アウラが、静かに構えている。


完全ではない。

だが、まだ強い。


だからこそ。


「ここで決める」


セレナの瞳が、光る。


観測者ではない。

選択する存在として。


「――外さない」


その決意は、揺れない。


戦いは、終わっていない。


だが。


結末は、すでに選ばれ始めている。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


観測するだけだったはずのセレナが、

“選ぶ側”へと踏み出した一話でした。


正しさではなく、意思で選ぶということ。

その重さは、これから少しずつ形になっていきます。


まだ戦いは続きます。

少しでも面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

引き続き「レイヴンクロニクル」をよろしくお願いします!

読んでいただきありがとうございます!

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