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黒翼契約譚《レイヴン・クロニクル》 ~終わりを選び、未来を奪い返せ~  作者:
第二章:未確定領域 ― 選択の連鎖

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開章:未確定の始動

※本作は「黒翼契約譚レイヴン・クロニクル」の続編となります。

前章からの流れを踏まえた内容となっておりますので、未読の方はそちらからの閲覧をおすすめします。


本章では“未確定”をテーマに、これまでとは少し違った視点で物語が進行していきます。

引き続き、お楽しみいただければ幸いです。

風が、まだ吹いている。

穏やかで、優しい風。選べる世界になってから、初めて訪れた“静かな時間”。

クロエは空を見上げる。

青い。けれど――どこか、薄い。

「……やっぱ変だよね」

隣で、セレナも同じ空を見ていた。

「ああ」

短い返答。だがそのタイミングは、あまりにも自然すぎた。

まるで――最初から、同じ呼吸をしているかのように。

セレナはわずかに視線を動かす。その違和感に気づきかけて――やめる。

「安定はしている。だが、“固定されていない”」

それが、この世界の前提。

揺らぎ。分岐。未確定。

本来なら異常。だが今は、それが“正常”だった。

遠くで、空間が微かに歪む。

ほんの一瞬。見間違いとも言えるほどの揺らぎ。

だが――

「……見えた?」

クロエが呟く。

セレナは頷く。

「あれは……自然な揺らぎではない」

少し離れた場所で、エルが空を観測している。

「分岐数……増加傾向」

一拍、わずかに遅れて言葉が続く。

「……いや、違う」

自らの発言を修正する。

「通常範囲を、逸脱している」

ノクティアが応答する。

「観測不能領域、拡張速度上昇」

エルは、すぐには結論を出さない。

ほんの一瞬。“考える余白”が生まれる。

「……外側からの干渉の可能性」

その言葉に、クロエが振り向く。

「また来るってこと?」

セレナが答える。

「来ている、が正しい」

すでに――始まっている。

空が、わずかに“剥がれる”。

青の奥に、別の層。

色にならない色。形にならない構造。

“外側”。

それはまだ、完全には侵入していない。

だが確実に――

クロエは、それを見ていた。

ほんのわずかに。

“懐かしさ”にも似た感覚を覚えながら。

「……近づいてるね」

軽く笑う。

恐れではない。拒絶でもない。

どこか――受け入れているような響き。

セレナは一歩前に出る。

「前提が変わった以上、いずれは来る」

その声に迷いはない。

「なら――迎えるだけだ」

エルが視線を向ける。

「今回の干渉は、前回よりも深い」

ノクティアが補足する。

「観測前段階の侵入、確認」

それはつまり――

“存在する前の存在”。

クロエが、小さく息を吐く。

「めんどくさそう」

ノクスが笑う。

「いいじゃねぇか。やっと本番だ」

クロエは、少しだけ笑う。

そして前を見る。

「じゃあさ」

軽く。

本当に軽く。

「また、やる?」

セレナが隣に並ぶ。

その距離は、意図したものではない。

最初からそうであったかのように、自然だった。

「ああ」

短く。

だが、確かに。

エルとノクティアも、同じ方向を向く。

四つの存在。

役割ではなく、“選択”で繋がった者たち。

空が、揺らぐ。

まだ小さな亀裂。

だがそれは――確実に広がっていく。

これは、終わりの続きではない。

“選んだ世界”の、その先。

そして――

“外側”が、本格的に動き出す。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


物語はいよいよ次の段階へと進んでいきます。

それぞれの選択がどのような結果を生むのか、引き続き見守っていただけると嬉しいです。


よろしければ感想や評価などもいただけると、今後の励みになります。


次回もよろしくお願いします。

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